【中間テスト】ウォルター先生の勉強会｜リアクション

【中間テスト】ウォルター先生の勉強会

「国語はあまり得意じゃないので、現文や漢文を教えてもらえますか」
　アリシアが言いました。
「テストの内容は教えられるとですよ」
　七瀬が教科書を覗き込みます。
「宮沢賢治『永訣の朝』ですか」
「詩の解釈を選択肢から選ぶのは変？　解釈はひとそれぞれだし、本人がどう思って書いたかわからないのに」
「確かにそうとも言えるとですね」
「でもテストだから答えないわけにはいかないわね」
　苦笑しつつ、七瀬はテスト問題と答えを説明します。
「漢文は、孟浩然『春暁（春眠暁を覚えず）』。これ、眠くなるやつよね」
「眠い……うとうとしかけてたらつついて起こして……」
　それを聞きながら夏朝が言いました。
　ウォルター先生は、その言葉をしっかり聞いていました。
「４つの句からなる詩を絶句、絶句のうち１つの句が５文字からなるものを五言絶句と言うとです。ここはテストにでますね」
「なるほど」
「それと押韻（おういん）。漢詩を読んだ時に一定のリズムが出るように、同じ響きの言葉を句の最後に置くことですが、どれが押韻に該当するかが出ます」
「えーと、暁（Gyou）、鳥（Chou）、少（Shou）、でいいの？」
「はい、正解です」　
（難しいけど、漢字だけで今の人にも心に響く詩が書けるって不思議ね）
　話を聞いていた結華は思うのでした。　

　あおいと美咲紀の様子を見ながら、修は思います。
（皆頑張ってるなぁ）
「うーん」
　しかし、あおいが手を止めました。
（煮詰まっているのかな。休憩兼ね一寸雑談しよう）
「このバームクーヘン、どうやって作るのかな？」
「あ、それ私も気になってた」
　あおいは身を起こしました。
「ああこれは、ラップ芯にアルミホイルを巻きつけてそれに巻いて作ったの。サラダ油を薄く塗るのがポイントだよ」
　アリシアが説明します。
「へえ、すごい！」
　あおいが興味津々の表情になり。
「すごくきれいにできていますね」
　綾花も感心しました。
「ありがとう。材料は、薄力粉にコーンスターチか片栗粉……」
　修はアリシアが教えてくれたレシピをメモして、
「テストが終わったら作ってみないか？」
　と、２人に提案します。
「ぜひ作ってみたいのです！」
「そうだね、綾花ちゃんも一緒に作ってみようよ」
　こうしてテスト後の楽しみができたのでした。

（あ……眠い、どうしよう）
　にぎやかなののこも眠いせいか静かになってしまい、夏朝の眠気は限界に達していました。
　その時。
　シュッ！
「……はぅあっ！？」
　夏朝の額にチョークがクリーンヒット！
　痛くはなかったですが、さすがに目が覚めました。
「ふわっ！　えっ？　今何かあった？」
　ののこも目を覚ましましたが、何が起きたかわかっていません。
「大丈夫かい？　眠そうだったからつついてみたよ。良かったら公民のポイントを教えようか」
　ウォルター先生がさわやかに言います。
「あっ、それ私もお願いします」
　公民のポイントと聞いて気になる桜です。
「あ、ありがとうございます……ちょっと顔洗ってきます……」
　ついに出たチョーク投げに、場の空気は一気に引き締まり。
　顔を洗って戻ってきた夏朝と桜へ、ウォルター先生の公民の説明が始まったのでした。
　　

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