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天舞寝子杉
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「な、なんだかすごく新しい感じのお祈りでしたね、冴来先輩」
千鳥 雅人
はそう言って、
今しがた終わったばかりの熱狂のステージを思い起こした。
「そうね、賑やかで楽しそうな音楽だったわ」
花風 冴来
も十分に、先ほどのステージを楽しんだようだ。
「俺も、あんなふうに皆を楽しませる舞をお納めできるでしょうか」
不安そうに寝子杉を見上げる雅人に、冴来は励ましの言葉をかける。
「心配ないわ、あの方の祈りはあの方にしかできない、あの方だけのもの。
同じように、私には私にしかできない祈り方があるし、雅人には雅人の祈り方がある」
「俺には、俺の……」
諭すような冴来の言葉に、雅人の不安げな表情が少しだけ和らいだ。
ほんのわずかな変化を、冴来は見逃さずに言葉を続けた。
「そう。雅人は誰かと比べるのではなくて、
今自分にできる精一杯をお見せすれば、寝子杉もきっと応えてくださるわ」
だから、頑張りましょう、と。
冴来ににっこりと微笑みかけられれば、
雅人のエモーションアンテナも元気よくパタパタと揺れようというものだ。
ふたりは気を取り直して、祈祷の舞を舞う準備に取り掛かった。
実は、素人なのよね。
心の中で、冴来はそうひとりごちた。
もちろん、寝子杉に奉納する舞なのだから、
それなりに調べ、学び、練習もしてきた。
だが、それも所詮付け焼刃。
ちらりと隣を観れば、狩衣に身を包んだ雅人が緊張した面持ちで寝子杉を見上げている。
一緒に舞を舞う雅人は、幼い頃から祈祷や舞の身近な生活を送ってきた人だ。
あまり的外れな舞を見せるわけにはいかない。
先輩の威厳だってあるのだし、と。
そんな気負いが、心も体もがちがちに固めてしまっているような気がして、
冴来はそっと深呼吸をした。
ぱちぱちと、篝火の中で薪がはぜる音がする。
いがらっぽい煙の匂いがつんと喉の奥を刺し、炎の熱は冴来の白い頬を炙った。
目の前には、聳える寝子杉。
からからに乾いて、太陽に照らされ、それでも一心に枝を伸ばし雨を待っている。
……まってて、今私たちが助けるから。
胸の中でそっと語り掛け、冴来はゆっくりと寝子杉の前へと進み出た。
雅人の実家は、とある神社の奉職だ。
当然小さなころから祈祷する父の姿も、舞を奉納する母や巫女の姿も目にしてきた。
しかし、いざ自分が、となると思ったように体は動かないもので、
狩衣を身に纏うにも一苦労だった。
それに比べて……、と。
雅人はちらりと冴来の方を見た。
冴来は神職の出でもなんでもない。ただの普通の女性だ。
なのに、白衣に緋色の長袴を身に纏い、長い髪をひとつにまとめたその姿は
狩衣に着られているような状態の雅人よりも、ずっと神職らしく見えた。
「俺に、できるかなあ……」
見様見真似の御祈祷も、形から入った舞も、正直なところ不安しか残らない。
冴来はたくさん勉強もしてきたようで、
寝子杉の前に歩み出す姿には溢れる自信が感じられた。
でも、と雅人は胸の中で先ほどの冴来の言葉を思い出す。
『今自分にできる精一杯をお見せすれば、寝子杉もきっと応えてくださるわ』
今、雅人にできる精一杯。
寝子杉に見てもらうのはもちろん、冴来にだって見てほしい。
雅人だってその気になればやれるんだというところを。
「……よし!」
気合の掛け声をひとつかけて、雅人は冴来の後に続いて寝子杉の前へと歩み出した。
冴来の手には、木・金・土・火・水の五色布を結んだ神楽鈴。
雅人の手には、二本の紙垂を挟んだお手製の御幣。
初めに、一歩進み出た雅人が、御幣をふりふり、
記憶頼みに見様見真似の御祈祷を行う。
「かしこみー、かしこみー……確か、こんな感じだったような」
細い糸を手繰るように、昔見た父の姿を記憶の奥底の方から引っ張り出して、
動きをなぞるように祈りを捧げる。
隣に立つ冴来は、雅人の動きに合わせて祝詞を上げ始めた。
高天原におわす神に、諸々の枉事、罪穢れを祓い、また清めてくれるよう
誠心誠意お願い申し上げる、といった内容の祝詞だ。
見様見真似と知識だけの、何とも不確かな御祈祷が成功したかどうかは
現時点ではわからないが、二人なりにうまくできた、と思う。
「それから、ええと、母さんと巫女さんたちは確かこんな感じで……」
雅人の合図で、冴来も一緒に舞を舞い始める。
手の動きひとつ、指先の角度ひとつ。そのすべてに全身全霊の祈りを込めて、
冴来は流れるように舞を舞った。
練習の成果か、人ならざるなにかの思し召しか、手足が勝手に動いてゆく。
なので、冴来は祈るだけで良かった。
雨が降りますように。
冴来の願いも、雅人の願いも、この寝子杉の前に集まった人たちの願いはみな同じ。
寝子杉がどうか枯れずに済みますように、ここに雨が降りますように。
その願いが、無事高天原におわす神に届きますように、と。
冴来は一心不乱に祈り続けながら、ただ篝火に照らされ舞うのだった。
願わくば、飢えと渇きをわずかでも癒せるように。
そんな冴来の初めてとは思えない舞に、雅人は付いていくのがやっとだ。
幼いころの記憶を辿り、母や巫女たちの真似をしてみるが、
記憶から引っ張り出した動きはどうしてもぎこちなく、
冴来のあとに一拍遅れて付いていくような具合になる。
しまいには、記憶を探るよりも冴来の真似をした方が早いのではないかと思い初め、
冴来を手本に手を動かし、足を動かす。
横目で冴来を見ていた雅人は、その静謐な祈りに満ちた横顔と、
流れるような舞の美しさに思わず息を飲んだ。
「……すごく、綺麗……」
白い肌は橙色の炎に照らされ、赤く燃えるように色づいて。
うっすらと開かれた唇から、舞に合わせて呼吸を整える吐息がこぼれる。
そんな冴来の姿に、雅人は一瞬見惚れ、その場で動きを止めてしまう。
思わず立ち尽くす、とはこのことだろう。
一瞬、雅人は自分が観客になったかのような錯覚を起こした。
まるで今、一番の特等席で冴来の舞を見る観客になったような……
と、そこまで考えて、慌てて気を取り直す。
「ぼ、煩悩退散、だよー!」
邪な気持ちを追い払うために、ぺちぺちと自らの頬を叩き、慌てて舞を仕切り直す。
何気ない風を装ってとなりの冴来の様子を横目で伺うが、冴来の真意はわからなかった。
集中しなきゃ、と胸の中で呟いて、雅人も寝子杉に意識を戻す。
どっしりと構えたもの言わぬ杉の大木は、渇きにも日照りにも負けず
威厳に満ちた姿を保っている。
皆は、寝子杉に何か悪いものが憑いているんじゃないかっていうけれど、
果たして本当にそうなのだろうか、と雅人の胸の内でもう一人の自分が囁きかける。
四千年の長きに渡ってここに根を張り、寝子島のあらゆる営みを見守ってきた大樹が
果たしてそんなにちっぽけな穢れなんかにやられるだろうか。
本当はもっと別の、例えば寂しいとか、疲れたとか、
そういうちょっとした寝子杉の気持ちの不調なんじゃないだろうか。
なら俺は、寝子杉の癒しのために舞を捧げよう、雅人は心の中でそう決めて、
それ以上冴来を横目で見ることはしなくなった。
「あんまり上手じゃないかもだけど、
少しでも、楽しい気持ちになってもらえたらな、って」
冴来の舞が祈りを込めた静謐な舞なら、
雅人の舞は楽しく、見た人を不思議と和やかな気持ちにさせる舞だ。
多少拍子がずれていても、ちょっと振りを間違えても、
そこはご愛嬌、ということで許してもらおう。
冴来には冴来にしかできない舞を、雅人には雅人にしかできない舞を、
それぞれに踊り終えて清々しい気持ちで舞台を降りる。
いつのまにか、空にはぷかぷかと、白い綿のような雲が浮かんでいた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
白丸 あこ
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年02月20日
参加申し込みの期限
2018年02月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年02月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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