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天舞寝子杉
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「よい、しょ……っと」
なんとも重たそうな掛け声と共に、
八神 修
は苦労して寝子杉の根元まで運んできた荷物を背から降ろした。
背負ってきたのは、寝子杉の前に備える米、塩、酒、それらを乗せる食器。
さらには薪の入った空の一斗缶をふたつ。
欲を言えば一斗缶は四つ欲しかったのだが、アコーディオンも運ぶ関係で
さすがに一人では運びきれず泣く泣く断念せざるをえなかった。
手早く一斗缶を並べ準備を進めていく修に、
おずおずと
遠野 まほろ
が声をかける。
「それは、なにを……?」
「ああ、島の他の場所にある雨雲をここに呼べないかと思ったんだ。
即席の人工降雨装置、ってとこかな」
「人工、降雨……」
修はここで火を焚き、煙の粒子を上昇気流に乗せて
敢えて空中に送り出すことで、周囲の雨雲からの水蒸気を雨に変えるつもりのようだ。
歌や舞で起こす振動は、煙粒子を核にした水の粒の結合を促す……かもしれない。
古来より伝わる雨乞いの儀で焚く篝火や舞楽の奉納には、
そんな効果もあるという説を唱える者もいるのだ。
効果のほどは定かではないが、寝子杉のためにやれることは全てやっておこうと、
修は今の自分にできる対策を講じたのだった。
「私も手伝ってもいい……かな」
「ああ、助かる」
やはりおずおずと、しかし真剣な表情で申し出たまほろに、
修はにっこりと笑いかけ、ふたりで篝火の準備にかかる。
寝子杉から十分離れた場所に一斗缶を設置し、
周囲から枯葉や枯れ枝を拾ってきては入れていく。
修やまほろが歩くたびに巻き起こる土埃は、
寝子杉の周辺がいかに乾燥しているかを物語っていた。
さすがに長期間雨が降っていないだけあって、拾った枝も葉も乾ききっていた。
生気のかけらさえ感じられないそれを見て、まほろはきゅっと胸が痛む思いだった。
おそらく以前は、まほろの頭上に広がる青々とした枝葉と同じく、瑞々しい姿をしていたのだろう。
このまま雨が降らなければ、次は寝子杉がこんな姿になってしまうのかもしれない。
それだけは絶対に避けなければと、まほろも心を決めた。
十分に枝や葉が集まったところで、修が一斗缶に火を入れる。
初めはちろちろと枝の間から覗いていたオレンジ色の灯はすぐに勢いを増し、
一斗缶の中にあるものすべてをなめ尽くすような速度で強くなっていった。
ふたつある一斗缶は忽ち即席の篝火となり、周囲の空気も熱を帯びる。
燃えた枝や葉が灰となって空に舞うのが見えた。
「さ、これで準備は整ったな」
舞い上がる火の粉を見上げ、修は満足そうな声を上げる。
火の粉が立ち上っていく晴れ渡る空には、今のところ雨雲の気配はない。
「本当に、雨、降るのかな……」
「降るのかな、じゃない。何としても降らすんだ。寝子杉が枯れるのは困るからな」
不安そうにつぶやくまほろに、修が励ましの言葉をかける。
「そう、だよね……寝子杉が枯れちゃったら嫌だよね……」
修に励まされ、まほろもこぶしをきゅっと握りしめて気合を入れる。
「遠野は、何を歌うんだ? それとも、踊るのか」
あんまり想像つかないけどな、と冗談めかして言う修に、まほろは少し困った様子で答えた。
「……正直に言うと歌も踊りも自信がないんだよね。
大きな声で歌うのも、失敗しないで踊るのも出来そうになくて……でも」
顔を上げたまほろは、からからに乾いた寝子杉の樹皮を見つめた。
乾燥と初夏の日差しのせいだろうか、寝子杉の樹皮は今にもひび割れてしまいそうだ。
痛々しいその姿に、まほろの中で、なんとしても助けなければという気持ちが募る。
「寝子杉が元気になるためなら、頑張るよ」
「……そうだな。俺も手伝おう」
修とまほろは気持ちも新たに、それぞれ歌と踊りの準備を始めた。
「俺は、これを演奏しようと思うんだ」
修は、篝火の影響を受けないよう、
少し放しておいてあったアコーディオンを抱えて戻ってくる。
「アコーディオン?」
「ああ、そうだ。歌にしろ踊りにしろ、伴奏は必要だろ?
よければ、遠野の伴奏も手伝ってやろうか」
「本当に? うん……助けてもらえると嬉しいな」
修のありがたい申し出にまほろが頷くと、修は少し照れたように、
俺に演奏できる曲だといいが、と付け加えた。
「ええと、これなんだけど……」
そういって、まほろは歌おうとしている曲の一部を小さく口ずさんでみた。
祈りの言葉が込めてあったり、由緒正しき謂れのある曲ではない。
まほろだって、従兄に勧められるまではこんな曲があることも知らなかった。
少し探せばよくある町のCDショップで、普通に売られているような
そんななんの変哲もない曲なのだ。
だが、その美しい旋律とまるで心に語りかけてくるような歌詞は
不思議と幼い頃から、まほろの心を捉えて離さない。
まほろに曲を勧めた従兄もこの曲は気に入りだったらしく、
なんどもCDを聞いて、一緒に歌ってきた思い出の曲だった。
人々に愛された寝子杉には、この曲がぴったりだとまほろは考えたのだ。
「ああ、その曲なら俺も知っている。そうだな、こんな感じか」
どうやら、修もまほろが歌った曲を知っていたようだ。
まほろの口ずさんだフレーズに合わせて、数小節、アコーディオンを弾いてみせた。
「うん、そんな感じ。……よろしくお願いします」
「ああ、まかせてくれ。がんばれよ」
そう言ってまほろの肩をぽんと叩いた修はまほろの側を離れ
少し離れた位置でアコーディオンを構えた。
一人になったまほろは、寝子杉の正面、ちょうど並べて置かれた篝火の間に立つ。
まるで神聖な舞台に立ったかのような厳かな気持ちにさせられる空気に、自然と背筋が伸びた。
緊張は、している。
けれど緊張よりも、早く寝子杉を元気にしてあげたい気持ちの方が、
ほんのわずかに勝っていた。
おおきくひとつ深呼吸をして、アコーディオンを構えた修に合図を送る。
まほろの合図を受けて、修はアコーディオンを鳴らし始めた。
アコーディオンの柔らかな音色に勇気づけられ、まほろはそっと歌い出す。
よく知る曲のはずなのに、いつもCDで聞いているのとは全く違う音色、歌声。
修が演奏し、まほろが歌っている以上当たり前のことだが、
なんとなく新鮮な気持ちで曲に耳を傾け、少しずつ溶け込んでゆく。
美しいと思っていた歌詞のその奥に、そっと存在していたなにかに触れる。
初めは恥ずかしそうに、小さな声で歌っていたまほろも少しずつ歌に気持ちが入り始め、
柔らかな音色の歌声が、伸びやかに寝子杉を包み込む。
一曲歌い終え、晴れやかな表情で振り返ったまほろは、
背後にいた有志の島民たちや仲間たちに拍手で迎えられ、恥ずかしさに照れてはにかんだ。
「なんだ、しっかり歌えるじゃないか。俺よりうまいんじゃないか?」
「えっと、……ありがとう。八神君も、頑張ってね」
冗談めかして修に褒められ、まほろは更に照れながら、修に声援を送る。
ああ、と応えて、修はアコーディオンを抱えて寝子杉の前へと立った。
「さて、何を歌おうか」
雨乞い、といえば、伝承や民話、民謡として各地に残る歌もあるが、
有志の島民たちに認知されているかといわれれば難しいところだろう。
島民たちの、先ほどのまほろの歌への反応は良かった。
なら、少しでも耳馴染みがありそうな歌の方がいいかもしれない。
そう考えた修は、あえて民謡の類ではなく、皆も知っていそうな最新の曲を選んだ。
自分で奏でるアコーディオンの調べにのせて、
大きく息を吸って腹から声を出すように歌う。
元々は女性がリードボーカルを務める曲なので、
自分で歌いやすいように調整し、より強く思いを込めた。
低く歌う修の声に、背後の皆が聞き入っている気配がする。
ちょっと恥ずかしいが、寝子杉のためにできることはすべてやると決めたのだ。
今更ここでやめるわけにはいかなかった。
最後の一音まで丁寧に歌い上げ、しっとりとした雰囲気に包まれた寝子杉の前に、
島民たちのあたたかな拍手が響いた。
空はまだ、晴れ渡っている。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
白丸 あこ
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年02月20日
参加申し込みの期限
2018年02月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年02月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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