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「君、その服でここまできたのかい?」
薄羽 白露
は
三宅 葉月
のゴシックなドレスを見て何の気なしに疑問を口にした。
「ええ。いけない?」
ぼんやりと、夢でも見ているかのような口調で、葉月は尋ね返す。
「いや、いけなくはないけどさ。大変だったろうなーと思って」
「なんてことないわ」
葉月にとっては、これが普通だ。
今までも、これからも、これが葉月なのだった。
その何が大変なのか葉月には見当もつかず、翡翠の瞳を瞬かせる。
「そうかい? まあ、せっかくの綺麗なお洋服、
雨でぐじゃぐじゃになっちゃわないといいね。
ほら、いまはこっちのほうが土埃がマシだよ」
そう言って、白露は比較的土埃の少ない風上の道を選んで葉月に譲ってくれる。
白露本人に、悪気はない。ただ少し、思った通りの疑問が
正直に口をついて出てしまう性質なだけなのだ。
そうして、葉月と白露は寝子杉の聳える広場へと足を踏み入れた。
寝子杉の聳える広場の空は少し雲行きが怪しくなってきている。
ここまで雨乞いの踊りや歌を捧げた皆の祈りの成果かもしれない。
あと一押しをより効果的にするために、
白露と葉月はまず寝子杉の調査から取り掛かった。
「『悪いものが憑いている』という噂も耳にしたけれど、
実際のところどうなんだろうね」
陰陽師を自称する白露は、異変の原因を探るため
寝子杉だけではなく辺りの森の木々までも丁寧に調べ上げていった。
悪いものが憑いている、何者かが仕掛けたまじないなどの
いわゆる白露の得意分野の影響か。
あるいは、ただ単に天候や気流が影響した、環境的な素因なのか。
周辺の木々と寝子杉の違いを調べれば解決の糸口が見つかると思ったのだ。
寝子杉周辺の木々は、寝子杉を中心にした円を描くように異変の影響を受けていた。
いずれも寝子杉に近ければ近いほど樹皮が乾いており
反対に、寝子杉から離れれば離れるほどに瑞々しい葉を残す木も増えてくる。
森の中に呪詛が仕掛けられていれば、中心は寝子杉にはならないはずだ。
異変の原因は、寝子杉にあるとみるべきだろう。
次は寝子杉を調べて、異変の種類を探らねばならない、と。
寝子杉の所まで戻ると、既に寝子杉の根元には葉月がいた。
翡翠の瞳を静かに伏せて、乾いた樹皮が白い掌に擦れるのもかまわず触れる。
瞼を縁取る長い睫毛が、ふるりと揺れる。
葉月が何を『視て』いるのか、側で見ている白露にはうかがい知ることはできない。
しかし、異変の中心と思われる寝子杉を前にした
葉月のそのあまりに霊的に無防備な行動に肝が冷えた。
とにかく、何か異変や悪影響があるようならすぐに動けるようにしようと
手に呪符を持って覚悟を決める。
森はしんと静まり返り、広場で燃える篝火のはぜる音だけが嫌に耳につく。
相手が悪霊や呪詛のたぐいなら、葉月が寝子杉に触れた時点で
なにか異変が起きそうなものだがそれもない。
とりあえず急を要する危険はないかと判断し、白露は改めて寝子杉周辺の気を探る。
もしも悪霊や魑魅魍魎がいるのなら、何が目的なのかを聞き出して
気持ちを満たしてやるなり、願いを叶えてやるなりして目的を果たさせてやれば異変は収まる。
「どうしても話が通じないで、ただただ悪影響を及ぼすなら
僕も対策をとらなければならないけど……それは最終手段だ」
白露は、人や寝子杉に傷ついてほしくないのと同じくらいに、
霊的なもの、一般的には邪悪とされる者達にも痛みを感じてほしくなかった。
自分にできる限りの救済を与えてやりたいと思っている。
この寝子杉に影響を与えているのは、果たして……。
葉月の隣に並び、白露自身も寝子杉に触れる。
悪意や邪気、孤愁といった負の気は感じられない。
それどころか、ここには人ならざるものはいない。
かといって、人がいるわけでもない。
これはもっと、例えていうなら白露たちもれいびに近しいような――……
白露がそこまで考えたところで、不意に葉月が寝子杉から手を放し、
ふわふわと雲の上を歩くかのような足取りで広場の篝火の方へ歩いてゆく。
「ねえ、ちょっと!」
白露が慌てて声をかけたが、聞こえていないのか、返答はない。
結局葉月の後を追い、白露も広場へと向かったのだった。
葉月は今、寝子杉の中にいるような気がしていた。
正確には、寝子杉が過ごしてきた長い長い時の中に。
目を閉じて、寝子杉に触れ、篝火のはぜる音を聞きつづけているうちに
軽い催眠状態になってしまったようだ。
気づけば葉月は、夢を見ていた。
寝子杉の気持ちを理解しようと、寝子杉に寄り添っているうちに
人の生よりはるかに長い、悠久にも等しい年月を生きてきた寝子杉が
その移ろう時間と変わりゆく世の記憶を、そっと葉月に届けてくれた、
そんな、少し不思議で、木漏れ日の煌めきに溢れた白昼夢を。
眠っているような、目覚めているような、曖昧模糊とした感覚の中で
葉月は衝動に突き動かされるように篝火の間に立ち、
気づけば、勝手に歌が唇からこぼれていた。
今夢で見たばかり、すこし手を伸ばせば鮮やかに蘇る緑陰の幻。
それを即興の歌詞に乗せアカペラで歌うことは、葉月にとってはたやすいことだった。
囁くような歌声が奏でる大樹の夢は森の木々のざわめきと混じりあいひとつになる。
その姿はまるで一枚の絵画のようであり、
同時に、寝子杉に宿る寝子杉の精霊のようにも見えた。
「なるほど、そういやこれ、雨乞いの儀式だったね」
すっかり忘れてた、とちょっとおどけた笑みを浮かべて、
白露は葉月の歌に合わせて笛を吹き始める。
それは、いつもにぎにぎしい白露からは考えられないほどに
真面目で切なく、愛おしい音色だった。
切々と、まるで愛を語りかけるかのように、
寝子杉に、そして白露自身が見てきた数々の人ならざるものに思いを馳せる、
胸を打つ音色だ。
素人ながらも味のある白露の笛の音と、囁くような、柔らかな葉月の歌声は
祈りを捧げるという本来の目的を通り越して、
すべての苦痛に救済をもたらすような慈愛の音色を奏で始める。
葉月は、笛の音には気づいているのかいないのか、
表情一つ変えることなく、次々と音を繋いでゆく。
その音色に導かれたのだろうか。
白露はふと、先ほど寝子杉に触れた時に感じた気配がどこかへ去ってゆくのを感じた。
……あれは、神魂だった。
理由はわからないが、なにかの拍子に寝子杉に宿ってしまい、
神魂の持つ火の気が寝子杉周辺から雨を遠ざけていたらしかった。
一同の歌や舞に満足したのか、あるいは賑やかすぎてうんざりしたのか、
どちらかはわからないが、とにもかくにも神魂は今、寝子杉から離れてどこかに去って行った。
そうわかった途端に、ぽつり、ぽつりと雨粒が
葉月と白露の頭に、肩に、腕に当たり始める。
雨だ。
いつのまにか葉月は歌い止めており、白露も笛を下ろした。
雨粒はみるみるうちに大きく、強くなり、あっというまに本格的な土砂降りになる。
葉月と白露の様子を見ていた一同が、早く、こっちこっちと寝子杉の下から呼んでいた。
「走れるかな、急ごう。綺麗なお洋服が台無しになるよ」
そう言って白露は葉月を急がせる。
葉月は特に慌てた風もなく、まるでいま目が覚めたかのような表情で
じっと白露を見つめて一言、
「あなたの笛の音、綺麗だったわ」
と言った。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
白丸 あこ
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年02月20日
参加申し込みの期限
2018年02月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年02月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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