携帯戦記カプセルギア　外伝『おじさん達のカプセルギア！』｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　外伝『おじさん達のカプセルギア！』

【epilogue】

　そして、時を同じくして、長引いていた猫屋敷宝さんと八重崎五郎八さん、新田樹さんと牧雪人くんのギアバトルも決着の瞬間を迎えようとしていました。
「あーもー、ちょこまかと！　でも、今度こそ貰います！」
　五郎八さんのグリフィージスが翼をはためかせて、宝さんのクンビーラに急接近！
「クック、いいのかい？　そんな無防備に突っ込んで」
「え……？」
　ニヤリと笑う宝さんの操作に応じて、クンビーラが取り出した切り札は――ネコジャラシでした。
「ほーれ、コチョコチョコチョ」
「……し、しまった、グリフィージスはネコ科（？）だからネコジャラシは弱点……なわけあるかーい！！」
　ノリ突っ込みしつつ、五郎八さんのグリフィージスによるバリアフィールド突撃がクリティカルヒット！
　クンビーラはあっさりと負けてまいました。
「ほっほ。負けてしまったのう」
「……おじいさん。さては今のがやりたかっただけですね？」
「いやいや。楽しかったぞ、お嬢さん」
「いえ、こちらこそ勉強になりました。おもにボケとか突っ込みとか」
　思わぬ収穫（？）を得た五郎八と宝さんがガッチリ握手を交わす姿は、カプセルギアの世代を繋ぐ力が垣間見えるようでした。
　一方、ネタに走らずガチンコ勝負を続けていたのが、樹さんと雪人くんでした。
「……もうミニ悟空の残機も少ない。出し惜しみないで行くよ！」
　樹さんは、筋斗雲の高機動でフィールド全体にバラまいたありったけのミニ悟空を一気に雪人くんのボナパルト２のもとに進軍させて、ファイナルアタックを仕掛けます。
（……っ！　さすがにやる……！　だけど……！）
　それに雪人くんはキラリと瞳に鋭い光を走らせると、素早いフリック操作とタップでボナパルト２の位置と照準を微調整。
　プロゲーマーさながらの操作で、ミニ悟空の自爆攻撃を移動で回避、回避しきれないものをビームガンで撃ち落としていきます。
「これも食らえっ！」
「……っ！？」
　と、そこに樹さんが如意棒を投げやりのごとく投げつけて、追加攻撃をしてきます。
　さすがの雪人くんも対応しきれず、ビームガンを取り落としてしまいます。
（……よし、ここで念力で如意棒を取り戻して――！？）
　そのとき、樹さんはボナパルト２が銃を拾わず、むしろ捨て身の接近をしてくることに気づきました。
「……ボディがガラ空きだよ」
　次の瞬間、ミニ悟空を全部射出して、ほとんど空洞になったボディにボナパルト２の左ストレートが直撃しました。
「……っ……そんな……！？」
　もともと攻撃パーツでないボナパルト２のレフトアームはひしゃげてしまいましたが、それは悟空のボディにも致命的なダメージを与えたようです。
　それで、悟空はパワーダウン。
　雪人くんは、肉を切らせて骨を断つ戦法で、樹さんにギリギリのところで勝利を収めました。
「……負けちゃったかー。やっぱり強いね。でも、今度は負けないよ、MAKIYUKI」
「まあ、悪くない戦いだった」
　樹さんの言葉に、雪人くんは無表情のままそんな返答。
　でも、
（……正直、危なかった。でも、これくらい戦えるギアマスターをもっと集めることができれば）
　内心で、雪人くんはそんなことを考えてもいるのでした。集めることができれば……なんなのでしょう？
　岡瀬靖久さんは、二人の戦いを見届けて、パチパチと拍手をしていました。
　顔はあいかわらず無表情でしたが、心の中では猛烈に感動していました。
「……いや、本当に最近の玩具は凄い。それをなんなく操る子供達も、とても凄い。僕も少し手を出してみたくなりました」
　靖久さんが感想を述べれば、善場店長もうんうんと頷き、
「では、さっそく今日にでもカプギアデビューしてみては？」
「……いえ、今日はやめておきます。でも、いつかきっとまた遊びに来ます」
　そう言って、靖久さんは模型店を後にします。
　背中で、まだ楽しそうにカプセルギア談義に花を咲かせている人々の声を聞くともなしに聞きながら

（そうだ。帰ったら娘に、カプセルギアって知ってるか聞いてみよう）

　そんなことを思う、今日の靖久パパなのでした。

〔了〕

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あとがき

担当マスター：水月鏡花
ファンレターはマスターページから！

というわけで、ご参加頂いた皆様、お疲れ様でした。ＭＳの水月鏡花です。
カプギアシナリオは今回初挑戦でありましたが、皆さんのアイデアや熱意の詰まったカプギア同士のバトルをリアクションにするのは、大変に想像力を刺激するアツい作業でありました。みなさんの描きたかったカプギアの姿を、ほんの少しでも理想に近いかたちで描けていれば嬉しいです。
思えば、小中学生の頃は『某連邦の白いアイツ』のパイロットになりたいと本気で思っていました。「５秒で墜ちるからやめとけ」と友人に真顔で諭されて（´・ω・｀）な顔になったのは、今も良い思い出。今でも彼とは良い友人です。
だいたいそんな感じ。カプギアシナリオはまたやりたいと思っているので、ご縁がありましたら、またよろしくお願いしますね。
それでは最後になりましたが、ご参加頂いた方、ここまでお読み頂いた方、そして「らっかみ！」に関わる全ての方々に感謝を。
ではでは、またどこかのあとがきでお会いできることを祈って。

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