携帯戦記カプセルギア　外伝『おじさん達のカプセルギア！』｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　外伝『おじさん達のカプセルギア！』

【真剣勝負】

　さて、そんな模型店の前で行われるアツいギアバトルを、どこか冷めた目で見つめる少年がいました。
（……まあまあ、かな）
　少年の名は牧雪人くん。寝子島の子供達の間では、ギアマスター「MAKIYUKI」としてちょっと名の知られた少年でした。
　と、そんな雪人くんの姿を見て、一人の女の子が「あ」と声をあげました。
「牧くん、だよね。ね、ちょっと、今、いいかな？」
　女の子の名前は、新田樹さん。スリルを愛する寝子中二年生の女の子です。
「……なに？」
　愛想もなく視線を向ける雪人くんに、樹さんはニコリと笑い、
「牧君ってカプセルギア強いんだよね。私とギアバトルしてくれないかな？」
　と言いました。
「……ふーん。自信ありそうじゃん。いいよ、やろう」
　そっけなく言いつつも、雪人くんの目にかすかな興味の光が宿るのを樹さんは見逃しませんでした。
「ふふ、ありがと。じゃあ始めましょ！」
　挨拶もそこそこに二人はそれぞれのカプセルギアを取り出して、早速ギアバトルを開始しました。
　樹さんが操る悟空は、その名の通り、西遊記の孫悟空をモチーフにしたもの。
「行け、筋斗雲！」
　飛行性能を持つ脚部「筋斗雲」で、樹さんは雪人くんのギアボナパルト２を低空から急襲します。
「飛行型か。でも、歩兵型だからって甘くみないで欲しいな」
　雪人くんが、すすっとスマホを指でなぞれば、ボナパルト２は軽快な足捌きでフィールドを移動しながら右腕のビームガンで悟空を狙い撃ちます。
「いい狙いだね。でも！」
　樹さんは、高機動の悟空にしっかりと狙いを定めてくる雪人くんの腕前に、むしろ嬉しそうに笑い、如意棒で攻撃を防御させます。
「へぇ、やるじゃん」
　それに、雪人くんも、ほんの少し嬉しそう。
　そうして、二人のギアバトルはさらにヒートアップを続けていきます。

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