悠久のアクアマリン｜リアクション

悠久のアクアマリン

　辿りついた水路の先は、岩が削れてできた天然の広場のようになっていた。
広場に足を踏み入れた一同は、眼前に広がる光景に息を飲む。
青く流れる水路は、そのまま広場の真ん中で小さな泉のごとく
円形に形作られた水場に流れ込み、
泉の中には、一抱えもありそうなほどの大きな水色の鉱石が鎮座していた。
土台となっている岩場が水の中に姿を隠しているせいで、
まるで海面に浮かんでいるように見える。
……おそらく、あれが悠久のアクアマリンだろう。
周囲を泉に囲まれているせいで、砕けた欠片等はすべて海に飲まれているようだ。
水路を流れた水がそのまま流れ込むその泉には、
当然ながら水路に浮かんでいたクラゲたちも流れ込んでいる。
彼らの放つ光を受けて青く輝くアクアマリンは
まさに悠久に胸に残るような美しい姿をしていた。
「これが……悠久のアクアマリン？」
　目の前の幻想的な光景に言葉を失っていた一同は、
莉鳥の小さな独り言のような、呟くような感嘆の声でようやく我に返った。
「ほわあー……！！　これがアクアマリン？
すごーい、きれー……！　空と海の色だあー……
そんでもってすごいたかそー……」
　身も蓋もない感想を述べるのはメリィだ。
「綺麗な石ですねー……！」
「へえ、こいつは大したもんだ」
隣で、リリエルも感動の面持ちで目を輝かせている。
ゲースは平時と変わらず、飄々とした態度ではあるものの
彼なりにこのアクアマリンには感じ入るところがあるようだ。
アクアマリンに向かって手を合わせ、拝むように眺めていた。
「高値で売れそうだが……見ていくだけで十分だな、ごりやくごりやく」
　莉鳥は、最初の一言の他は言葉を失うほど、息を飲むほどにその輝きに魅せられていた。
揺らめく青い光を心に刻むように、瞬きさえも忘れてアクアマリンを見つめている。
アクアマリンの周囲は底の見えない海に繋がっているので近くには寄れなかったが、
たとえ近寄れたとしても、恐れ多いほどの美しさに圧倒され、
手どころか指を触れることすら敵わなかっただろう。
真白、美咲紀、修は記念、調査や後学のため資料のためと
アクアマリンの周囲を回って念入りに写真に収めているようだ。
それを見て刀も、一瞬カメラに手を伸ばしかけて……やめた。
こんなに美しい光景は、写真に収めなくとも
きっと、胸に焼き付いて忘れないだろうという確信があったのだ。
代わりに、周囲を見て回って、ここにアクアマリンがある意味を探る。
なぜここにこんなに大きなアクアマリンがたどり着いたのか、
それを考えるだけで興味が尽きない。
何かいわくつきの物なのか、誰にも触れられたくない愛する誰かへの贈り物なのか。
わざわざ岩場の仕掛けまで設置して厳重に隠してあったものだ、
きっとここにある意味があるのだろう。
しかし、刀がその意味を掴む前に大きな声を上げた者がいた。