悠久のアクアマリン｜リアクション

悠久のアクアマリン

　月のない夜の海。
打ち寄せる波の音が響く闇の中、何とか洞窟を脱出できた一同は
ロープを握りしめたまま数珠繋ぎになって真っ暗な夜の海に浮かんでいた。
「アクアマリン、沈んじゃいましたねえ……」
「うー、もっと見てたかったなー……また見られたらいいなー」
　リリエルとメリィがアクアマリンに未練を残していることに気が付いたゲースが
またしても根拠のない自信と見栄で胸を張る。
「だいじょぶだカワイコちゃんたち、
俺が星幽塔でもっといい宝石を買ってやるぜ～……ぶぇくしゅ！！」
　いくら初夏とはいえ、夜の海は冷えるものだ。
ゲースの盛大なくしゃみを聞いて、瓢がまた面白そうに笑い声をあげた。
「時間があったら回りたかったところ、まだたくさんあるのになあ」
「まあまあ、仕方ないよ」
「また古地図を手に入れられることを祈ろう」
　真白ががっかりしたように呟いたのを聞き、樹と刀が慰める。
「結局、困難に立ち向かう勇気が湧いてくる、って伝説の方はなんだったんでしょうね」
「どっちかというと、困難に無理やり立ち向かわされた気分だな」
「あのアクアマリンを見るだけでもう、困難を乗り越えたようなものだったしね」
　美咲紀が疑問を口にすれば、修と莉鳥がそれぞれの解釈を話す。
「でもまあ、なかなか楽しめたよな」
　刀の言葉に全員がうんうんと頷いて、一同はとりあえず寝子島に上陸するために
寝子ヶ浜海岸に向かって泳ぎ始めるのだった。

このページにイラストを設定する