悠久のアクアマリン｜リアクション

悠久のアクアマリン

　広場に通じていた通路を抜け、
盗掘対策が施されていた十字の水路を横切り、
長い直線を駆け抜けて飛び石のあったあたりに来る頃には、
すでに飛び石なんて必要ないほどの海水が一同に押し寄せていた。
「水が！　水が～！」
「もう顎の下まで来てますー！」
「このままじゃマズイわ……！」
　メリィとリリエルの手を引いてやっている莉鳥が焦った様子を見せる。
「さすがに、この人数を瞬間移動は無理かな……！」
「おぼれちゃうよーっ！」
「シュー君、なんとかならないですか？」
「お、俺に言われても……」
　一同は、泳いでいるような、走っているような状態の中で、
どんどん混乱を極めていく。
ただ一人、ゲースに担ぎ上げられている瓢だけはけたたましい笑い声をあげていた。
瓢を担いだゲースに、刀が近づいて声をかける。
「ゲース、さっき話していた義手でなんとかならないか」
「バカいえ、これは一人用だ。
ロープかなんかで全員数珠つなぎにでもしないといっぺんには無理なんだよ」
「非常用の綱ならあるぞ」
　刀とゲースの会話を聞いていた修が、背負った背嚢から綱を取り出して見せる。
すぐに全員にロープの端を持つように伝えて、
走ることも不可能になった洞窟から脱出するため、
ゲースは右腕の義手"マァヴティ"のジェット能力を解放した。
「頼むぜ、マァヴティ！！」

このページにイラストを設定する