悠久のアクアマリン｜リアクション

悠久のアクアマリン

一同が歩けど歩けど、周囲に見えるは岩場ばかり。
曲がり角も、それに通じる水路も、どこにも見当たらない。
「おっかしーなー、一つ目の十字路と同じように、
水路と曲がり角があるはずなんだよね？」
　真白が可愛らしく眉を顰めながら辺りを見回している。
「地図が正しければ、な。正直、あの古地図自体が偽物の可能性も無くはない」
「アクアマリンは無いってことですか！？　そんなのつまんないー！」
「俺に言われてもなあ」
　冷静に話す刀に、真白が駄々を捏ねるように食ってかかる。
　一方、一同が途方に暮れている間にも
水路の水位は上がってきていると気が付いたのは、莉鳥だった。
はじめに青い海を眺めたあの時よりもわずかに、
しかし確実に波の届く位置が高くなっていた。
引き際を考えなきゃまずいかな、と思案する莉鳥の視線の先。
海の中で、ふと、光るクラゲのようなものたちが
先ほどとは違う動きをしていることに気が付いた。
潮の流れに乗って揺蕩っているのは変わらないが、
一部の潮に乗ったクラゲたちが、
まるでどこかに吸い込まれるような動きで流れていくのだ。
それはちょうど、そう、雨上がりに排水溝に流れ込む落ち葉のような……。
「……もしかして」
　莉鳥は、一定の潮目に乗って流れていくクラゲたちを追いかけ
ついにクラゲたちが次々に吸い込まれ姿を消すポイントを見つけた。
急いで皆を呼び、クラゲたちの様子を見てもらうことにした。