摩訶不思議、寝子高龍！｜リアクション

摩訶不思議、寝子高龍！

●逃げる！　黄色の子猫珠

　源竜世と椿美咲紀は、黄色の子猫珠を捜して自転車置き場付近を走っていた。
　美咲紀はパステルカラーのふわふわした猫じゃらしを振って、逃げ回る黄色ちゃんにアピールする。
「性質はやっぱり仔猫だと思うのです。だからいっしょに遊んであげると、興味もって姿を表してくれるかもなのです」
「なるほどー！」
「こにゃんこボールちゃん、出ておいで。一緒に遊びましょ」
　しばらく猫じゃらしをふりふり呼び掛けていると、
　――なななーん！
　可愛らしい声がして、黄色の子猫珠が空中に現れる。
「早速発見！」
　竜世が指さす。
　大きさはバレーボールくらいだろうか。まあるくてふわふわで、長いしっぽを振っている。胸元（？）には毛並みと同じ黄色の蝶ネクタイ。イタズラっぽい顔つきで、「なーん」と鳴くと、追いかけっこしようとでもいうように、ひゅーんと逃げる。その逃げ足がまた、速い！　目にもとまらぬ速さとはまさにこのことだ。
「そうだ！　逃げ回ってんなら」
　竜世は赤と黒のドラゴンの形をしたカプセルギアを構え、願い、名を呼ぶ。
「スターライトナイト！」
　ろっこん＜オレとキミのナイショ＞が発動する。カプセルギアは姿を変え、もとのドラゴン型ギアの印象を残した黒髪で赤と黄色のメッシュの入った髪の、目つきの悪い青年になった。
「鬼が多い方が鬼ごっこは強いだろ！　スターライトナイト一緒に追いかけようぜ！」
『いいぜマスター。で、何を追いかけるって？』
「黄色の子猫珠だ。まるくてふわふわの猫みたいな……って、どこ行っちゃった？」
「見てください。私の目には止まりませんでしたが、これなら」
　スマフォを構えていた美咲紀は撮影した動画をスローで再生した。
　そこには確かに、黄色の子猫珠が横切る姿が映っていた。
「東門のほうに行ったみたいなのです！」
　そこに、新田樹が駆けてきた。調理室にあった一番大きなザルを抱えている。そのザルで子猫珠を捕らえようというのだ。
「噂の真偽は分からないけど、楽しそうだから私も参加するよ」
　樹は竜世と美咲紀を追い抜いて走ってゆく。
「スターライトナイト、オレたちも行くぜ」
『了解マスター』
　竜世とスターライトが駆けだすと、美咲紀も猫じゃらしをふりふり追いかけた。
「わぁみんな速い！　待ってくださーい！」

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