開店！写真館 Recollection｜リアクション

開店！写真館 Recollection

■雷鶏さんと時子さん
「じゃあ、ちょっと撮影の準備しちゃうから、新人教育は任せたわよ！」
　理子が機材をセッティングしている間、時子と幽が的子に店の中を案内していく。
　受付の手順や撮影までの流れ、ティーサービスについて説明すると、的子は真剣な表情で必死にメモを取る。
「衣装の着替えはここでします……。あ、せっかくだから的子さんにお手伝いいただきましょうか」
　おっとりとした笑みと共に時子が聞けば、ぜひ！と明るい返事が的子から戻り。
「実は今日、バイトのお仕事前に、撮影をお願いしておりまして……」
　的子と共に試着室に入ろうと進む時子に、念のため幽も
「俺も手伝うっすよ」
「的子さんにお手伝いの仕方を教えるのもありますので……大丈夫ですよ」
　ありがとうございます、と天然に微笑む時子だった。

「お、着替えバッチリじゃなーい！　的子ちゃんも手伝ったの？　偉い凄い！」
　スタジオに現れた時子の姿に理子が目を細める。
　卵の殻をイメージした乳白色の玉座は内部は桜色。そこに、白と赤をメインカラーとしたロングドレス姿の時子が腰掛けた。
「うわぁ、きれー……！」
　的子が眼鏡の奥の瞳をぽぅっと潤ませる。
　優しく可憐な等身大の時子も愛らしかったが、髪型を整え、メークを施した姿は更に輝いて見える。
　雷鶏さんも、ケージにいる間はコケコケ暴れかけていたが、ひとたび時子の手に収まればその勢いは止み。凛々しく誇らしげな表情を浮かべている。
「やっぱり時子さんの側だと雷鶏さん落ち着きましたね」
「ニワトリの着ぐるみ見せたらめちゃめちゃ鳴きだして大変だったんだぜー」
　的子の言葉に幽が大きく息をつく。
「それじゃあ、撮影するわよー！」
　理子の声と共に、スタジオ内にシャッター音が響き渡る。
（やっぱり……緊張しますね）
　笑みを浮かべるものの、どこか表情が強張る時子だったが。
「時子さんめっちゃ綺麗っすよ～！」
　幽が思わず声をかければ、思わず時子がはにかむ。
「ちょっと、そーゆーのあたしの仕事！」
「理子さんはシャッター切る係っすよー。さぁ的子ちゃんも一緒にー」
「御巫さん、綺麗っ！」
　声を上げる的子に、時子は思わず笑みが零れ。
「おっ、今の表情いいわよ時子ちゃん！さぁ、もっと気持ち盛り上げる言葉を！　セイッ！」
「理子さんマジでシャッター切る係になってるっすよ」
　こうして和やかに賑やかに。時子の撮影時間は過ぎて行くのだった。

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