開店！写真館 Recollection｜リアクション

開店！写真館 Recollection

■バイトの最終日
「お疲れ様でしたー！！」
　数日間のバイトが終わり、時子、幽、的子の３人はテーブルを囲んでいた。
　時子には温かな紅茶とフルーツタルト。的子には塩煎餅と煎茶。幽には前回同じく大きくカットされたチーズケーキが振る舞われ。
「随分大きいですね……！」
　的子が眼鏡の奥の目を丸くすれば
「的子ちゃんこそ、煎餅チョイス渋いじゃん。何、理子さんに遠慮してんの？」
「遠慮じゃないです！好物なんですっ」
「塩煎餅も美味しいですよね……」
　時子も同意しながら、ケーキの甘みを堪能し。しばしほっこりとした時間を過ごしていると、理子が三人の元に顔を出した。
「三人ともお疲れ様でー！そしてっ、時子ちゃんの写真、どうぞー！」
　そう言いながら、時子に写真を手渡す理子。

「凛々しい雷鶏さんも素敵ですね……。部屋に飾らせていただこうと思います……」
　そう言い写真に見入る時子に
「時子先輩もめちゃ綺麗っすよー」
　ありがとうございます、と言いながら頬を染める。
「改めて、色んなセットや小物があってビックリしました」
　そんな時子の言葉に理子が胸を張る。ドヤ顔で。
「まさかガマガエルの被り物があるとは思いませんでしたがー」
　的子が思い出しながら笑えば
「そう言えば！　理子さん俺の写真はっ？」
「ご安心なさい、ちゃんと現像したわよー」
　理子がジャン！とアルバムを見せれば……そこには凛々しいタキシード姿の幽の姿が。
「いつの間に撮影していたんですか？」
　的子の言葉にへっへっへ、と笑みを見せる幽。
　ジューンブライドの男性モデルが少なそうだ、と思ったことや
「俺、寺の息子なんでタキシード着る機会多分無いなって思ってて……」
　と理子に打ち明け、こっそりと撮影していたわけであり。
「頑張ってご褒美……っていうよりか、本当に男性写真は少なかったし。幽くんイケメンだし！撮ってて楽しかったわ」
　嬉しそうな笑みを見せる理子。
　的子は見せてもらった写真をマジマジと見。
（紗雪さん、バイト中は気さくでノリが良いお兄さんだけど……）
　タキシード姿でビシッと決めた写真は凛々しく、雰囲気がまた違う。とても格好良い、と思う。
　的子がこの写真館でバイトを決めた理由の一つ、それは撮影によって普段は出せない自分や、なりたい自分を引き出すお手伝いが出来れば、と思ったこともある。
　今回のバイトで沢山の人々のお手伝いをし、また満足する表情を見れたことはとても良い経験になった、と思える。
「俺としては２人のドレス姿も見たいけどー」
　そう言う幽に時子は
「ウェディングドレスは学校のイベントで着ましたが……本物のお嫁さんになった時にまた着たいですね」
　憧れます……と、時子が頬を染めるのを、理子はうんうんと頷く。
「その時はうちでも写真撮影してほしいなぁ」
「そう言えば、理子さんのウェディングドレス姿の写真も見てみたいですね」
「あたし！？」
　思わず焦りを見せる理子に
「そう言えば、向こうの棚の奥を掃除していた時に……」
　的子が思い出したように声を上げれば
「ちょっ、的子ちゃん見つけてたの！？」
「え、見せてほしいっす。どこですかー」
「だめ！ない！」
　あれだけ写真を撮っておきながら、自分の写真は恥ずかしいのか、と笑う時子と的子だった。

「本当に、３人ともありがとう」
　甘いものを平らげて落ち着いた後、理子が改めて頭を下げた。
「時子ちゃんは柔らかな対応でお客様の緊張を癒してくれて。あと、着物のお客様の着付けも対応してくれととっっっても助かっちゃった」
　とんでもないです、と時子もお辞儀を返す。
「幽くんは男女問わずモデルのスカウトに行ってくれて。スカウトマンとしてやってけるんじゃないかしら、って思った位よ。着替えや衣装選びのセンスも抜群だったわ」
　そうっすかね、と幽が照れ笑う。
「的子ちゃんは、本当に気が利いて！お茶出しのタイミングや、私の手が届かないお掃除まで。裏方希望だったけれど、沢山接客もお願いしちゃってごめんなさい。でも、とても助かったわ」
　そんな理子の言葉に、的子は笑み。
「ぜひ、またお手伝いしてくれたら嬉しいわ。本当に、ありがとう」
　理子の言葉に、改めてバイトの終わりを感じる３人だった。

　お店を出て、的子は鞄の中からがま口財布を取り出す。
　ツギの当たった縮緬の財布を握ると、的子の胸に安心感が生じ。
　今の生活になる前からのお財布。
　お父さんから『お財布の代わりに』と渡されたカードは的子にとっては得体が知れず、そう気楽に使えるものではなくて。だからこそ、今回自分で働いて自由に、安心して使えるお金を得たかったというのもあり。
　振り返れば、店のショーウィンドウには、様々なウェディングドレス写真と、ドレスが飾られており。
（いつか、私もこんな素敵なドレスを着る日が来るのかな）
　しばし、美しい純白に魅せられる的子だった。

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あとがき

担当マスター：金原りく
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この度はご参加いただき誠にありがとうございました！
金原りくですっ。

明確なシリーズではないものの、以前に出したシナリオと同舞台ということで
ドキドキも沢山でしたが、前回お世話になったＰＣ様、はじめまして！なＰＣ様。と
バラエティ豊かに書かせていただくことが出来、本当に感謝しておりますっ。
今回も執筆していてとてもとても楽しく……やりすぎていないか心配ですが、
少しでもお気に召していただければ幸いです。

また今後もらっかみ！タイムの一か月の間で一回位はリコレクションを舞台に
シナリオ出したいなぁ、と思っております。
琴線に触れ、またご縁がありましたら何卒よろしくお願いいたします！

素敵なシチュエーションの数々を、本当にありがとうございました！！

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