寝子高のとある（非）日常｜リアクション

寝子高のとある（非）日常

●きらきら！　２人の学生生活！（２）

　教室に島岡雪乃先生が入ってきて、メリィ・ランページの天敵、英語の授業いざ開幕！
「では、この問題を……ランページさん、和訳お願いします～」
「は、ハイッ！」
　英文をすらすらと読み上げた島岡先生に指名されて、メリィは上擦る声で返事をした。
「え、えぇーと……」
　当然、メリィは黄色の瞳をぐるぐるさせている。その内心は、
（えぇー、何言ってるかさっぱりなんだけどー！？　なんで英語なの！？）
　である。けれどその時、メリィの元に救いの天使が舞い降りた。
（あ、メリィちゃんに問題がふられました！）
　なんて、事の行く末を見守っていたリリエル・エーテライトである。
「えっと、この内容は確か……。メリィちゃん、その問題は……」
　リリエルの囁きに耳を澄ますメリィ。そして、
「！！　はいっ、答えは……」
　メリィは、耳に聞こえてきたままを、自信満々で繰り返した。島岡先生が一つ頷いて、
「Excellent！　大正解です～！」
　と、にっこりとする。ほう、とメリィが息を吐く横で、
（ふぅ、当たってたようですね！）
　と、リリエルも安堵の息を漏らしていた。
「えへへ、ありがとーリリエル……助かった～……」
「良かったです！　この調子で頑張りましょう！」
　先生の目を盗んでひそひそ囁き声を交わすどきどきも、きっと学生の醍醐味、のはず。
　かくして、英語の授業は無事に終了した。
「何とかしのげましたね！　メリィちゃん、次は移動教室みたいですが……準備は大丈夫ですか？」
「ええっと……リリエル、次は何の授業だっけ？」
「次は……うっ。情報、です」
「情報？　機械とかは苦手とかないし、あたしは大丈夫！」
　ぱっとメリィの声が晴れる。その代わりに、
「メリィちゃん機械大丈夫なんですね！　すごいです！　でも……うう、私、機械は苦手なんですよね……」
　と、時間割表を手にしたまま、今度はリリエルが不安顔に。
　けれど――声を沈ませるリリエルに向かって、メリィは元気よくブイサインを決めた。
「ふふーっ、任せておいて！」
「え？　メリィちゃん、任せろって……」
「今度は、あたしがリリエルをサポートするってこと！」
　えっへん！　とメリィが胸を反らせば、リリエルの青の瞳に星の煌めきが散る。
「それじゃあ、よろしくお願いします！」
「もっちろん！」
　とくれば、いざ、移動教室だ。
　コンピュータ室には、名前の通りずらーっとパソコンが並んでいて、
「はわわ！　見たことのない箱がいっぱいです！」
　なんて、リリエルはくるりと目を丸くした。
　席は自由ということで、ちょこん、と隣り合って座る２人。
「えっと、まずはどうすれば？」
「んとね、まずここの電源を押して、起動するのね」
「デンゲン……？　キドウ……？　と、とにかく、ここのボタンを押せばいいんですね？」
　メリィに倣って、リリエルが恐る恐るボタンをぽちり、パソコンを起動させる。
「はわっ！　動きました！？　メリィちゃん、次はどうすれば！？」
「起動したらこれをダブルクリック……あ、これの左の方をかちかちって、２回素早く押すの」
　リリエルから見たら、パソコンは、とんでもなく精密でとびきり扱いの難しい謎だらけの箱だ。
　しかし、メリィはそれを軽やかに、何でもないみたいに使いこなす。
「メリィちゃん……すごいです……！」
　尊敬と羨望にリリエルが眼差しを煌めかせるその隣で、
「えへへーっ。なんかよくわかんないけど、機械の操作って楽しいからさー！」
　なんて、メリィは文明の利器をパーフェクトに操ってみせるのだった。