フード・プレゼン・バトル　〜語れ！　好きな食べ物！〜｜リアクション

フード・プレゼン・バトル　〜語れ！　好きな食べ物！〜

７　マリエッタ・ラシュリエによるプレゼン『お好み焼き』

「続いてはマリエッタ・ラシュリエさんです、どうぞ！」
登壇したマリエッタが丁寧にお辞儀をすると、拍手が鳴った。
テーブルにはホットプレートと各種食材が置かれている。
「想像してみて。例えばこんなシチュエーション——」
柔和さと理知的な雰囲気を兼ね備えた口調で、マリエッタは語り始めた。
「今日は休みの日のお昼時。これといって食べたいものがない。でも、食事を抜いたら後でドカ食いして結局太っちゃうので、それなら最初からガッツリ食べちゃった方がいいよね。——冷蔵庫をのぞいたら、野菜とか肉とか魚介類とか缶詰とか、これそろそろ食べちゃった方がいいんじゃない？　っていうものも少なくない。これらの食材をひとまとめにおいしくいただくにはどうしたらいいかなー、なんて思ったら、お好み焼きが思いついちゃった」
マリエッタは手元の材料を手に取った。
生地に具を入れて、混ぜる。
「具はなんだって合うの。そういう懐の深さもお好み焼きの魅力だよね。こうやって生地を作ってると、なんだかとても心がときめいてくるじゃない？」
そして生地をホットプレートに流し込む。少しすると、だんだん焼けて表面が固くなっていって、辺りに香ばしい香りが漂う。
「……そろそろかな」
両手にコテを構えて、慎重に生地の下に差し込む。そして深呼吸。
観衆も思わず息を飲む。
「——んっ！」
一気に手首を返す。生地は綺麗にひっくり返った。
「おおっ！」「やるな！」
観衆から歓声が飛ぶ。マリエッタはほっと胸を撫で下ろした。
それから両面を丹念に焼くと、マリエッタは唇の前に人差し指を立てた。
『お静かに』のポーズ。
そして、上からソースをかける。
——ジュワアアアアア！
あふれたソースが鉄板で弾ける音が、今はどんな音楽よりも心地よい。
「これを聞いて欲しくて。食欲をそそる音ったらないわ！」
観衆は強く頷いた。
「最後はかつおぶしと青のり、お好みでマヨネーズやケチャップをかけて出来上がりっ！」
皿に移し、観衆の前に突き出した。
「お好み焼きって、こうやって作る過程も含めて楽しいでしょ。だから、自信を持ってオススメするよ！」
マリエッタは顔を綻ばせた。
そうしてプレゼンは終了した。

〜実食タイム〜
時田「焦げたソースってどうしてこんなにおいしいんだろう？　なんだか、禁忌に触れている気がするよ。とにかく美味しい！　餅とかチーズとか海鮮とか、いろんなものと合うのもいいよね〜！」
月詠「……ふむ。これが美味くないはずがなかろう。固さも申し分ない」
流「うめー！　焼きそばとも合うしな。マヨたっぷりのB級感も最高だな。ソースの奥深い味ったないね」
刀「ご飯が欲しくなるな！　鼻を抜けていく青のりの風味もいいし、食べていて楽しい」

懐が深い、作って楽しい、食べておいしい。お好み焼きは最高の『楽しい料理』だった。