ほっと、できる場所｜リアクション

ほっと、できる場所

　窓の外には、星が瞬いていた。

　もう１０時なのに、源竜世は家にひとりぽっち。
『お店遅いから、先に寝てね。宿題も忘れずにね』
　母さんの言葉に元気よく頷いてみたけど。
　遅くなっても寝られない。宿題は１ページも終わってない。
　全然やる気でねえ。だって、わかんないトコ聞きたくても母さんも……兄ちゃんもいないし。
　ガランとした居間で、竜世はぶるっと身震いした。誰も居ない家は静かすぎて何だか耳が痛いし、いつもよりずっと寒い。
　竜世は胸に広がるざわざわとした感覚を追い払うようにぶんぶんと首を振り、ぎゅっと目をつぶり大声で叫んだ。
「今日はもう寝る！　宿題は明日見せてもらう！」
　竜世の宣言がワンと壁や天井にぶつかる。竜世はテーブルの上に置いてあった自分のカプセルギアを掴むと、一目散に居間を飛び出した。

　駆け上がったのは屋根裏にある子供部屋。竜世と、今は姿を消している彼の兄との秘密基地だ。ドアを勢いよく開けた竜世は、シンと冷えた空気に思わず立ち止まった。
　兄ちゃんがいた時にはやんなるくらい狭く感じたけど……オレ１人じゃ、広すぎる。
　眉が情けなく八の字を描きそうになるのを、竜世は歯を食いしばってグッと止めた。―――大丈夫、今日はあそこで寝るんだ！
　竜世はうんと大きく頷くと、行動を開始した。兄のクッションやブランケット、服などをあれよあれよという間に天窓の下の床に積んでいく。こんもりとまるで居心地の良い巣のようになったその場所に、竜世はぽすんと寝転がると、天井を仰いだ。
「星がキレーだなー……」
　ここは夜空を眺める特等席。兄の匂いに包まれながら、竜世は兄がいた時と同じように星を追う。そうしていると兄と並んで話した時が蘇り、胸のざわざわもちょっとだけ治まった。

　少しずつおりてくる眠気。それでも竜世の心はまだ何だかひんやり。こんなにブランケットにくるまっているのに。竜世は一緒にくるまっている自分のカプセルギア……スターライトナイトに触れ、話しかけた。
「なあ。オレ……また前みたいにお前としゃべりたいよ、スターライトナイト」
　―――また、オレの前に姿を現してよ、相棒。
　竜世の強い願いが星の奇跡を呼ぶ。ろっこん＜オレとキミのナイショの話＞が発動し、顔立ちは整っているが目つきは悪い、赤と黄のメッシュが入った髪を持つ青年が現れた。
『寝れねぇのか、マスター』
　瞳には優しい色を載せながらも、ちょっと口悪く青年は言う。それは、スターライトナイトが人になった姿。
「―――スターライトナイト！」
　竜世は破顔するとアンバーの瞳を嬉しそうに輝かせた。

　竜世は青年スターライトナイトと並んで星を見上げる。それは、かつて兄としたように。

　ねぇ、スターライトナイト。話をしようよ。オレの話、聞いてくれる？
　……仕方ねえな。
　へへ。あのね、オレの名前、流れ星と同じ音だから、強く願えば願い事が叶うんだって。兄ちゃんが言ってた。
　あー。マスターなら、そうかもな。
　スターライトナイトもそう思う？！　そうなんだ、強く願えば叶うんだから、オレ絶対あきらめない。
　あきらめない？
　だからさ。オレ、がんばるから。絶対見つけるから、見てて…………

　すうっ。人肌の温かさに安心したのか、竜世が眠りに落ちる。頭を撫でられる優しい感触に微笑みながら。
　巣のように丸くなった寝床には、寝入る竜世と包み込むように寄り添うスターライトナイトの姿。
　そんな２人を星明かりが優しく照らしていた。

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あとがき

担当マスター：ＫＡＮ
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ＫＡＮです。
ご参加の皆様、ありがとうございました！

ほっと、できる場所。
それぞれ皆さんの大事な場所への思いが、アクションを通して伝わってきました。
リアクションで少しでも皆さんがほっとして頂けたら、幸いです。

それでは。
また……と言ってもいつになるか分かりませんが（汗）、皆様に会える事、楽しみにしています！

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