駆け抜ける嘶き｜リアクション

駆け抜ける嘶き

「ふむ、ここも異常なし、か」
　メモに記したチェックポイントに異常なしの印をつけて
修はここまでの調査結果を思い起こした。
現地での調査では、馬オトコが何者なのか、どこからきて、
どんな目的でうろついているのか、などを調べて歩いてみたが
結果としては何もわからないことがわかった、というだけだった。
なにせ、相手は馬オトコ。目撃例はあるものの、交流例は一切ない。
目撃例にしても、馬オトコに追いかけまわされたという被害例が大半だ。
夜間に突然遭遇した際の驚きの方が大きく、
つぶさに観察できたものはほとんどいないに等しいというところが現状だった。
「結局、出たとこ勝負、というわけか……」
　やれやれ、と大きな溜息をひとつ。メモ帳を閉じて、修は現場を後にした。