駆け抜ける嘶き｜リアクション

駆け抜ける嘶き

　そして、数十分。
「そろそろ、探しにいこうか」
「いや、まて、あれは……」
　痺れを切らしたティオレが自身の装備を確認し出したころ、
疲れ果てた様子で猫の姿のタルトが一同の元に戻ってきた。
よろよろとおぼつかない足取りで寄ってくると皆の前で変身を解く。
「あ～～～～～、疲れた。もう走れないよお」
　ここが路上であることすら今は気にならないようで、
足を投げ出してべたりと地べたに座り込む。
「それで、馬オトコはどうなったの？」
　白露が尋ねると、タルトは変身に使った水筒の水の残りを飲みながら答えた。
「ちゃんと、山の中まで走って行ったのまで見届けたよ～。
雑木林に突っ込んでいっていたけど」
「あの体格だからね。猫みたいにうまくはいかないさ、お疲れさん」
　ティオレに労われ、タルトはへへへと嬉しそうな笑みを浮かべる。
「しかし結局、馬オトコとは何だったんだろうな」
　修の言葉に、一同も考え込んだ。
口を開いたのは、自称陰陽師、白露だ。
「意外といいやつかもよ。人間と馬の絆が形をもったもの、とかさ」
　これも陰陽師のカンだけど、と笑う白露の背後、
遠く九夜山のほうから、甲高い馬の嘶きが聞こえてきたのだった。

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