いきなり関係進展！　リア充爆発できるかな｜リアクション

いきなり関係進展！　リア充爆発できるかな

◆愛の洪水注意報

「良くわかんねえけど、タイラと仲良くすりゃいいんだな！」
『さっすが子供は呑み込みが早い！　助かります！』

　いきなりホテルの一室、そのダブルベッドの上に寝転んでいたにもかかわらず、源竜世はゆかりの説明に反駁することもなく、素直に頷いた。しかしその隣、タイラ・トラントゥールは怒りにぷるぷると震えている。

「……ふざけるな！」

　タイラはバネ仕掛けか何かのようにベッドから降りると、ドアの方に向かって駆けだした。

「どこ行くんだよ」
「こんな所にいられるか！　ボクは帰る！」

　ガチャガチャとドアノブを捻り、力いっぱい引っ張っているタイラの後ろ、竜世は両腕を広げてじりじりと迫っていった。

「仲良くしよーぜー？」
「嫌だ！」

　タイラは竜世の様子に気付くと、ドアから離れて彼から逃げる。しかし、ちょっとした隙を突かれて抱き締められた。

「なっ！？」
「いいじゃん、べつに」

　至近距離で感じる体温に、タイラはどきりと胸の鼓動を早める。そのせいだろうか、顔が熱いようにも感じた。タイラはもぞもぞと竜世の腕の中で抵抗する。

「い、いいからどけ！」

　竜世の純粋な瞳から目を離そうとしても離せない。タイラは自分が余計なことを口走らないかと気が気でなかった。一刻も早くここから抜け出したいという思いでいっぱいだ。しかし竜世は徐にこう言って、タイラの心をかき乱した。

「オレ、お前のこと好きだぞ！」
「なっ……ぼ、ボクは……お前のことなんか……」

　いつもなら嫌いとすぐに返せるのに、この部屋に充満している『スグスキニナール』のせいだろうか、その言葉が喉から出てこない。珍しくしおらしい様子のタイラに、竜世は思わず小首を傾げた。

「タイラはそんなにオレのこと嫌いなのかよ」

　タイラはそれにも答えない。竜世も竜世で、いつもは気にならないはずのタイラの態度が妙に気になって、心臓の当たりに違和感を覚えた。好き、が好きで返ってこないことに不安を覚えて、それがまた不思議で仕方がない。

「……何だ？」

　その違和感の正体に竜世が気付く前に、黒服のスタッフが部屋に入ってくる。スタッフは二人に『振ってください』と書かれたカンペを見せた後、サイコロを二つ置いた。

「サイコロを振れば出られるんだな」

　タイラがそれを手に取って、振る。竜世もそれに倣った。出た目は――。

「１！」
「３か」

　すると、竜世に何らかのスイッチと思われるリモコンが差し出される。

「ん、このスイッチ押せばいいんだな」
「お、おい！　少しは慎重になれ！」

　竜世は疑うことなくそれを押した。

「うわっぷ！」
「おぶっ」

　次の瞬間、竜世の視界はピンク色の霧で包まれる。隣からタイラの悲鳴が上がったが、彼もまた霧に？　そんなことを考えても、竜世自身、霧が晴れるまでどうしようもなかった。

「何だったんだ？」

　視界が元に戻ったが、何か変化が起こったわけでもない。竜世は首を傾げながら、タイラの方を見る。