いきなり関係進展！　リア充爆発できるかな｜リアクション

いきなり関係進展！　リア充爆発できるかな

　ふいに、ドアの方から音がする。クルトが警戒していると、部屋の中に黒服のスタッフが入ってきた。スタッフは『振ってください』というカンペを見せた後、サイコロを二人に差し出す。言われるまま二人がサイコロを振ると、５の面が並んだ。するとスタッフは二人に何かの入った箱を渡して、『着替えてください』というカンペを見せ、和穂を連れて部屋を移る。部屋には一人、クルトだけが残された。

「……行ってしまった」

　クルトが半ば押し付けられたようなそれを開けると、中からはスーツが出てくる。いや、これはただのスーツではない。

「このスーツは、あの時の……」

　思わず呟いた。入っていたのは、ハロウィンの仮面舞踏会の夜に着た、あのスーツ。ということは、彼女もそうなのだろうかと、視線は思わず彼女の入ったドアに向く。

「こ、これは……」

　一方、和穂が着替えたのは、深緑色のカクテルドレスだった。スタッフによってメイクとヘアセットを丁寧に施され、鏡の前で焦る。
　――あっ、あれは私だったんだってバレちゃう。
　和穂の格好もまた、クルトと同じくハロウィンのあの夜のものだった。思い出の衣装だが、しかし和穂としては少し気まずい。
　――慌てて気付いてなかったふりしちゃったのに。
　きっと気付いていないだろうと思って、結局自分とは言わずに終わったあの一曲。それを今また、となればもう彼は間違いなく気付くだろう。「ああー……」と小さく声を上げて、和穂は項垂れた。

　和穂がドアを開けると、そこには凛々しいスーツ姿のクルトの姿があった。クルトは和穂の姿を見て、口を開く。

「……やはり、あの時の人は和穂ちゃんだったか」

　確信したようなクルトの言葉。和穂は暫し口を噤んでいたが、やがて

「……ごめんなさい、嘘ついちゃいました」

　と言の葉を零していく。

「あの時も私、クルトさんだって気付いていたんです」

　時折言葉を止めながらも、素直な気持ちをそのままに、和穂は言った。

「恥ずかしくて……気付かないふりしないと踊れないと思って……」

　最後は消え入りそうなほどのそれを、クルトは真正面から受け止めて、真剣なまなざしで和穂を見つめた。それに和穂はどきりとして、彼の口から出る言葉を恐る恐る聞く。

「それじゃあ、改めて言わせて貰おう。素敵だよ、和穂ちゃん」

　思わぬ言葉に、和穂の頬がまた火照る。彼女自身でも、なんて答えたかわからないほど動顛した後、和穂は平静を保つよう努めながらこう言った。

「……だから、また」

　そして、クルトに手を差し出して微笑む。

「踊ってくださいませんか？　……私と」

　今度は、あなたが好きな私であることを隠さないで。そう思っても、和穂の手は緊張と不安で緩やかに震えていた。その上に、クルトの暖かい手が重ねられる。続いた言葉は、

「もちろん」

　と、手と同じくらい暖かい。和穂は喜びに心を弾ませながら、握られた手を握り返して、ステップを踏みだした。

「多様な世界があるならば、愛の形も千差万別。様々な関係が進展したり停滞したり。皆さん、いかがでしたか？」

　仮想空間の外、マイクの前に立った生身の不知火ゆかりの前にあるのは、無数のモニターだった。そのモニターには、部屋に閉じ込められた参加者の悲喜こもごもの光景が映っている。

「今回番組で使用した『スグスキニナール』。出演者の中から抽選で一人にサンプルを送っていまーす！」

　ゆかりは、ピンク色の液体の入った小さな小瓶をポケットから出して見せた。

「ここぞという時に使ってみてくださいねー！」

　そしてどこか遠くの、誰でもない誰かへ向けて言うように語り掛ける。

「では名残惜しいですが、これにて『いきなり関係進展！　リア充爆発できるかな』は一時閉幕！　ご視聴ありがとうございましたー！」

　奇妙なくらい明るい声を最後に、その番組は終わった。

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あとがき

担当マスター：六原紀伊
ファンレターはマスターページから！

読んでくださった皆様、ありがとうございました。六原です。
色んな関係が進展する様子を精一杯書かせていただきました！皆さんのこれから、とても楽しみです！

参加者の皆様にはこのシナリオから数日後ぐらいにSRSNからそれなりのお金とお礼の品が送られます。
お礼の品の詳細については、個別コメントの方でお知らせしております。

次にアクションに関して。
どなたかと一緒に行動する場合は、事前に打ち合わせし、お互いのアクションにお名前を書くか、ＧＡ名を明記することをオススメします。

最後に、SRSNの今後について。
今回の番組は続けつつも、また別の番組を考えているそうです。続編、あるいは別番組はまた別のシナリオにて。

それでは皆様、またMewTubeでお会いしましょう。

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