【三寮祭】桜花寮、お宝探しにゃー！｜リアクション

【三寮祭】桜花寮、お宝探しにゃー！

　前ページな流れにて、某男子部屋に現在二人の寝子高生の姿。

「僕はずっと実家住まいだから、野菜原くんや皆のような共同生活って少し憧れるんだよね……！」
「にしし☆　花椿もやってみりゃいーじゃん？　自分の部屋はあんのか？」

　ジャングルの茂み（作り物）を分け入ってお宝を探す、姿勢の綺麗なアメショの後ろ姿を、部屋主な野菜原ユウは雑談しながら見守っている。
　ヒントをもらえば、ここをすでに訪れた人たちと同じように猿やバナナの姿を花椿涼太郎は探して回って。

「自分の部屋は勿論あるけれど……
　実家だと床を大理石にしたり、赤い薔薇をふんだんに咲かせたい所だけれど、叶わないからね！」
「え？　それどこの宮殿だ……？」

　楽しい会話に身を委ねながらも、視線や手を動かしていた涼太郎はふと棚に目がいった。
　――　動物モノの本とか、そのお猿さんのページとかに挟んであったり……？☆
　とてもとても何気なく取った本。
　その手に掴んだ本のタイトルを、涼太郎は見つめた。

　『●△☆×■　★〇××』
　　※男同士がしとやかに、ぬめやかに、愛し合うのが想像出来そうなタイトル。

「おー？　あったか～？　……ってなんだそりゃーーー！？？」
「えっとー……野菜原君のだよねっ」
「ちがうちがう断じて違います誤解しないでクダサイおねがいします」

　全く気にせず爽やかスマイルを向けてくる涼太郎。
　イタイ。むしろその優しさが今はとてもイタイ。そんな状態のユウ、がくぅっと膝をついた。
　――　おかしい……いっそ堂々と他の本と混ぜて入れておけば見つからないと思ったのに……ってかどこいった本来そこにあった俺の……っっっ。
　もうお察しかもしれないが、ユウの私物的宝本とそれを入れ替えたのは、鬼河内萌嬢（＋響タルト）である。

「うーん、惜しいっ。この角度なら光はこっちからあててあげた方がもっと輝けるかもね。
　ほら例えばジャングルの中にいても太陽（部屋の照明）受けて照り輝く僕のように！　はーっはっはっは！」
「……おう、花椿、ちなみにその本なんの本か分かって……？」
「男たちが美のポーズを極めようとする本だね！　分かる、分かるよ！
　最終的にはこの僕のように天から舞い降りた芸術品になりたいと願う、その気持ち！」
「そうだなっ、そういう本だな！（そういうことにしておこう！）」

　ユウ、涼太郎の美意識に助けられた瞬間である。
　落ち着こう、ちょっと落ち着こう俺、とお茶出し用テーブルに涼太郎も誘うユウ。
　その二人の視界に、テーブルのど真ん中にそれはもう丁寧に整頓され並べられた、ユウがお宝本だと認める彼の雑誌たちが鮮やかに映り込んだ。

「ちょ、え？　いやこれは俺のだけど、確かこれはあの棚のじゃなく、あっちの座椅子の裏ポケットに……、
　って、あれ？　どーした花椿？？」
「………は、はーっはっはっは！　……うんごめん！　ティッシュもらえるかな！？」
「刺激か。刺激が強かったんか？」

　幸い実物では無かった為、噴水の如く噴き出して昏倒、は免れたものの。
　女性のあんな姿やこーんな姿には免疫力皆無といっても過言ではない涼太郎、ほたほた滴って来た赤ワインの如き雫たちを、ユウからもらったティッシュでどうにか抑えた。
　思わぬ純な反応に、自身の赤裸々な趣味趣向的お宝本を同級生に見られた動揺が薄らぐユウである。

「そんなモテそうな顔してんのに、もったいなくね？　ちょっと慣れとけばどうだ？
　あっ、そうだ！　今日なら女子寮も開放してっし！　色気ある部屋もあるかもだぜ！」
「……い、いや、女性の部屋は遠慮しておくよ！」

　興味が無いわけではないけれど、とキラキラ笑顔がもごもごし出せば、ユウの瞳がきゅぴーん☆
　暫くジャングルの中から、男同士の熱い（一方的だったかもしれない）談義が繰り広げられる声がしていたとか。