【三寮祭】桜花寮、お宝探しにゃー！｜リアクション

【三寮祭】桜花寮、お宝探しにゃー！

●探索、探検、真っ最中！

　がっさがっさ。
　室内がジャングル風に飾り付けられた野菜原ユウの部屋から、音と共に時折キジトラ模様の猫耳が葉や蔦の隙間からぴっこぴこと見え隠れしている。
　新田亮が、扉にあったヒント『ウッキー！』から連想した、サルまたはバナナ関係を現在探索中であった。

「……この、不自然なまでに堂々と飾られた額縁……の中には手書きのバナナ絵。ということは……うむ」

　立体なサルやバナナもあるのだろうけれど、それよりは難易度捻ってそうなこの二次元バナナの裏からお宝である桜の花びら型クッキーを発見出来れば、もうこの部屋は満足した亮。
　早々に部屋を後にし、また別の場所へ移動開始。
　――　それにしても、猫耳は恥ずかしいな。廊下を歩くときは外そうかな。
　そう思った矢先、面白そうな事起きてないかなーと徘徊、もとい、寮生として寮内見回りをしていた響タルトとばったり遭遇。

「おっ、新田くん猫耳似合う！　筋肉系ショタに獣属性付くと、うんうんやっぱおいしいよね～♪」
「響………日本語を喋ってくれ」

　普段明るくとても話しやすいと感じる彼女だが、時折飛び出る不可解な言葉の羅列たちに、何故か鳥肌が立つこともしばしばである。
　楽しんでねー！　と手を振られれば振り返し見送って。
　――　………なんだかタイミングを逃したような。
　猫耳を外そうとしていた気がするのだが。
　まぁ、もういいかこの際。意外と参加者多くて猫耳だらけなようだし、ここで外したら何か落選な気分だし。
　亮、結局真面目に猫耳付けたまま寮内を闊歩するのだった。

◇　◇　◇

　ずぅっとお気に入りで愛用している猫さんマークの青色リュックサック、……ではなくて、代用中の別のリュックサックを背負って。
　空色の子供用カメラは、乾電池を念のため換え直しリュックに詰めれば、準備ＯＫ！
　曖浜瑠樹は三寮祭、猫鳴館・星ヶ丘をばっちり満喫した。
　そして最終日たる桜花寮のお祭りである本日、全力で楽しむ予定である。

「宝探し？　……面白そうだねぇ！」

　マップ開けば目がらんらん☆
　お宝探し、それはつまり探検であり冒険であり、瑠樹くらいの年の男の子にとっては未知の場所は秘密基地を探すかの如く、全てを巡ってみたい欲に駆られてるコも少なく無い。
　まずは桜花寮の男子寮を探検だー！　と飛び出せば、Ａ寮、Ｂ寮、Ｃ寮、片っ端から勇み足で回っていく。
　４階建て、５階建てだって何のその。
　体力満タンな今日の瑠樹は、何度階段上り下りしても疲れ知らず。

「あれ？　亮お兄さんだー！　こんにちはー！」
「瑠樹君、こんにちは。ここの棟にあったジャングル風の部屋にはもう行ったか？」
「え！？　なぁにそれー！？」
「そこの階段からすぐだ。面白いと思うぞ」
「分かったぁ！　ありがとう亮お兄さん～♪」

　なんて、顔見知りなお兄さんとすれ違っては、入っていいお部屋がある事思い出しては色々な所へお邪魔したり。
　Ａ棟、Ｂ棟を回り終えてＣ棟に来たところで、ちょうど他参加者さんたちに注意を促している寮生らしきお兄さんに出くわした。

「ここ、立ち入り禁止……です……にゃー」
「あっ、そっか！　すみませんでした……！」

　そそくさ去って行く人影見つめてから首を動かすと、大きなガタイのお兄さん（志波拓郎）と視線が合った。

「え、えっと、あのあのぉっ、オレ、ドアが開いてない部屋とか、鍵かかってる部屋には、入ってないよぉっ」
「……うん、イイコ、だ……にゃー」
「『お助けネコ』……お兄さん、猫さん？」
「……はい……何か、困ってる事……分からない道とか、あれば、遠慮なく聞いて……にゃー」
「猫さんだぁ！」

　その首から下がった看板、頭からピコンと出た耳、そしてたどたどしくも語尾に『にゃ』が付けば、瑠樹から見てどんなに大柄な男性でも途端に大好きな猫さんに早変わりである。
　拓郎も、ご案内や注意役を担っていても、少しでも楽しんでいる空気を壊さないよう、恥ずかしさを押し隠しては自分なりに猫になりきっていたわけである。
　そんな努力の甲斐あって、瑠樹もすっかり楽しそうな笑顔で寄ってくる。

「猫おにーさん、屋上……って、行っても平気？」
「大丈夫……ただ、危ない、から……フェンスのそば、には……近づかない、で……にゃー」
「やったぁ！　はーい、ありがとう猫お兄さん！」
「楽しん、で、にゃー」

　見送り見送られ。
　すっかり桜の花びらクッキー探しを失念している瑠樹の、桜花寮探検はまだまだ続く。

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【三寮祭】桜花寮、お宝探しにゃー！

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