動物園へ行こう！｜リアクション

動物園へ行こう！

　寝子高２年の岡瀬結華は、クラスの友達と３人で動物園にやってきました。
　お目当てはホワイトタイガーの赤ちゃん。
　１１時の回に並びながら、友人が言いました。
「結華って動物とか興味ないかと思ってた」
　目力が強く、表情が変わりづらい結華。
　そして大人びた印象と落ち着いた物腰で、なにかとクールに見られがちです。
「そんなことないよ、今日、来れてとても嬉しいの」
　少しだけ口角を上げ、笑みを見せる結華。
　実際はお笑い番組を観るのが趣味で、大口開いて笑うことも多々あるのですが。

　混雑にもクールな表情を崩さない結華ですが、内心は。
（ホワイトタイガーの赤ちゃん……あぁ、とてもとても可愛いんだろうなぁ）　
　と楽しみいっぱい。
　けれど一方で、不安になったりも。
（こんなに混雑してて、友達とはぐれたりしないかな……）
　顔には出しませんが、アワアワしていたりもします。

「あ、来たよ！」
　時間となり、扉が開いてホワイトタイガーの赤ちゃんとお母さんが現れました。
　真っ白な赤ちゃんは、大勢の観客にも物怖じすることなく、お母さんのそばで転がったり、尻尾にじゃれたりしています。
（あぁぁぁ……可愛いぃ……）
　瞳がキラキラと輝き、うっとりとした笑顔に。
「キャー！　マジ可愛い！」
「うわあ、生きたぬいぐるみじゃん～」
　と、他の二人も赤ちゃんに夢中だったので、気にされることはありませんでしたが。
　公開時間はあっという間に終わった気がしました。
（流石にホワイトタイガーは飼えないけれど……猫、飼いたくなっちゃったなぁ）
　パパとママに相談しようかな、と思う結華でした。

　宮祀智瑜も、ホワイトタイガーの赤ちゃんを見に動物園へやってきました。
　名前も考えて来ました。
（お母さんが白梅だから白は付けたいな）
　応募用紙に書いて箱に入れます。
（「しろざくら」って読むけど音読みにすると「はくおう」ってカッコ良くて可愛くなります）
「それにしてもすごい人……あれ？」
　一瞬知り合いの顔が見えた気がしましたが、また人ごみにまぎれてしまいました。
　そうこうしているうちに、ホワイトタイガーの親子が姿を現しました。
「縫いぐるみみたいに可愛い！」
　智瑜は予想以上の可愛さにハートを射抜かれてしまいました。
（もふりたくなってきちゃう）
　少しでもこっちを見て欲しくて手を振ってみます。
　けれど赤ちゃんはマイペースに遊び続けています。
（残念だけど、そこがまた可愛いです）
　見れて良かったと満足する智瑜でした。
　