動物園へ行こう！｜リアクション

動物園へ行こう！

○ホワイトタイガーだけじゃない

　寝子高２年の青山絢は、用事を済ませて一息つきました。
「せっかくきたんだし、天気もいいし……帰るにはまだ早いかな」
　そして動物園の前を通りかかったのです。
　休日のせいか人出が多いな、と思いつつ入ってみると。
「ホワイトタイガーの赤ちゃんが生まれたから、混雑してるわね」
「整理券が発行されてるんだって」
　というお客の会話が耳に入ってきました。
「ホワイトタイガーの赤ちゃんか……見に行こうかな。でも何だか人が多いし……」
　迷いましたが、やや人見知りで人混みが苦手な絢は、並ぶことを考えると少し気おくれしてしまいました。

　今日はホワイトタイガーの赤ちゃんはパスして、代わりに、まずは草食動物・鳥類エリアへ向かうことにしました。　
（ここで飼われているアルパカはご利益があるって聞いたわ）
　それでちょっとばかり見に行ってみることにしたのでした。
「白いアルパカだって聞いたけど、どれも少し茶色に見えるような……」
　絢は、ご利益があるというフーちゃんを一生懸命探します。
「フーンフーン」
　のんびりそんな鳴き声を漏らすアルパカは特に神々しくは見えませんでしたが、もこもこの毛皮を見ていると、なんだか癒される気分になったのでした。
「触らなくてもご利益あるのかしら……やっぱり、触れたほうがいいなあ。あれ？　あの子白いかも」
「フェェェェ」
　絢はようやくフーちゃんを見つけました。
「こっちにおいでー」
　手を振って呼んでみると、こっちを見てはくれるものの。
　残念ながらフーちゃんは近づいてきてくれません。
「来てくれないわね……」
　絢は諦めてふれあい広場へ向かうのでした。
　　
　時子も、ふれあい広場に来ていました。
　広場の柵の中、草の生えた地面の上には数種類のウサギが放され、小さな囲いの中にそれぞれモルモットやハムスターが身を寄せ合っています。
　可愛いうさぎさんたちを撫でたり抱いてみたり。
「癒されますね。餌をあげましょう」
　もぐもぐ食べる姿も可愛いくて、見とれる時子です。
　そこへ絢もやってきて、うさぎに餌をあげ始めました。
　時子は、たくさんのうさぎたちに一匹一匹名前で呼びかけます。
「ロップさん、ラビさん、美味しいですか？」
（えっ……もしかして全部名前覚えているの？）　
　驚いた様子の絢に、
「良く来るので……私も憶えられてるかもしれませんね……」
　時子は微笑みます。
（うさぎってそんなに賢いのかしら）
　そんなことを思いながら絢はうさぎをもふり、次はハムスターに餌をやります。
　今まであまり気にしていなかった、書かれている名前に目を留めました。
（ハムきちかあ。名前、覚えてあげたほうがいいのかしら）
　でも呼ぶのはちょっと恥ずかしくて、黙ってハムスターをもふもふする絢でした。

　絢はそれから、サル山・水辺エリアへ向かいました。
　猿山ではボス猿がやる気なさそうにボーっとしていました。
（見ているこちらもなんだかボーっとしてしまいそう。他の猿がスキをついてボスの座を狙おうとしないのかしら？）
　などと思ったりしましたが、他の猿たちも同様にボーッとしていました。
　サル山を離れ、絢は次の場所に向かうのでした。

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