【三寮祭】猫鳴館、アロハ・オエ♪｜リアクション

【三寮祭】猫鳴館、アロハ・オエ♪

●裏寝子温泉・ふんどしもあるよ

「へぇ、寮だけど地下があるんだね……！　しかも、混浴風呂！　す、凄い施設があるんだね……！」
　そっと様子をうかがっているのは花椿涼太郎。
　意外にもお色気耐性皆無なので、ののこと夏朝がいることに気づいて顔を赤らめる。
　立ち去ろうとしたが、寮生たちに「せっかくだから」と押し切られ、あれよあれよとふんどし姿になってしまった。お色気耐性皆無だが、ナルシストぶりは健在で、自分のふんどし姿には気に入ったようだ。
「ふんどしか。悪くないね。美しい僕の身体に見惚れるといいよ！」
　そこに、新田亮と新田樹がやってきた。ふたりとも水着姿である。
「地下に温泉！？　猫鳴館は何でもありだね」
　湯加減もちょうどよく、穏やかな波が肌にあたるのも気持ちいい。樹はとってもご満悦だ。
「ん～良い湯加減。地上の楽園ならぬ地下の楽園って感じだね。よし！　私が高校に入ったら絶対に猫鳴館で暮らそう！」
「マジか？」
　妹の決意表明に愕然とする兄の向こうに、褌一丁の涼太郎の姿があった。
（なんだ、褌の人いるじゃん！）
　樹は悪戯の虫がうずうず。
（良い事考えた。兄さんの水着と誰かが履いてる褌をろっこんで交換しようかな）
　涼太郎の褌をガン見して、ろっこんを発動させようとしたそのとき。
「めっ」
　夏朝の軽いチョップが頭に当たり、こそっと耳打ちされる。
「ののこちゃんがいるからフツウに楽しも？」
　なるほど、あちらできゃっきゃとはしゃいでいる黄色い水着の子が、自分たちの力の元々の持ち主、ののこなのだ。樹はしばらくののこを観察していた。見ればみるほど普通の女の子である。
（神様、ねぇ）

　一方涼太郎も、ちらりちらりと、ののこと夏朝を見ては目を逸らしている。
　例え水着とわかっていても、女子が肌を露わにしている光景は気恥ずかしいのだ。
　烏の行水程度に湯に浸かって、女子をなるべく見ないように出て行こうとしたそのとき。
「うわー！」
　夏朝が波に流されて、涼太郎にぶつかってきた。
「ご、ごめーん！」
「い、いや、大丈夫だ……よ！？」
　涼太郎は見た。抱き止めた夏朝は……、
（ふんどし？）
　一応胸は手拭いで隠されているけれども！
（ふ、ふんどし！）
　ぴゅーっと鼻血を吹く。
「わあー！　花椿君しっかり！」
　駆け寄った英二が湯の中に沈んでゆく涼太郎を抱き上げる。
　鼻を押さえた涼太郎は、英二に支えられて男子更衣室に引っ込んで行った。

「あれは破壊力強いよね」
「まったくだよ」

　男子更衣室で男子たちは頷きあったという。