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- 00月00日生 00歳
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【星幽塔】第十三階層 『おもちゃのおしろ』と「こびと」の少年
【超こびとの冒険】
その頃、リヒトとニーナ、それにほかの捕らわれのこびと達は、皆、七峯 亨のろっこん《縮身》をコピーし、ブロック格子の隙間を潜り抜けて、牢屋から大広間までの大脱走を続けているさなかだった。
「素晴らしい……！ これが『島』からの訪れ人の持つ力なのか……！」
亨のろっこんの力に、リヒトの中の厨二病が爆発したようだった。
「ふふ、そうかい？ ちなみにこの力にはほかにあんな使い方やこんな使い方も――」
「……あなたが私のマスターか！？」
さらにこそりと風呂も覗き放題という特典を教えてあげると、もはや彼は亨をご主人様と仰ぎかねない様子だった。
「まあ、ほかに色々あるが続きは無事に帰ってから、な」
亨は軽く笑って見せながら、でこぼこのブロックの足場を上手に遮蔽物に使い、大広間までこびと達をエスコートする。
と、そこにカチンカチンと甲高い音がした。
「え……？ なに、この音……？」
ニーナが不安そうな声をあげる。不安は他の『こびと』の女性達にも即座に伝播する。
「……おっと、こいつはちょいと厄介なのに出くわしちまったなぁ」
さっと前に出て武器を構えた亨が瞳に捉えたのは、怪獣のように大きなサイズになった巨大な子グモだった。
「下がるがよい、ニーナ。八本の足を持つ、獄門から使者と相まみえるは我が宿命（さだめ）」
と、咄嗟に前に出たのはリヒトだった。こびとけんしを自称する彼は、腕には自信があるようだ。だが――。
「……しまった！ 我が魔剣グラムはいまだいと深き牢獄のただなかに……！」
どうやら牢に剣を置いてきたままらしかった。
「……安心しな。こいつは俺が倒す。おまえさんはニーナを守ってやんな」
そう言って、亨はハルバートを手にブロックの凸の部分を踏み台にして大きく飛んだ。
「……なんと！」
足下から、リヒトの驚いた声が聞こえる。
だが、亨は別に凄いことをしたとは思っていない。
進化した《縮身》は、こびとまほうと違い、身体能力はそのまま維持され、それどころか縮めば縮むほどにその身体能力は反比例して高くなる。
亨はそのまま八艘飛びのごとくクモの足に飛び乗って複眼の一つにハルバードを突き刺す。
『！？！？』
すると、クモは堪らずにすぐさま撤退していった。
「……やはり貴殿は我が師と呼ぶに相応しい男であるようだ」
そんな亨の勇姿に、リヒトはすっかり心酔してしまったようだ。
「大げさだねぇ。さあ、早いとこ大広間へ出て、元の大きさに戻ろうぜ。そうすりゃ城の門は目と鼻の先だ」
パチンとフランクにウインクを一つ決めて、亨はこびと達のエスコートを再開する。
こびとを救出すれば、後は元凶のゲオルグを倒すだけだ。
もっとも、敵もまた一筋縄ではいかない相手であるのかもしれないが――。
＊ ＊ ＊
その頃、冒険者達と鉄球兵士との戦いも、佳境に到達していた。
『……！』
鉄球兵士は、いまだ、得物の鉄球を手放さずに冒険者達を苦しめ続けていた。
だが、そこで彼らに勝機が訪れる。
『……！？』
そのとき、ガクンと鉄球兵士が身体のバランスを崩したのだ。
同時に、ばしゃりと鎧の隙間に溜まっていた水が零れる音がする。
そう。じわじわと援護射撃を続けていたアリス・ミーティアの水の弾丸が、鉄球兵士の身体を重くし、そのバランスを崩させたのである。
「今だよ！ みんな！ ぼっこぼこにしちゃえ！」
仕掛け人のアリスの合図で、その場にいた全員が勝機を見い出す。
「そろそろ終わりにしようぜ、鉄球野郎！」
レグルス・シェルタンがそこで水を纏ったイフラーンで、もう何度目かわからない痛烈な斬撃を加える。
ガキャン、と小気味が良い音がして、鉄球と鎖のつなぎ目がついに壊れた！
鉄球は地面に落ちて、炎がジュッと音を立てて消える。これで鉄球兵士はもはやただの鎧兵士になった。
「チャンスね、出力最大！」
まさにそのときを待っていたとばかりに、新田 樹が雷神の腕輪の出力を最大にした雷撃を放つ。
『！？！？！？』
水をたっぷりと含んだ鎧に、最大出力の電撃が走る！
ピシピシ、と鎧にヒビが入り、その身体がガクガクと震える。
そこに、もう一度、レグルスが裂帛の気合とともに踏み込んだ！
「こいつでしまいだ！！！」
刹那、イフラーンの重く、速い一撃が、鎧ごとおもちゃの兵隊を粉々に砕いた。
「勝負あったね」
旅鴉 月詠が、大鍵の先で動かなくなったおもちゃの様子を確認してから、その欠片の中にあった鍵へと手を伸ばす。
鍵は二種類あり、ひとつはこの牢の鍵、そしてもう一つは玉座へと続く鍵であろうと思われた。
「随分と手こずらされたが、これでようやくボスのところに行けそうだな……。ん、こいつは……？」
そこで、レグルスは牢の闇の奥に佇む一振りの剣を見つける。どうやらこれはリヒトのもののようだ。
「さあ、それじゃあ大広間に戻って仲間と合流し、ゲオルグとやらとご対面と行こうか」
手にした鍵を握りしめて呟く月詠は、そこではたと何を思い出したように目を見開き、
「ああ、疲れた人は言ってくれたまえ。私がお手製の青汁を提供するよ。苦いけどね」
ちょっぴりＳっ気のある笑顔でそう言って微笑んだ。
月詠から青汁を受け取り、一行は大広間へと急ぐことにした。
その頃、リヒトとニーナ、それにほかの捕らわれのこびと達は、皆、七峯 亨のろっこん《縮身》をコピーし、ブロック格子の隙間を潜り抜けて、牢屋から大広間までの大脱走を続けているさなかだった。
「素晴らしい……！ これが『島』からの訪れ人の持つ力なのか……！」
亨のろっこんの力に、リヒトの中の厨二病が爆発したようだった。
「ふふ、そうかい？ ちなみにこの力にはほかにあんな使い方やこんな使い方も――」
「……あなたが私のマスターか！？」
さらにこそりと風呂も覗き放題という特典を教えてあげると、もはや彼は亨をご主人様と仰ぎかねない様子だった。
「まあ、ほかに色々あるが続きは無事に帰ってから、な」
亨は軽く笑って見せながら、でこぼこのブロックの足場を上手に遮蔽物に使い、大広間までこびと達をエスコートする。
と、そこにカチンカチンと甲高い音がした。
「え……？ なに、この音……？」
ニーナが不安そうな声をあげる。不安は他の『こびと』の女性達にも即座に伝播する。
「……おっと、こいつはちょいと厄介なのに出くわしちまったなぁ」
さっと前に出て武器を構えた亨が瞳に捉えたのは、怪獣のように大きなサイズになった巨大な子グモだった。
「下がるがよい、ニーナ。八本の足を持つ、獄門から使者と相まみえるは我が宿命（さだめ）」
と、咄嗟に前に出たのはリヒトだった。こびとけんしを自称する彼は、腕には自信があるようだ。だが――。
「……しまった！ 我が魔剣グラムはいまだいと深き牢獄のただなかに……！」
どうやら牢に剣を置いてきたままらしかった。
「……安心しな。こいつは俺が倒す。おまえさんはニーナを守ってやんな」
そう言って、亨はハルバートを手にブロックの凸の部分を踏み台にして大きく飛んだ。
「……なんと！」
足下から、リヒトの驚いた声が聞こえる。
だが、亨は別に凄いことをしたとは思っていない。
進化した《縮身》は、こびとまほうと違い、身体能力はそのまま維持され、それどころか縮めば縮むほどにその身体能力は反比例して高くなる。
亨はそのまま八艘飛びのごとくクモの足に飛び乗って複眼の一つにハルバードを突き刺す。
『！？！？』
すると、クモは堪らずにすぐさま撤退していった。
「……やはり貴殿は我が師と呼ぶに相応しい男であるようだ」
そんな亨の勇姿に、リヒトはすっかり心酔してしまったようだ。
「大げさだねぇ。さあ、早いとこ大広間へ出て、元の大きさに戻ろうぜ。そうすりゃ城の門は目と鼻の先だ」
パチンとフランクにウインクを一つ決めて、亨はこびと達のエスコートを再開する。
こびとを救出すれば、後は元凶のゲオルグを倒すだけだ。
もっとも、敵もまた一筋縄ではいかない相手であるのかもしれないが――。
＊ ＊ ＊
その頃、冒険者達と鉄球兵士との戦いも、佳境に到達していた。
『……！』
鉄球兵士は、いまだ、得物の鉄球を手放さずに冒険者達を苦しめ続けていた。
だが、そこで彼らに勝機が訪れる。
『……！？』
そのとき、ガクンと鉄球兵士が身体のバランスを崩したのだ。
同時に、ばしゃりと鎧の隙間に溜まっていた水が零れる音がする。
そう。じわじわと援護射撃を続けていたアリス・ミーティアの水の弾丸が、鉄球兵士の身体を重くし、そのバランスを崩させたのである。
「今だよ！ みんな！ ぼっこぼこにしちゃえ！」
仕掛け人のアリスの合図で、その場にいた全員が勝機を見い出す。
「そろそろ終わりにしようぜ、鉄球野郎！」
レグルス・シェルタンがそこで水を纏ったイフラーンで、もう何度目かわからない痛烈な斬撃を加える。
ガキャン、と小気味が良い音がして、鉄球と鎖のつなぎ目がついに壊れた！
鉄球は地面に落ちて、炎がジュッと音を立てて消える。これで鉄球兵士はもはやただの鎧兵士になった。
「チャンスね、出力最大！」
まさにそのときを待っていたとばかりに、新田 樹が雷神の腕輪の出力を最大にした雷撃を放つ。
『！？！？！？』
水をたっぷりと含んだ鎧に、最大出力の電撃が走る！
ピシピシ、と鎧にヒビが入り、その身体がガクガクと震える。
そこに、もう一度、レグルスが裂帛の気合とともに踏み込んだ！
「こいつでしまいだ！！！」
刹那、イフラーンの重く、速い一撃が、鎧ごとおもちゃの兵隊を粉々に砕いた。
「勝負あったね」
旅鴉 月詠が、大鍵の先で動かなくなったおもちゃの様子を確認してから、その欠片の中にあった鍵へと手を伸ばす。
鍵は二種類あり、ひとつはこの牢の鍵、そしてもう一つは玉座へと続く鍵であろうと思われた。
「随分と手こずらされたが、これでようやくボスのところに行けそうだな……。ん、こいつは……？」
そこで、レグルスは牢の闇の奥に佇む一振りの剣を見つける。どうやらこれはリヒトのもののようだ。
「さあ、それじゃあ大広間に戻って仲間と合流し、ゲオルグとやらとご対面と行こうか」
手にした鍵を握りしめて呟く月詠は、そこではたと何を思い出したように目を見開き、
「ああ、疲れた人は言ってくれたまえ。私がお手製の青汁を提供するよ。苦いけどね」
ちょっぴりＳっ気のある笑顔でそう言って微笑んだ。
月詠から青汁を受け取り、一行は大広間へと急ぐことにした。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2017年12月08日
- 参加申し込みの期限
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- 2017年12月15日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2017年12月15日 11時00分
