【星幽塔】第十三階層　『おもちゃのおしろ』と「こびと」の少年｜リアクション

【星幽塔】第十三階層　『おもちゃのおしろ』と「こびと」の少年

【epilogue】

　そして、『こびとのさかば』では、リヒトやニーナ、それに反省したゲオルグまでも交えて、ちょっとした打ち上げが行われていた。
「みなさん、今回もお疲れ様でした。今日はせっかくの『こびとのさかば』での打ち上げなので、厨房をお借りして、私お料理がんばリリエルです！」
　リリエル・エーテライトは、酒場の厨房を借りて、こびとの里ならではの食材を使った料理を食卓に提供していた。
「いやー、ビールってこびとの里にもあるんだね！　ほらほらみんなどんどん飲んでー」
　アリス・ミーティアも、こびとの姿のまま、大量のビールジョッキを手に持って、給仕を手伝っている。
　リリエルとアリスがいつものように動きまわっている姿を見ると、まるでここがＢＡＲアストラルであるかのように錯覚しそうになる。
「皆さん。今回は本当にありがとうございました。本当に、リヒトったら馬鹿でおっちょこちょいで……」
「ふ……。所詮、凡庸な者に我の偉大さはわからぬ……」
　歯に衣きせぬ物言いのニーナに、リヒトはクールに振る舞おうとしているがあまり成功しているとは言い難い。ただ二人の仲がいいことだけは遠巻きに見ていてもよくわかる。
「まあ、お嬢ちゃん。そのへんにしてやんな。なんせこいつはお嬢ちゃんのために……」
「……！　ささ、客人、もっと飲まれよ！」
「……おっと。じゃあ頂くとするぜ」
　すでに赤ら顔のレグルス・シェルタンが何かを言いかけると、リヒトは慌ててその口を塞ごうとこびとのとっくりを傾ける。
「…………？」
　不思議そうな顔をするニーナを見て、事情を知る者はほっこりとした顔をしている。
「まあ、ゲオルグも反省して、みんなも無事でよかったよ」
「ですね☆　シューくん達もおつかれさまなのです」
　カフェスペースでは、打ち上げという名のお茶会を開く八神修や椿美咲紀達が互いを労いながら、こびとのクッキーなどを食べていた。
　さらに少し離れた場所では、高杉かようから秘密の特訓をうけるゲオルグの姿があった。
「そうそう。そうやって、ボールを投げてだな。うん、お前、素質あるよ」
「……そ、そうか？　それじゃあこれでコウシエンとやらに出場してハーレムを――」
「……いや、おっさんは甲子園には出れねーから。つか、調子乗んな？　生意気は、せめて俺の球を打ってから言え」
　そう言って、かようが本気の速球を投げるとゲオルグは三振してその場にひっくり返る。
「……うう。ハーレム。わしのハーレム……」
　めそめそ泣き出すゲオルグの姿に、以前のようなあくどいオーラは残っていなかった。
　もう、これ以上悪さをすることもないだろう。
　そんなゲオルグに、かようはポーンとボールを投げて言う。

「ゲオ、あんなわけのわからん椅子（王座）に座ってるより、
　仲間と一緒に手に入れる勝利のがよっぽど価値があるんだぜ」

　その言葉を裏づけるように、冒険者達とこびとが集う『こびとのさかば』には、いつまでも幸せそうな笑い声が溢れていたのだった。

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あとがき

担当マスター：水月鏡花
ファンレターはマスターページから！

というわけで、ご参加頂いた皆様、お疲れ様でした。ＭＳの水月鏡花です。
おもちゃのお城での冒険、お楽しみ頂けましたでしょうか？
子供の頃、某ブロックのＣＭを観て、「すげー、最近のブロックは勝手に動くんだー」と一人で興奮し、実際に買ってもらってみるとまったく動かないのでとてもがっかりした記憶があります。水月は子供の頃からアホだったんですね。大丈夫、みんな知ってた。
今回はそんな雪辱を果たすという目的もひそかにあったりしたので、無事にリアクションをお届けできてよかったです。
そんなこんなで、皆様のおかげで、無事にリヒトくんとこびとのお姉さん達は救出され、ゲオルグのおっさんもすっかり（？）反省したようです。
ニーナさんからは、参加した皆さんに『こびとのブーツ』が送られていますので（個別コメをご確認ください）、お好きなデザインでアイテム登録して、今後のシナリオやコミュニティ活動で使ってみてくださいね。
それでは最後になりましたが、ご参加頂いた方、ここまでお読み頂いた方、そして「らっかみ！」に関わる全ての方々に感謝を。
ではでは、またどこかのあとがきでお会いできることを祈って。

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