ストッキング・ピンク・ワールド　～絶対領域VS透け透け伝線～｜リアクション

ストッキング・ピンク・ワールド　～絶対領域VS透け透け伝線～

　三人がひとしきり暴れ回った後、辺りは廃墟のようにボロボロになっていた。
「これまた派手に争ったもんだねぇ」
　多くの骸（燃えつきた的な意味での）を見回しながら、瓢はぽつりと呟いた。
　凜乃と咲、時音は互いに力を出し尽くしたのか起き上がる気力も残っていないようで、
　ニーハイ派に属しておらずに生き残っていたのは生足派のあきら、そして四つん這いになったままの無所属、アケーチくらいに見えた。
「おたくら、まだやる気なのかい？」
　一応聞くだけ聞いてみる。
「いやあ、ウチはもう完全に心を入れ替えてニーハイ派になるとこや。生足とか言ってたのがバカらしくなってきたわ」
　あきらが両手をあげ降参のポーズを取る。
　が、それはまさしくポーズ、つまりただの見せかけだった。
　彼女は降参するフリをして相手を欺き、隙を見つけてはそのニーハイを奪おうとまでしていた。
　しかしそんなぎらついた気持ちが隠しきれなかったのか、それとも騙し合いでは瓢に分があったのか。
　彼はその企みを見破っていた。
「意地でも生足派を貫こうとするその心意気や良し、と言ったところだけども、残念」
「え、いやウチはそんな生足派なんて……！」
　言葉では否定するも、流れる冷や汗は止められない。瓢はパンストを懐から取り出すと、あきらの頭へとそれを被せた。
「どうしても他の派閥を認められないなら、住み分けてみたらどうだい？　今後はニーハイを足に履く、パンストは頭から被る、ってな具合でねぇ」
「んー！　んー！」
　パンストを被らされ、呻くあきら。
　力及ばず、理想は打ち砕かれてしまった。
　けれど自分の脚は未だ生足のまま。
　そう、理想は砕かれど負けてもいないのだ！
　瓢はついでに、アケーチの元へと進むとその頭にパンストを被せた。
「ま、一応おたくにもやっとくとするかねぇ」
　結果、黒のぴっちぴちなエナメルボンテージに網タイツとピンヒール、傍らには淋しそうに置かれたムチ、頭にはパンストと得体の知れないとってもマニアックな存在が生まれてしまった。
　変わり者の芸術家が晩年につくったオブジェみたいだ。
「むご、むがむご、もごご！」
　パンストで顔を覆われているため何を言っているか分からないが、たぶん「こんなプレイもあったなんて！」的なことを言ってるのだと思われる。
　満足げなアケーチを見て、これで本当に良かったのだろうか、と思わずにはいられない瓢だった。

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