ストッキング・ピンク・ワールド　～絶対領域VS透け透け伝線～｜リアクション

ストッキング・ピンク・ワールド　～絶対領域VS透け透け伝線～

　そんな争いを、白石妙子は困ったような顔で見つめていた。
「な、なんでこんな争いをしてるのかしら……」
　やっとこの世界に現れた常識人だった。けれどそんな妙子にも、瘴気は浸食していく。
　ちなみに彼女の脚を見ると、ストッキングだった。
　とはいえ別にパンスト派に属しているわけではない。
　あくまで中立の立場で、妙子の気持ちが膨らんでいく。
「人に脚を見られるのなんて恥ずかしい……でも、ストッキングやニーハイを履いたところが見たい！　なんなのこの気持ち……！？」
　妙子は自分の中で膨らむ謎の感情に戸惑った。
　そこにニーハイ過激派から声が飛んでくる。
「そこのお前！　なにストッキングなんか履いてるんだ！　ニーハイを履けニーハイを！」
　詰め寄る男に頬を赤らめ、涙目になりながら妙子は言葉を返した。
「わ、私は……おばさんだし、ニーハイなんて履く年頃じゃありませんから……若い人が履いてるのはかわいいですけど」
「歳なんてそんなの関係ねえ！　すべての女性にニーハイを！　パンストは邪道！」
「で、でもパンストは下着が消えた時とかに便利ですし、こないだもパンストを履いていれば……ってなんでもないです！」
　自分が変なことを言ってしまった自覚からか、慌てて口をつぐむ。目の前の男性は「下着が消えた時……？」と不思議そうな顔をしていた。
　妙子は誤魔化すように、ニーハイ派、そしてパンスト派の面々に向かって提案をしてみた。
「あの、両方試してみるというのはどうかしら。何事も経験だし」
　これで争いが終わり、かつ自分がニーハイもパンストも見られるなら万々歳。さりげなく妙子は策士だった。
　一瞬互いの陣営に、「まあ、試すくらいなら……？」という雰囲気が流れた。
　しかしそこに、第3の派閥である春名あきらが待ったをかける！
「試すんもええけど、一旦キミのストッキング履き直した方ええんちゃう？　伝線しとるで」
「え？」
　妙子は反射的に自分のストッキングを見る。けれど特に破れている様子はなかった。
「伝線していないみたいですけど……？」
「あれー？　見間違いやったかなあ」
　白々しい様子でとぼけてみせる。
　そう、あきらの派閥はまさかの生足派！
　近くにいるニーハイおよびストッキング着用者のそれを脱がせ、生足にさせたかったのだ。
「ていうか、お姉さん生足の方がきれいやで、きっと」
「そんな……おばさんをからかわないでください。そんな歳じゃ……」
「年齢とか関係あらへんよ。一旦脱いでみたら分かると思うけどなあ」
　交渉を続けてみるが、妙子の反応はいまひとつだ。痺れを切らしたのか、あきらはそこで実力行使に出た。
　この人気弱そうやし……もう力尽くでいってもええか！
「えいっ」
「きゃあ！？」
　突如ストッキングを脱がしにかかるあきらに、思わず悲鳴をあげる妙子。しかしあきらはそんなことお構いなし！
「ウチは生足派なんや……目指すは全員生足や！」
　きらん、と目を光らせるあきら。
　このまま妙子のパンストは脱がされてしまうのか！？

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