ストッキング・ピンク・ワールド　～絶対領域VS透け透け伝線～｜リアクション

ストッキング・ピンク・ワールド　～絶対領域VS透け透け伝線～

　骨削瓢は自分の下半身を改めて見つめた。
　小柄な体格の彼は、脚の太さもその体格に見合った細さだった（ガイドのイラストを見たマスターの個人的意見）。
　そしてその脚には、しっかりとニーハイを着用していた。いつの間にか。
　当たりを見渡せば、あちらこちらでやれニーハイだとやれタイツだのと荒々しい怒号が。
　しょうもない、実にしょうもない。
　けど、そんなくだらない争いごとこそ、瓢のもっとも好むところだった。
「下履きなんざどうだっていいが、こういう雰囲気は好物さぁ」
　瓢はとりあえず自分がニーハイを履いているので、ニーハイの派閥として動くことに決めた。
「さぁて、パンスト派の連中を言いくるめるにはどうするのが効果的かねぇ」
　じっくりと考え込む。
　その近くでは、同じくニーハイを履いていた水上桜がこれ以上ないくらいのハイテンションで争いに加わっていた。
「ニーハイが生み出す絶対領域こそ至高にして究極！　パンストなど、想像力のない猿を扇情させるだけで、まともな人間が身にまとうものではない！」
　君、そんなキャラだっけ？　くらいの勢いだ。
　よっぽどこの空間を埋めている瘴気とか神魂とかそのへんにやられちゃってるようだった。
「だいたい、パンストにはガーターがオプションでつけられないじゃない！　ニーハイならガーターとの組み合わせを楽しむことだってできる……これ最強！　これさえあれば、ほかはいらない！」
　桜のテンションは最高にハイってやつだった。
　あまりにハイすぎて、桜は単身パンスト派の集団の中へと突っ込んでいった。
　当然、パンスト派から一斉に反ニーハイの罵詈雑言が飛んでくる。
　けれど桜はめげるどころか、ますますニーハイへの情熱を燃え上がらせた。
「何度言えば分かるの！？　とにかくニーハイが最強ったら最強なの！」
　興奮がピークに達した桜は、目の前にたまたまいたパンスト派の男性（どこか中東系の国からこの空間に連れてこられたのか、明らかに日本人じゃなかった）の胸ぐらを掴むと、強引に押し倒した。
「どこの国の人か知らないけどいいもの持ってるじゃない！　ちょっと貸しなさいよ！」
　そういうと、桜はその男性がこれまたたまたま持っていた小型のミサイルランチャーを奪い取った。
　たぶんこの男性はたまたま紛争地帯あたりからこの空間に連れてこられたんだと思う。
「これだけ言ってもわからないのね……なんて頑迷なの！」
　言うが早いか、桜はランチャーを構える。
「そんな頭の悪い奴らは成敗してくれる！」
　桜はミサイルを乱射しまくった。爆風で彼女のスカートがなびく。見えそうで見えないその神秘的なスカートの中と、強調された絶対領域が眩しい。
　これにはニーハイ派からも歓喜の声が上がった！
　調子に乗って桜は次々と弾を放っていく。
「パンストなんぞ、ちょっとしたことですぐに伝線いくし、夏場は暑いし蒸れるし、ちっとも使えねー！！」
　もう完全にやりたい放題だった。口調もいつもと完全に別人だ。
「……これまた派手に暴れてるねぇ」
　その様子を見ていた瓢は、ニヤニヤと笑いながら遠巻きに見ていた。
　このままニーハイ派がパンスト派をせん滅するのだろうか？
　しかしそう一筋縄ではいかなかった。

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