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圖書館ノ怪
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「それにしても、こんなに残っているなんて……状態もいいですね。大事に扱われていたのがわかります」
「生きていたらどうなっていただろうな」
『フランケンシュタイン』を訪れた修、美咲紀、綾花、白露の四人は、カウンターの見えるテーブル席に通された。田山徳二郎生前の作が収録されているそれを広げて、美咲紀は真剣に読んでいる。その傍ら、修と綾花は思い思いの言葉を零した。
「あれ? あの人じゃないかな?」
そうしていると、白露がカウンターの隅にある席を指差し、こんなことを言いだした。三人の視線も自然とそこに集まるが、その先には誰も居ない。しかし、春の陽気で暖かかった店内の温度が、少しだけ下がったような気がしてならない。白露はふらふらとその席に近付いて、そこに座っている何者かの肩に手を置くように腕を動かしていた。
「あそこに、徳二郎さんが……?」
「とにかく行ってみるのです」
「ああ」
徳二郎と思わしき誰かに語り掛ける白露を見て、三人もカウンターへ近づく。
「うん、出来たらでいいんだけど……」
白露がそう言うと、窓や扉が開いているわけでもないのに、ひゅうと風の音がした。四人が目を瞑ると風が止む。再び目を開けた四人の前、男が一人椅子に座っていた。男はまるで大正時代からそのまま時間旅行してきたかのような、シャツの上に着物と袴の書生姿だ。
「貴方が田山徳二郎さんですか……?」
「いかにも。俺が、徳二郎」
男は――徳二郎は綾花をはじめとした四人の顔をまじまじと見て、いったい何の用があるのかといった風に首を傾げている。四人はそれぞれ一礼して、自己紹介をしてから本題に入った。
「いったいどうして、こんなことをしてるのかな?」
「徳二郎さんの未練の正体は、なんですか?」
徳二郎は腕を組んで重々しく口を開く。
「……俺は作家にはなれなかった。書いた物も、もう忘れられようとしている。だから、せめてどんな形でもいいから読んでもらいたかった」
「徳二郎さん……!」
「あと、最近はぶいあーるというのが流行りだそうだから俺もぶいあーるにしてみた」
「そんな理由だったんだ……」
徳二郎の語りを聞きながら沈痛な面持ちをしている綾花の横で、白露が笑いを堪えている。綾花は慎重に言葉を探しながら、徳二郎に真摯な瞳を向けた。
「御本、読みました。私は……好きです、徳二郎さんの小説」
でも。綾花は前置きして続ける。
「本の中に人を引きずり込むのは良くないです。本の世界は本を読めば自然と入っていくものだから……徳二郎さんも、そうでしたよね?」
「それは……そうだが……」
「解放してあげて下さい」
じっと綾花に見つめられて、徳二郎は言葉に詰まった。戸惑っている様子の徳二郎の前、修が躍り出た。
「まあ、待て」
修は徳二郎を真っ直ぐ見て言う。その瞳は真剣そのものだ。
「未練を晴らす手助けをしよう。残したものを伝えていくよ」
「手助けっていってもなあ……君たちは何をしてくれるんだ?」
具体案を求められ、詰まりかけた修の言葉の続きを綾花が継いだ
「本の世界に入り込んだ人は小説を読んでるので、感想を聞いてみてはどうですか?」
美咲紀も綾花に続いて言う。
「田山氏の作品、これからネットで公開するつもりなのです」
「ね、ネット?」
「VRと同じく最新テクノロジーなのです! 田山氏が文学を志した時代よりずっとたくさんの人の目に触れるのですよ!」
「皆、君の無念を晴らそうとしてくれてる。どうする?」
白露に訊かれて、徳二郎は俯いた。そうして弱々しくも、はっきりと言う。
「……現世の人には迷惑をかけてしまったな。わかった。こんなことは、もうやめよう」
そう言った徳二郎の身体が、光に包まれながら薄れていった。
「俺の作品が後世にも残っていくなら、それは、とても――」
清々しい表情でふわりと宙に浮かんだ徳二郎だったが、突然ひゅうと音を立ててカウンター席まで落ちてくる。薄れていた色は濃くなり、光はいつの間にか消えていた。
「……あれっ?」
「まだ何か、未練が……?」
「いや……実のところ、俺にもわからない」
「何か心当たりはないのかい?」
「そうだな……」
綾花と白露に訊かれ、徳二郎は腕を組む。
「現世の人を見ていたら創作意欲が湧いてきた。それが新しい未練になったのかもしれない」
複雑な顔をしていた徳二郎であったが、やがてサッパリした表情に変わり、こう言った。
「まあ、もう皆に迷惑はかけぬ心算だ。満足次第、成仏しよう。八神、椿、綾辻、薄羽……ありがとう!」
そう言って、徳二郎は店を出ていく。
後日――ねこったーでは大正時代の悪夢といった証言は風化し、かつてそれを読んだ人間が自分も注目を浴びるべくと創作して投稿しても、もはや信じる者は居らず、嘘としか言われない。白露の元にも、また別の相談が持ち込まれる。成仏こそしなかったものの、あの反省は偽りではないらしい。
その代わり、最近ネットである作家が評判になっていた。その作品を読んだ誰かが、ネットで読んだ田山徳二郎という作家の文章にどこか似ている気がすると言い出したり、しなかったり――。
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あとがき
担当マスター:
六原紀伊
ファンレターはマスターページから!
参加者の皆様、ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
六原です。異変は無事、収まりました。
【現】パートについて。皆様の説得により、田山徳二郎は深く反省して怪異を起こすのを辞めました。
成仏するまでの間、現代を観光するつもりでいます。
ネットに公開された自著の感想を読みながら新作を考えているようですが、それはまた別のシナリオで。
【夢】パートについて。皆様の自由でわくわくするアクションを活かせるよう努めました。
異世界に迷い込むことで生じる非日常感や不安をプレイヤーの皆様にも体験して頂きたいと考え、それを文章でどう表現すればいいのか、がこのシナリオの出発点でした。実験的試みだったのですが、楽しんでいただければ幸いです。
それでは皆様、またお会いしましょう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
六原紀伊
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
推理・サスペンス
ホラー
冒険
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年10月29日
参加申し込みの期限
2017年11月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年11月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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