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ラブ☆部活＆同好会 ～運動部の春～
【水泳部(2)―それぞれのフォーム―】
部員達は着替えを終えると、スポーツセンターのプールサイドに集合した。
「みんな準備運動を忘れずにね！ くれぐれもいきなり水に飛び込んだりしたら駄目ダヨ！」
志波 武道は安全のための指導を徹底した。
そのために、武道は更衣室では光速の早着替えでブーメラン水着姿に変身し、誰よりも早くプールサイドに到着していたのだった。
「足つったりとか、水中でのトラブルは事故に直結しますからねー」
と、武道の隣で声掛けをする雨崎 荒太郎も、驚きの早着替えで武道の後に続いた。
「準備運動の徹底を、くれぐれも、くれぐれもよろしくお願いしまーす！」
そう念を押す荒太郎は、かつては水に顔を突っ込むのも怖かった時期があり、ゆえにその訴えは切実さがある。
が、それを聞かぬ者もいて、
「わーい！ お水だ、ばっびゅーん！」
それが、誰あろう、二年生の野々 ののこであった。
「って、ののこちゃん、言ってる側から！ ダーメッ！」
と、準備運動なしでダイブしようとするののこの腕を、武道がとっさにガッシと掴む。
そんな上級生らのやりとりを、新入部員の水上 桜は呆れながら見ていた。
（……三年間、退屈せずに済みそうね）
ふぅと小さく息を吐き、桜は自分の身を包む水着を見やる。
（寝子高の競泳水着を着るのは今日で３度目、か……）
桜は、試着のときに一度、それからプール掃除のときにもう一度、現在身に着けている寝子高の競泳水着を身につけている。
（ここのプール自体は中学の頃からお馴染だけど……高校生として入るのは初めてだからちょっと緊張するかな）
桜はそんなことを考えながら、入念にストレッチをこなしていく。
「みんな、今後の大会等のために、自分のメインの泳ぎを今の内に決めておくのよー！」
水着姿の相原 まゆが、手メガホンで部員達に呼びかける。
（……メイン泳ぎ、か。得意なのはクロールと平泳ぎだけど……）
桜は、これまでの自分の経験から、メインをクロールに定めることに決める。バタフライと背泳ぎもできなくはないが、いずれもタイムは平均的であったためだ。ちなみに、彼女自身の自己ベストは、50m自由形で32秒だった。実際に大会に出られるかはともかくとして、タイムを縮める努力はしたいと思う。
（……さて、集中しなきゃね）
そうして、桜は、飛び込み台に立つと精神を集中して、自分の理想のクロールを頭の中に描き始める――。
＊ ＊ ＊
ところで、武道もまた、クロールはお気に入りの泳ぎだった。
三年生である武道は、部員達の準備運動をきっちり見届けてから、自分もゆっくりとプールに入り、まずは水に身体を慣らし、軽く泳ぎ始める。
（うーん。やっぱりいいよな！ この水の感触！）
この感触が好きだから、武道は水泳をやっている、と言ってもいいかもしれない。
水に包まれていると、なんだかホッとするのだ。
そこからさらにクロールへと泳ぎ方を変えて、徐々に身体を温めていく。
「よーし、そろそろいいカナ！ まゆセンセ、計測お願いしますっ！」
「わかったわ！ 武道くんは今年で卒業だものね。悔いのないように頑張って！」
「うん☆ ありがと、まゆセンセ！ じゃあ、ブドー、いっきます！」
にっこり笑って、武道はプールに入り、位置につく。
「はい。それじゃよーい――スタート！」
まゆの合図で、武道は魚のようにプールを泳ぎ始める。
（……あと一年。正確には受験に備えたりでもっと短いけど……だからこそ、全力で泳ぎきる……！）
冷たい水をかきわけながら、いつのも軽さがなりをひそめた本気モードにて、武道はただひたすらに前へ進んでいくのだった。
「わー。武道先輩、はっやいなー」
荒太郎は、そんな本気ブドー先輩を見て、感嘆の吐息を吐いていた。
（……そうだよね。あと一年だ。言っている間に、おれも……）
一年は長かったようで、短かった。ふと気づいたときには自分も三年生になっているだろう。
そう考えると、ぼんやりしている時間はもうなかった。
（……そういえば、おれもまだメイン決めてなかったっけ……。）
荒太郎は自分もどうするべきか考えてみた。これまでの得意フォームを継続していく手もある。だが、
（……最近ようやくかたちになってきたバタフライが一番性に合ってる気がするんだよなぁ）
バタフライは、その名のとおり、蝶のように、全身を使って飛ぶように舞う泳法だ。
（水中を飛ぶように泳ぐから、自由になれる気がして好きなんだよね）
そのときの感触を思い出して、居ても立ってもいられなくなり、荒太郎もプールへ飛び込んだ。
お昼休憩まで、まだだいぶ時間がある。計測は午後にまわし、荒太郎はひたすら自由を求めて、しゃにむに水をかき続けた。
部員達は着替えを終えると、スポーツセンターのプールサイドに集合した。
「みんな準備運動を忘れずにね！ くれぐれもいきなり水に飛び込んだりしたら駄目ダヨ！」
志波 武道は安全のための指導を徹底した。
そのために、武道は更衣室では光速の早着替えでブーメラン水着姿に変身し、誰よりも早くプールサイドに到着していたのだった。
「足つったりとか、水中でのトラブルは事故に直結しますからねー」
と、武道の隣で声掛けをする雨崎 荒太郎も、驚きの早着替えで武道の後に続いた。
「準備運動の徹底を、くれぐれも、くれぐれもよろしくお願いしまーす！」
そう念を押す荒太郎は、かつては水に顔を突っ込むのも怖かった時期があり、ゆえにその訴えは切実さがある。
が、それを聞かぬ者もいて、
「わーい！ お水だ、ばっびゅーん！」
それが、誰あろう、二年生の野々 ののこであった。
「って、ののこちゃん、言ってる側から！ ダーメッ！」
と、準備運動なしでダイブしようとするののこの腕を、武道がとっさにガッシと掴む。
そんな上級生らのやりとりを、新入部員の水上 桜は呆れながら見ていた。
（……三年間、退屈せずに済みそうね）
ふぅと小さく息を吐き、桜は自分の身を包む水着を見やる。
（寝子高の競泳水着を着るのは今日で３度目、か……）
桜は、試着のときに一度、それからプール掃除のときにもう一度、現在身に着けている寝子高の競泳水着を身につけている。
（ここのプール自体は中学の頃からお馴染だけど……高校生として入るのは初めてだからちょっと緊張するかな）
桜はそんなことを考えながら、入念にストレッチをこなしていく。
「みんな、今後の大会等のために、自分のメインの泳ぎを今の内に決めておくのよー！」
水着姿の相原 まゆが、手メガホンで部員達に呼びかける。
（……メイン泳ぎ、か。得意なのはクロールと平泳ぎだけど……）
桜は、これまでの自分の経験から、メインをクロールに定めることに決める。バタフライと背泳ぎもできなくはないが、いずれもタイムは平均的であったためだ。ちなみに、彼女自身の自己ベストは、50m自由形で32秒だった。実際に大会に出られるかはともかくとして、タイムを縮める努力はしたいと思う。
（……さて、集中しなきゃね）
そうして、桜は、飛び込み台に立つと精神を集中して、自分の理想のクロールを頭の中に描き始める――。
＊ ＊ ＊
ところで、武道もまた、クロールはお気に入りの泳ぎだった。
三年生である武道は、部員達の準備運動をきっちり見届けてから、自分もゆっくりとプールに入り、まずは水に身体を慣らし、軽く泳ぎ始める。
（うーん。やっぱりいいよな！ この水の感触！）
この感触が好きだから、武道は水泳をやっている、と言ってもいいかもしれない。
水に包まれていると、なんだかホッとするのだ。
そこからさらにクロールへと泳ぎ方を変えて、徐々に身体を温めていく。
「よーし、そろそろいいカナ！ まゆセンセ、計測お願いしますっ！」
「わかったわ！ 武道くんは今年で卒業だものね。悔いのないように頑張って！」
「うん☆ ありがと、まゆセンセ！ じゃあ、ブドー、いっきます！」
にっこり笑って、武道はプールに入り、位置につく。
「はい。それじゃよーい――スタート！」
まゆの合図で、武道は魚のようにプールを泳ぎ始める。
（……あと一年。正確には受験に備えたりでもっと短いけど……だからこそ、全力で泳ぎきる……！）
冷たい水をかきわけながら、いつのも軽さがなりをひそめた本気モードにて、武道はただひたすらに前へ進んでいくのだった。
「わー。武道先輩、はっやいなー」
荒太郎は、そんな本気ブドー先輩を見て、感嘆の吐息を吐いていた。
（……そうだよね。あと一年だ。言っている間に、おれも……）
一年は長かったようで、短かった。ふと気づいたときには自分も三年生になっているだろう。
そう考えると、ぼんやりしている時間はもうなかった。
（……そういえば、おれもまだメイン決めてなかったっけ……。）
荒太郎は自分もどうするべきか考えてみた。これまでの得意フォームを継続していく手もある。だが、
（……最近ようやくかたちになってきたバタフライが一番性に合ってる気がするんだよなぁ）
バタフライは、その名のとおり、蝶のように、全身を使って飛ぶように舞う泳法だ。
（水中を飛ぶように泳ぐから、自由になれる気がして好きなんだよね）
そのときの感触を思い出して、居ても立ってもいられなくなり、荒太郎もプールへ飛び込んだ。
お昼休憩まで、まだだいぶ時間がある。計測は午後にまわし、荒太郎はひたすら自由を求めて、しゃにむに水をかき続けた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2017年10月30日
- 参加申し込みの期限
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- 2017年11月06日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2017年11月06日 11時00分
