回転寿司いこっ！｜リアクション

回転寿司いこっ！

　――とある平日、夜（その２）

　夕飯時のねこ寿司には、たくさんの笑顔が溢れていた。
　どこかでわっと声が弾けるのを耳に、水守流はカウンター席へと向かう。
（へぇー、なかなか賑わってるな、おまけ目当てか割引目当てか……）
　ちなみにそんな流は、「俺は両方だけどな！」派。
（回転寿司でおまけのチャンス、いい具合に腹も減ってる……こりゃ、試しに行ってみるしかねーだろ、うん）
　そんなことを思いながら湯呑みの茶をぐいと喉に流し、流は近くを通りかかった店員を呼び止めた。
　先ずはお目当てその１、くじ引きの時間である。
「どれどれ……残念、外れかぁ」
　残念賞のサンマさんシールをカウンターの脇に置いて、
「こうなったら、ガンガン食う方を楽しむしかねーな！」
　と、流はフェイズ２、魅惑の寿司タイムに移行！
「さーて、まずはっとぉ……」
　流の指が、たんたんたんっ、とタッチパネルの上を走る。
　マグロ、蟹味噌軍艦、エンガワ、イクラを手始めに注文する流。
　握り立てのマイ定番ネタがやってくるのを待つ間にと、流はレーンへと眼差しを遣った。
「よし、何か食べてみるかねぇ。……お？　こいつぁまさか……」
　流の目に留まったのは、玄人の味わさび巻きだ。
　機嫌良く、流はわさび巻きが鎮座する皿を手に取った。
「つーんと辛いが美味いんだよな、これ。……どれ」
　ぱくりと口に放れば、苛烈と言って差し支えがないほどの辛さが流を襲う。
　けれど、わさびとシャリ、そして海苔の３つが口の中で奏でるハーモニーと言ったら！
「く～！　からっ！　うまっ！」
　わさび効果で勝手に滲む涙を拭って、流は大満足の声を漏らす。
「ふぅー、つーんときたぜ。おっ、注文してたのもちょうど届き出したな」
　マグロが口に運ぶのは、独特の歯応えと確かな旨味。
　ねっとりと濃厚な蟹味噌、たっぷり脂の乗ったエンガワ、ぷちぷち食感と甘みのコラボが秀逸なイクラ……。
　そこまで味わい終えて一息ついた流の耳に、ふと、
「初、わさび巻きは……」
「ええっと……残念、売り切れ」
「そういうこともあるんですね。勉強になります」
　なんて会話の切れ端がとび込んできた。
　手元のタッチパネルで確認してみれば、成る程、わさび巻きは確かに売り切れている。
（あ、メシテロジツ発動しちまってたか）
　更に、マグロも蟹味噌もエンガワもイクラもやや品薄状態に陥っている！　が！
（ま、気にしないで次の皿をいってみよう！）
　と、流はその後も存分に回転寿司を満喫するのだった。そして、
「……ふぅ、食った食った」
　たらふく寿司を食べ終えて、流は自分の腹を撫でた。
（しかしまさか、回転寿司を食べに来て、ある意味での戦場を作る事になるとは思わなかったな……）
　流が食べたネタを注文する客が続出し、一部のネタは怒涛の如くに品切れにまで追い込まれたのだ。
　メシテロジツ恐るべし、である。
（ま、俺は美味しくいただけたからよしとしとこう。それに……）
　場所が色んな味を取り揃えている回転寿司店であるが故に、そこまで大きな騒ぎも起こっていない。
　売り切れたネタがあっても、お腹いっぱい寿司を食べられるのが回転寿司だ！　ビバ！
「にしても腹が重い……最後の２枚、あれが効いたか」
　ぐいっと〆のジュースを飲み干して、何故か決め顔になる流。
　会計ボタンに手を伸ばした流は、その後、悠然と帰路に着いたのだった。

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あとがき

担当マスター：巴めろ
ファンレターはマスターページから！

お世話になっております、ゲームマスターの巴めろです。
まずは、ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました！

リアクション執筆中、回転寿司店に飛んでいきたくなった回数は数知れず。
ＰＬの皆様にも、「あ、回転寿司行きたいな」と思っていただけたらとても嬉しいです。
また、ＰＣ様方にとって心に残るひと時となっておりますことも、勿論心より願っております。

重ねてになりますが、ご参加くださった皆様に心からの感謝を。
この度も、本当にありがとうございました！

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