スクール水着は世界を救うんだってばマジで！｜リアクション

スクール水着は世界を救うんだってばマジで！

【３】

　羽生碧南はキャットロードを歩いていた。
　ちょっとした用事のついでに、ゲームショップにでも寄ろうかなと考えている碧南。
　気がつけば、ハマっている乙女ゲーの妄想タイムに。
「……あ、このシチュけっこういいかも……」
　なんて考えながら、ムフフと笑っていると……ショーウインドウに映る自分の姿が目に入った。
「……え？　えっと、えええっ！！？」
　思わず仰け反ってしまうのも無理はない。
　何せ、そこに映ったのはどっからどう見てもスク水姿。
「ど、ど、どうなってんの！？　なぜスク水……！」
　しかし、不思議なことに周りの人は気がついていない様子。
「いやいや、気づいてないから余裕！　とか、そういう問題じゃないから！」
　身長180センチの高身長女子である碧南。
　バスケで鍛えられたシュッと引き締まりつつも、ボンキュッボンなモデル体型なその魅惑的な容姿にスク水。
「あーそう。わかった。またしても神魂のせいか！」
　もれいびではないが、この島での暮らしも長い。
　さすがにもう何が原因かぐらい、いい加減察することはできる。
　とその時だった。
　ひらりひらりと彼女の頭の上を一枚のブラジャーが通り過ぎて行ったのは。
「ぶ、ブラ？」
　なんだか薄々わかってきた。こんな感じになる時は大抵わけのわからないものが原因だってことを。
「絶対、あれが原因だ……！」
　なんとなく己に課せられた使命を理解し、ブラを捕まえようとジャンプの構え。
　とその途端、周りからどよめきが聞こえた。
「え？」
　突き刺さる視線から、それが彼女のスク水姿に向けられたものだとわかる。
「な、なんで急に……って、ああ、これも神魂のわけわかんないルールなの！？」
　ブラジャーを捕まえたら事態は収拾される。
　でも、近づいたらスク水姿が暴露されてネットで拡散されて変態女子高生としてデビュー確定。
　ああ、なんというジレンマ……！
「うう、やだよ！　ネットは怖いよ！」
　碧南は近くにあった洋服店に目を向ける。
「な、何か羽織るものを買わないと……」
　洋服店を目指し、お財布を取り出そうとしたところで碧南は頭を抱えた。
「う、嘘でしょ！　さ、財布がない！　うう、私ってドジ……！」
　こうなったら隠せればなんでもいい、と壁に貼ってあるポスターを剥がそうと試みる。
　しかし、なぜか今日に限って、ポスターが綺麗に剥がれずビリビリに。
「な、なんで……あっ！　これも神魂のせい！？」
　くぅぅと唇を噛みしめる。それなら、とどこかに駆け出す碧南。
　そして、戻って来ると頭にすっぽり紙袋が被さっていた。目のとこに穴を空けて。
「スク水姿を暴露されるのなら、顔を隠せばいい！」
　そりゃあああ、と気合いを込めてジャンプして、ブラを回収。
　そのまま、どよめきの走る人の中を走り抜けていった。
「うう、顔を隠してもやっぱり恥ずかしいよ、これ〜！」
　後日、キャットロードにスク水姿の変態紙袋女が現れたと噂が立ったのは言うまでもない。

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