心の翼、広げて｜リアクション

心の翼、広げて

　寝子高２年の新井晶が目を覚ますと、体が女の子に変わっていた。
（……巨大な虫じゃなくて良かったね！）
　と鏡を見ながら思う。
　服装が女の子なのは珍しくない、さらさらロングで童顔な男の娘の晶であるが。
（身長は何時もの通りだぞ！）
　だが３サイズは（１０２（６５Ｌ）・５９・８７）。
「女体化もので起きてすることは……決まってるな？」
　晶の頬に赤みが差す。
　晶の胸によぎった妄想を描写すると、いくらお約束でもらっ！倫に検閲されてしまう。らっ！倫には勝てない……
　……かどうかはわからないが、晶には他にもやることがあった。

「不埒な妄想は置いておいて、まずは配信しなきゃ」
　普段からコスプレ大好き、その格好でネット配信なんかもしちゃう晶である。
「何故かあったコスプレ衣装でコスプレ配信なのですよ？　どうせならセクシーできわどいコスなのです！」
　衣装を着れば、もう口調も女の子になりきっている。
　今までは可愛い服を着ても胸がちょっと寂しかったけれど、今はこれでもかとボリュームあるメロンが自己主張している。
「リスナーさんに女の子になった報告なのです☆」
『マジ？』『すげえ、その胸ｗ』『えー、まさか本物なの？』
　配信動画にはリスナーのコメントがリアルタイムで流れてくる。
「ほんと、私もびっくりしちゃった。朝起きたらこれだもの」
　動画に映る巨乳に、みな騒然としている。
『本物かどうか胸見せて～』
　若いうちにかわいいを堪能したい晶、そんなコメントにもつい反応したくなって。
「はいはい」
　惜しげもなく胸の谷間を見せてしまう。
『おおー！　女神降臨ｗ』『脚も開いてよ～』　
「いいよー？」
　騒いでもらえるのは気持ちいい、今まではこんなことできなかったし……
　リスナー数はどんどん上がり、コメントが熱を帯びてくる。
『服はだけて～、お願い！』
「こお？」
　サービスしているうちに、気づくと凄い格好に……
「……っと、やりすぎちゃった。今日はここまで！」
　我に返って配信を中止する晶であった。
「やばいやばい、やりすぎはいけないのです」
　どきどきしながらコスプレ衣装を脱ぐ。　
「そうそう、彼氏とデートの約束があったのです」
　女物の下着を着用イベント！　おっきくてもおしゃれで可愛いブラだ。
「さっきは露出度高いコスだったから清楚系で勝負なのです！」
　純白のワンピースを身にまとい、鏡を見て笑ってみる。
　いつものことながら可愛い。
　
「おはよう、晶ちゃん。今日は一段とセクシーだね♪」
　外に出たら彼氏が待ち構えていた。
「おはようございます～。待たせちゃいました？」
「待ってたよ～、さあ行こう」
　行き先はなぜか、いきなりホテルだった。
　手を握られ、ホテルに連れ込まれて焦る晶。
「そういうのとか興味はあるんですけど……じゃなくてまだ早い！　というかいきなりそれってどうなんですかー！」
　錯乱する晶だが、彼の手に力がこもって……

　目が覚めた。
「あれ、女の子じゃない……」
　ほっとしたような、がっかりしたような。
　　

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