それいけ蚤の市！～欲しい物は何ですか？～｜リアクション

それいけ蚤の市！～欲しい物は何ですか？～

　蚤の市に並ぶきらきらしいアクセサリーの数々に、新田樹は瞳を煌めかせた。
「わお、私好みのアクセサリーがいっぱい！　どれを買おうか迷っちゃうな～」
　あの指輪に填め込まれた大きな石は、もしかしなくても本物の宝石？
　それに、アンティークのブローチに描かれた薔薇の、精緻さと優美さと言ったら！
「素敵だなあ……って、それは良いんだけど……」
　年頃の女子らしくアクセサリーを眺めていた樹の眼差しが、ちらと脇に逸れる。
　そこには、スーパーマーケットに行けば１００円で幾つも買えるはずの駄菓子達が、堂々と鎮座していた。
（……あれ、何で売ってるんだろ？　どう見ても安物にしか見えないけど……）
　いやしかし、と樹はアクセサリー達の眩い輝きの中で思う。
（ここに並んでるってことは、もしかして超美味しかったりするのかな？）
　実際は、ここで誰かが、「駄菓子が食べたいな」と考えてしまったのだろう。
　そして買わずにはいられない気持ちになりながらも、財布の中身がそれを許さず……。
　何だかしょっぱいような話だが、そこのところは樹の知るところではない。故に、
（よーし、ここは思い切って……）
　と、樹は、溢れる好奇心を胸に駄菓子へと手を伸ばす……と見せかけて、
（……やっぱりやめよう。貴重なお小遣いだから大切に使わないとね）
　という具合で、ごく現実的な判断を取ったのだった。
　しかし、樹はその時出会ってしまう。
　駄菓子に埋もれるようになっている、鈍く、しかし艶やかに光る銃身に。
「……え、これはまさか！」
　それは、現代科学の粋を集めて開発された、世界最強とも謳われる拳銃！
　しかしその反動は凄まじく、一流のガンスリンガーでさえ手を焼くというじゃじゃ馬、
「Ｎ２００……のモデルガンだ！」
　もう、アクセサリーなんてそっちのけになって、駄菓子の山からモデルガンを掘り出す樹。
「わあ、この長い銃身！　実戦では使い難いって話だけど、すっごい迫力あるね！」
　掘り出し物を端から端まで眺め回して、樹はうっとりとする。
「これも５００円なんだよね？　ワンコインで手に入るなんて、夢みたい！」
　店員さん、これください！　と、樹は明るい声を出して、そのモデルガンを購入した。
「あとで試し撃ち……は、モデルガンだからできないか。でも、構えてみるの楽しみだな～♪」
　戦利品を携えて、樹はまた蚤の市を行く。
　他にも何か面白い物売ってないかな？　と、胸いっぱいのわくわくも引き連れて。

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