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4月の☆ハッピーバースデー
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●4月1日 ―
天宮城 因
のBirthday―
その日、
如月 蘇芳
はケーキ屋の店先にいた。
ショーウィンドーの向こう側では、パステルカラーのスイーツが、食べられる順番を待つように並んでいる。
時刻はちょうど昼を過ぎた頃。駅前の雑踏を離れて、一服していくには丁度よい時間帯だ。
そんな蘇芳の今の心境を一言で言い表すと、こうなる。
――勘弁してよ。
蘇芳は軽いめまいを覚えた。
今、彼の肩を掴んでいる
千歳飴 楓子
の企みに巻き込まれると確信してしまったからだ。
「こんなところで出会うとは。奇遇だな、蘇芳氏」
「ああ、本当に奇遇だね、楓子ちゃん」
「奇遇の度合いで言えば、無課金でSレアを引いた程度か。これはきっと何かの縁だろう」
それってどういう縁なのかな、と蘇芳は小さく嘆息した。
楓子は重度のスマホゲー中毒者だ。
高校生とは思えぬ金額を湯水のように課金して、今もスマホを手にガチャを回している。
それでも周囲の気配には鋭いようで、背後の蘇芳を見事に察知し、捕まえてしまった。
「蘇芳氏。たしか甘いものが好きだったな。だからここにいるというわけか」
「まあ……ね。ごめん、他にも見て回りたい店が」
「そう言うな。せっかく3人いるんだ、お茶でも飲もう……異議はあるまい?」
楓子はスマホから目と指を離さぬまま、付き添っていた『3人目』に話を振る。
「異議なし、ですっ♪」
すぐさま返ってくる、無邪気な声。
それを聞いて、蘇芳は苦虫を百匹は噛み潰した気分になる。
(勘弁してくれ、勘弁してくれ、勘弁してくれ!!)
悲鳴にも似た蘇芳の祈りは、しかし、天には届かなかった。
「すおーさん、こんにちはっ♪」
天宮城 因
。
彼の声を聞いただけで、蘇芳は軽い頭痛に苛まれた。
蘇芳にとって、因は存在そのものが頭痛の種なのだから、無理もない。
いっぽう楓子は、そんな蘇芳などどこ吹く風で、因に語り掛ける。
「ウィンドーを見てみろ。色とりどりのケーキが目白押しだ」
「本当ですねっ♪ みんな、と~っても可愛いですっ。因の次くらいに♪」
楓子と因の会話を、蘇芳はどこか遠くで聞いている気がした。
自画自賛もここまで行けば立派だよな――そんな事を考える。
「それにしても、珍しいな? 因氏は、甘いものが嫌いではなかったか?」
「こないだは誕生日ケーキ食べられなかったのでぇ、今日食べちゃおっかなーって」
楓子の言う通り、因は甘い食べ物が大の苦手である。
それを知っている蘇芳だからこそ、こんなところで因とは出くわすまいと油断していたのだ。
それがまさか、誕生日とは……
「すおーさん、今日は因のお誕生日なんですよぉ~」
天使を思わせる中性的な顔で、因が蘇芳に笑顔を送ってきた。
玩具を見つけた猫の目だった。
「だからすおーさんもお祝いしてくださいっ」
「冗談じゃない。誰が因君の誕生日なんか祝うもんか」
「え~、すおーさん、酷いですっ。こーんなに可愛い因が生まれた記念日なのにぃ」
嫌悪感を露わに言い捨てる蘇芳。
それを聞いた因は、小さな目に涙をためる。
「そんなにせっかちじゃ神様に見放されて早死にしますよぉ?」
「楓子ちゃん、一緒にお茶でもどう? 良かったら奢るよ」
蘇芳は当然のように無視を決め込んで、楓子を誘ってみた。
「ん。では3人で行くとしよう」
楓子にこう言われてはお手上げだ。諦めるしかない。
蘇芳は、今日のよいことが残らず手のひらから零れてゆくのを感じていた。
「話はまとまったか? じゃあ早速中へレッツゴーだ」
「れっつごー、ですっ♪」
「…………ああ、そうだね」
間違いなく、最悪の1日になる。
ただ事実として、蘇芳にはそのことが分かった。
――頼むよ。神でも悪魔でもいい。
――これから始まる拷問を、1秒でも早く終わらせてくれ。
ケーキ屋の店内へ足を運びながら、蘇芳はただそれだけを祈っていた。
***
ケーキ屋の店内には、軽食を兼ねたイートインスペースがある。
その一角、街の通りに面した円卓の席に3人は着いた。
店内に漂う、焼きたてのケーキの香り。
ゆったりとしてお洒落な空間。のんびりと歓談する客たち……
因にとっては、どれも最高のスパイスだ。
向かいに座る玩具、もとい蘇芳を弄る楽しみを、大いに引き立ててくれるに違いない。
蘇芳は先ほどから隣の楓子と、何やら支払いのことを話していた。
「安心してくれ蘇芳氏。自分の分は自分で払う」
「そんな訳にはいかないよ。ここは俺が払うから」
「蘇芳氏は因氏の分だけ割り勘をしてくれればいいぞ、楓子とな」
買い物は相手が支払うもの、そう生きてきた因は、ふたりのやり取りを、
(クククッ……オトナってのも大変だよなあ?)
そんな思いで見つめている。
それからも二人はあれこれと交渉を続け、最後は結局、
「そうか、蘇芳氏が全員分奢ってくれるか。ありがとう、これで思う存分食べられる」
「……ああ、俺も嬉しいよ」
こういうかたちで落ち着いた。
程なくして。
「ご注文の品をお持ちしました」
店員が運んできたスイーツに、3人は手を伸ばした。
「俺はシフォンケーキと紅茶。うん、いい香りだ」
「真っ赤なモンブランは、因で~す♪」
「ふむ。この季節のフルーツタルト、いい仕事をしているな」
いっけん穏やかな雰囲気を漂わせながら、ケーキを口に運ぶ因と蘇芳。
タルトを食べながら、スマホゲーに興じる楓子。
しかし、すでに因と蘇芳の戦いは、水面下で始まっていた。
現に因は、蘇芳がこちらをつぶさに観察しているのに気がついている。
「どうしたのかな? 因君、甘いものは嫌いかな?」
「もちろんだ~い好きですっ♪ すおーさんのお金で食べるケーキ、すっごくおいしそーですっ♪」
「ふふっ。ねえ因君、その苺は甘いことで有名な地元の名産で、ここ10年で一番の出来らしいよ」
蘇芳は因が甘い食べ物が苦手であることを知っている。知った上で言っているのだ。
下手にうろたえる姿を見せようものなら、蘇芳に絶好のネタを握られてしまうだろう。
そのことに因は、小さな焦りを覚えた。
いっぽう楓子は、ずっとスマホから目を離さない。
だが、こちらの様子を逐一把握しているのは確実だった。
「このモンブラン、とーっても可愛いですっ! まずは一口……」
意を決して、ケーキを口に運ぶ因。
思った以上に、モンブランは手ごわかった。
旬のイチゴを使った、爽やかな香り。
絶妙にバランシングされた甘さと酸味。
甘いもの好きならば、一口で虜になること請け合いの味だった。
だが、甘いもの嫌いの因にとっては、一口で吐き気を覚える味だった。
モンブランの端を、フォークの先で削るようにして食べる因。
そんな彼の姿を見る蘇芳の顔には、
(因君が甘い物を我慢して食べるなんて、最高の眺めだ。見物料と思えば安い出費じゃないか)
そう書いてあった。
「……うん、すっごく美味しい……ですっ!」
「ふふっ。良かったじゃないか。なら残った半分も、すぐ食べられるよね?」
我関せずといった風情でカップに口をつける蘇芳。
そのソーサーを持つ手は、こらえる笑いで微かに震えていた。
(ちっ……モタモタしてると、如月に主導権を握られちまう)
因は内心で盛大に舌打ちする。
蘇芳に弄られるなど、屈辱以外の何物でもなかった。
因はあくまで弄る側でなくてはならないのだ。
その時、楓子が口を開いた。
「因氏、楓子のこっちのケーキと一口シェアしてくれ。蘇芳氏のも一口」
「いいですよぉ、とーっても美味しいのでいっぱい食べてくださいっ♪」
「俺のケーキ? ああ、構わないよ」
因と蘇芳は瞬時に猫をかぶり、笑顔で自分のケーキを差し出した。
入れ替わるようにもらった楓子のケーキに、恭しくフォークを伸ばす。
「楓子さんのも頂きますねぇ……こっちも美味しいですっ!」
「旬のフルーツをふんだんに使っているね。寝子島の春を感じる味だ」
楓子のタルトは、香りと酸味を前面に出した味だった。
モンブランに比べれば遥かに食べやすい、そう因は思った。
ここ一番で入った楓子の横やりに、蘇芳はさぞ歯ぎしりしているだろう――
笑顔の裏で、因は小さくほくそ笑む。
「ところで、どうだ? 因氏と蘇芳氏もケーキをシェアしては」
楓子の提案に、因と蘇芳は息をのんだ。
無論、仲直りを促しているわけではない。
楓子はそんな性格の少女ではない。
彼女もまた、すべて分かった上で言っているのだ。
「因君のケーキ? 俺はいらないから大丈夫だよ」
「結構ですっ♪ 因は楓子さんのだけでお腹いっぱいですぅ♪」
蘇芳と因が、同時に首を横に振る。
「すおーさんが口付けたケーキなんて美味しくないに決まってるのでいらないですぅ~」
「ハハ。残して構わないよ、お子様には早い味だろうしね」
「因、授業で習いました。人間は老けるとバカ舌になるそうですよぉ?」
「なるほど。なら因君が甘いものが平気になったのは、きっとそのせいだね」
「……くすっ」
因と蘇芳。ふたりのやりとりに、つい含み笑いを漏らす楓子。
それを見た因は、内心でため息をついた。この戦い、結局は彼女の一人勝ちに終わるということか。
「さて、因氏。蘇芳氏だけでなく、私からもプレゼントだ」
「ほ、本当ですかっ!?」
唐突に楓子が切り出した話に、因は目を輝かせた。
「うむ、これだ。自分用だったが因氏にあげよう」
そう言って楓子が差し出したのは、一揃いのピアスだった。
「ありがとうございますっ♪ でも、因ピアス開けてないんですぅ。だって怖いじゃないですかぁ……?」
「今度会った時開けてやろう。似合うと思うぞ、楽しみだ」
含み笑いをもらしながら、因を見つめる楓子。
獲物をしとめた、カラスの目だった。
「な……なら、勇気が出たら、ぜひお願いしますっ!」
因は恐縮した面持ちで、ぺこりと頭を下げた。
次の誕生日までに、何とかうまい理由を見つけなければ。
そんなことを考えていた。
「因氏、良い誕生日になったようで何よりだ。ああ店員さん、ケーキの追加を頼む」
狐とタヌキの化かし合い。それを笑顔で眺める猟師。
こうして、3人の時間はゆっくりと過ぎていく。
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
NPC交流
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年10月02日
参加申し込みの期限
2017年10月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年10月09日 11時00分
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