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●4月17日 ―
紅林 柳霞
のBirthday 後編―
「ううん。大丈夫でしょうか……」
「大丈夫だよ、景貴さん。『ケーキ』の事だよね?」
「そうです。現場に立ち会えないのがもどかしくて……」
結婚式を終えた新郎新婦控室で、景貴は不安を隠せずにいた。
その表情は、すでに菓子職人のそれに戻っている。
「お菓子は最初に目で食べる料理です。キズでもあったら、全て台無しなんです」
柳霞の言う『ケーキ』とは、披露宴のウェディングケーキのことだ。
柳霞との結婚と誕生日を祝う、とっておきのプレゼント。
お菓子職人の景貴みずから手がけた渾身の一品だった。
景貴は今、柳霞と一緒に新郎新婦の控室にいる。
披露宴は間もなくだ。主役の一人である自分が、座を放り出すわけにはいかない。
大きな菓子、特にケーキのような生ものは、ほんの些細なミスが命取りになる。
運搬でトラブルはないだろうか?
温度管理は平気だろうか?
小さな不安が次から次へと、景貴の胸を針のように突き刺してくる。
(ああ。柳霞さんへの大事な贈り物に、万一のことでもあったら――!)
景貴は、胸が締め付けられる思いがした。
そんな彼に、柳霞がそっと声をかける。
「景貴さん」
「……?」
振り向いた景貴の唇を、柳霞がそっと塞いだ。
「今、神様にお願いしたの。みんな笑顔で今日のお祝いを楽しめますように、って」
だから景貴さんのケーキも、絶対に大丈夫――柳霞は、自身に満ちた顔で胸を張った。
「……そうですね。ありがとう、柳霞さん」
「ふふっ。景貴さん、幸せな家庭を作ろうね」
そこへ会場のスタッフが、入場の準備を告げに来た。
景貴と柳霞は小さくうなずき合い、会場の扉へと歩いて行った。
(こんな素敵な人が伴侶だなんて、僕は本当に幸せ者です)
幸せな家庭を築こう。景貴は、そう心に誓った。
***
「あ、あんなケーキがこの世にあるのか……? 景貴さん、凄い……!」
景貴のウェディングケーキは、縦長の噴水を思わせる円筒型のフォルムだった。
天辺で宝石のように輝く苺やベリーが、赤い滝のように流れ落ちている。
クリームの白と、フルーツ赤の対比が美しい。
どこにも疵のない、荘厳ささえ感じる一品。
それは、景貴のすべてを込めて作られた芸術品だった。
景貴にしか作れない、この世にたったひとつのケーキだった。
「柳霞さん」
「うん」
手を取り合った景貴と柳霞が、ケーキにナイフを入れてゆく。
ふたりが執り行う、夫婦初めての共同作業だ。
(なんか……あれだな。この世の出来事とは思えない)
千尋にとって、姉のような存在だった柳霞。その夫となった、景貴。
そして、景貴の作ったウェディングケーキ。
千尋は感動に言葉をなくしたまま、三者が織り成す光景を、ただ呆然と眺めていた。
***
司会者の挨拶が終わり、乾杯の合図が取られた。
客が酔い始めた頃を見計らって喋りだした司会者の言葉を、千尋はずっと上の空で聞いている。
(なんか、食べちゃうの勿体なかったな……)
振舞われた料理を思い出しながら、千尋はそんな事を考えた。
どれも贅を凝らした素晴らしい味だったが、最も美味しかったのは景貴のケーキだった。
景貴と柳霞はお色直しを済ませ、賓客のテーブルをふたりで回っている。
程なくして、柳霞の祖父母に挨拶を終えた景貴が、千尋の方へやってきた。
「千尋さん、今日はありがとう」
「あっ、いえ、こちらこそ!」
景貴が声をかけると、千尋は慌てて頭を下げた。
「これで、千尋さんとも親戚ですね。どうぞよろしくお願いします」
「あ、ええと……そうなります、ね。こちらこそ、よろしくお願いします!」
「千尋君、私のせいで色々大変な立場にさせてごめんね」
「大変だなんて。柳霞姉、おめでとう! 本当におめでとう!」
千尋はよほど緊張しているのか、上ずった早口で祝福の言葉を何度も述べた。
最後に一礼してふうっとため息をつき、ぽつりと呟く。
「柳霞姉、どんどん大人になっちゃうよな……凄いよなあ。置いてかれた気分だ」
そんなことないよ、と柳霞は思った。
千尋は半ば紅林の家から逃げるように――少なくとも本人はそう思っているようだ――寝子島へやって来た。
そのせいで、柳霞の父や親族には随分と後ろめたい思いを抱いていたことを、柳霞は知っている。
そんな千尋も、式場で彼らと顔を合わせた時などは、臆することなく堂々と挨拶を交わしていた。
それを見て、本当に大人になったなと柳霞は思っていた。
「これからもよろしくね。でも勉強しないとゲームの充電コードは取り上げるよ!」
「そ、そんなあ!!」
悲鳴をあげる千尋に、景貴と柳霞は笑った。
ふたりにとって千尋はずっと、可愛い弟のような存在だ。
「景ちゃんおめでと。きれいなお嫁さんだね。結婚おめでとう!」
歓談の席を回っていると、景貴を呼ぶ声が聞こえた。
いとこの
宮島 メグ
だった。
「ありがとう。メグちゃんにお祝いして貰う日がくるなんて、何だか照れ臭いな」
「メグさん初めまして、柳霞です。これから親戚だね、良かったら仲良くしてね!」
「はじめまして、宮島メグです。こちらこそ、よろしくおねがいします」
メグは寝子島の木天蓼大学に通う女子大生だ。
いわゆる理系女子で、生物学と医学に造詣が深い。
普段は化粧っ気のない彼女も、今日は着飾って二人の結婚を祝いに来ていた。
「このケーキ、景ちゃんのてづくり? このイチゴ、すごくおいしい!」
「ありがとう。業者さんから、とっておきを譲ってもらったからね」
「ケーキの甘味とイチゴの酸味のバランスが絶妙だね。こんな旦那さん、いつか私も貰えたらなあ」
「ははは、メグちゃんにそう言ってもらえると嬉しいよ」
大のイチゴ好きであるメグに褒められ、照れくさそうに笑う景貴。その隣で静かに微笑む柳霞。
メグはそんなふたりを見て、バッグから取り出した白い絵の具を、両手の上に薄めていった。
「景ちゃん、柳霞さん、お手を拝借するね。わたしからのお祝い、です」
両手をふたりの手にそっと合わせると、メグはろっこんを発動した。
『夢幻』――絵具で色を付けた相手に、3分間だけ幻を見せる能力だ。
「わぁっ」
「これは……綺麗だ」
景貴と柳霞の目に、白い花吹雪が映し出された。
ふたりの視界いっぱいに舞い踊る花びらが、ふたりの門出を華やかに彩った。
「素敵な贈り物をありがとう。最高の思い出になったよ」
「凄い……メグさん、本当にありがとう!」
「どういたしまして。これからもよろしくね! ……ん?」
メグが二人の掌をハンカチでふき取っていると、その後ろから千尋の視線を感じた。
柳霞の歓声を聞いて、興味を持ったらしい。
「あの子、柳霞さんの?」
「私の従弟です。千尋君、こっちこっち」
柳霞に手招きされ、恐る恐るやってきた千尋に、メグは笑顔で挨拶した。
「はじめまして、景ちゃんのいとこの宮島メグです」
「あ、は、はいぃぃぃ……ち、千尋ですっ……」
「くすっ。すてきな従姉さんのきれいな姿がみられて、しあわせな日ですね」
「あっはいこちらこそどうもその」
年上の女性に微笑みを向けられ、千尋の顔がイチゴのように赤くなる。
「わたしと千尋さんも、今日から親戚なんですね……よろしく、おねがいしますね」
「よ、よ、よろしく、おねがいしまっ……」
こうして、歓談の時は楽しく過ぎていった。
宴は終わりへと向かいつつあった。
山のように届いた電報やお祝いの祝辞が終わり、柳霞は手紙を読み始めた。
「お父さん、お母さん。自分で勝手に進路を決めて、後継ぎを捨てて、ごめんなさい」
読み進めるうち、柳霞の脳裏に、幼い頃の思い出が蘇った。
喧嘩の多い両親だった。
教育にも躾にも、本当に厳しかった。
柳霞の思い描く一家団欒とは、ほど遠い家庭だったと思う。
反抗期の頃は、父が鬼か悪魔に見えたものだ。
まだ、話したいことは多くある。
言いたい文句も山ほどあるし、許せないことも沢山ある。
だが、それでも。
「それでも、感謝しています」
柳霞の目と、父の目が合った。
そこにいるのは鬼でも悪魔でもない、一人の父親だった。
――好きにしなさい。お前が娘であることは変わらない。
そんな父の声を、柳霞は確かに聞いた。
涙ぐむ柳霞に、隣の景貴が励ましの微笑みを向ける。
「ありがとう。私、とっても幸せ」
ずっと心に思い描いてきた未来。
柳霞は、ようやくそれを手にしたのだ。
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担当ゲームマスター
坂本ピエロギ
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
NPC交流
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年10月02日
参加申し込みの期限
2017年10月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年10月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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