【身体測定】ドキドキ♂♀反転戦線、再び！｜リアクション

【身体測定】ドキドキ♂♀反転戦線、再び！

「まゆセンセ……よ、ようやく見つけた」
　開幕タックルでロリ巨乳になった冴木竜司は、１００回近くプロポースをして同じ数フラれまくっている相原まゆ先生を探し求めて三千里。学校中を探しあぐねた挙句、ようやく体育用具室で授業の準備をしているまゆ先生を発見した。
（ラッキー！　今ならほかに誰もいない。チャンス！）
　すーはーと深呼吸すると、きゅぴりん、と竜司とは別人の女の子の気持ちを作って呼びかける。
「まゆ先生！」
「はい？」
　振り向いたまゆ先生は、いつものように愛らしい。竜司は真正面から切り込んだ。
「入学してからファンです！　抱き着いてもよろしいでしょうか！」
「ハイィ？」
　まゆ先生の声が裏返る。見たことないけど、何年生？　という顔をしている。
　咄嗟に竜司は偽名を名乗った。
「あっ、私は一年の冴森竜子って言います……えへへ、仲良くしましょう、先生」
　まゆ先生の返事を待たず、竜司はまゆ先生の小柄な体をハグハグした。
「え、ちょ、ちょっと？」
　まゆ先生は困った顔をするが、相手が女の子なので突き放したものか迷っている。
（うわぁ！　拒絶されない！　自分もまゆ先生も柔らかくて気持ちいいし！　ロリ巨乳万歳！）
　だが、そんなヒャッハー気分は長くはもたなかった。
（……さ、殺気！？）
　ハッとして振り返る。
　そこには、身長１８０センチの忠誠的なイケメン（巨根＆女子制服）が、ドス黒い覇気を放っていた！
（……ふふ、うふふ……私が大変な時に何イチャついてるんでしょうねェ……）
「ええと……ドチラ様……？」
（ドチラ様……ですか。私はすぐに分かったのに……というより、私よりも胸大きいとかどういう事なの……）
　つくしの心の声は真っ黒な念波となって空気を震わせ、竜司になんとなく伝わった。
「アッ……」
　竜司は察する。目の前の巨根氏は、妹的存在の鬼崎つくしであると……！
（どうやら……他人に成りすましてまゆ先生に近寄ろうとしてるみたいですが……ならば私も考えがあるよ？）
　つくしは、つかつか歩み寄ると、竜司とまゆを男の力で引きはがし、竜司の腕を捻りあげた。
「……やあ、竜子ちゃん。僕というものがありながら浮気なんてひどいよ」
「あの、誤解よ？　私とこの子はぜんぜんそういうことじゃないから。っていうかはじめて会ったし！　女同士だし！　教師と生徒だし、そういうことはあり得ないから！」
　だんだん語尾が必死になるまゆ先生の顔には、（うそでしょ！？　女装の巨根イケメンが、突然私に抱き着いてきた百合っぽい彼女を奪い返しに来た！？　もうヤバイの極み！　やめて！　巻き込まないで！）って感じのことが書いてある。
「ええ、わかっています。先生はお気になさらず。竜子ちゃん、行くよ」
「あ、あの……彼女さんをあまり怒らないであげてね？」
「はい。それでは失礼します」
　つくしは丁寧に一礼し、捻りあげた竜司の腕を引いて体育用具室をあとにする。
「えっ、ちょ、力強っ！？　何処に連れてくの？」
　その答えはすぐに分かった。
　連れていかれたのは空き教室。
　後ろ手で戸を閉められ、勢いよく壁ドンされる。
　つくしの本気な顔が、かなり怖い。
「ねぇ、お兄ちゃん……女になった気分はどう？」
「ヒィ！　目、据わってる！　つくしちゃん落ち着いて……」
「私は男になってよかったよ……今からお兄ちゃんを襲えるからね」
　つくしは骨ばった手を自分のスカートに掛ける。
「ちょ、ま……何する気？」
「なにって……ナニだよ。ふふ、ふふふ……」
「や、やめ……」

　……
　……
　……

「どいひー！！！！！！？」

　竜司はその後、プロレスごっこ（意味深）で痛い目を見たのでしばらく大人しくなったとさ。