【身体測定】ドキドキ♂♀反転戦線、再び！｜リアクション

【身体測定】ドキドキ♂♀反転戦線、再び！

　さて。次なる被害者は、滝原レオンと鈴原天音のおふたり。
「のぎゃー！」
「うきゃー！」
　愛李子の特攻によってピンポン玉のように弾かれたレオンと天音はそれぞれ廊下の対角に弾き飛ばされた。
「痛ってえ……ってやっぱり女になってるー！　しかも去年と姿がちがーう！」
　ま　た　こ　の　展　開　か　！
　絶叫したのはレオンの方。
　すこしつり上がったエメラルド色の瞳はそのまま、銀の髪は伸びてツインテールになっている。身長150弱だろうか。頬のラインは桃のような丸みを帯び、ほのかに朱に染まっている。一言で言えばロリ系美少女である。
　ちなみに胸はつるぺただ。
　……大事なことなのでもう一度いう。つるんとぺったん略してつるぺただ。
「くっ、こうしちゃおれん……！　とにかく服を、サイズの合う服を手に入れなければ……！」
　丈が合わなくなったズボンの裾を、ずるずる引きずりながら歩き出す。

　一方、廊下の反対側に倒れ込んだ天音はと言えば。
「あ痛たた……ってなんか制服がきつい。あと大事なところに違和感が、違和感がががが」
　そおっとスカートの中を覗き込み。
「くぁｗせｄｒｆｔｇｙふじこｌｐ！！？？」
　泡を吹いて倒れそうになる。
　なんだこれは！
　体が大きくなったせいでパンティはキツキツ。引き伸ばされて紐パンのようになっている。その前の部分の布を押し上げているふくらみ……これって、あ、あ、アレだ！
「わー！　ついてる！　余計なものついてる！」
　天音は大慌てで胸を触った。
「そんで大事なものが！　なくなってる！」
　と、まるで天の声でも聞こえたかのように空に指を突きつけ、
「そこ、元からないとか言うな！」
　イッテナイヨ、ツルペタトカイッテナイ。
　ふんすっと荒い鼻息ひとつ。天音は状況を察する。
「これってまさか……去年の身体測定でもあったという……」
　その通りであった。天音は180センチ近い癖っ毛ショートヘアのイケメンに変じていた。
　元が小柄だったので、いまやスカートはマイクロミニ状態。
　よくよく気を付けないと、さっき確認したふくらみが、スカートの裾から見えてしまいそうだ。
「わーんどうしよう！　この状態でこの格好は変態以外の何者でもないんだよー！！」
　気が動転しかけたその時、天音は廊下の向こうにいる銀の髪の女の子――レオンをみつけた。
「……ん？　あの目つき。あの銀の髪……？　もしかして、れおにーちゃん？」
　天音は一目散にレオンに向かって駆ける。
「……お？」
　廊下の向こうからすごい形相で走ってきた、背の高い女子制服の男をレオンはおそるおそる見上げた。
「……もしかして……」
「天音だよ！　れおにーちゃんだよね？」
「お、おう」
「わーやっぱりそうだ！　よかったー。性別が変わっちゃって困ってたんだよー！」
「お、お前もかー！？」
「そうだよー！　うわーん！」
　天音はがばっとレオンを抱きしめる。つま先が持ち上がる感覚に、レオンは自分がロリ美少女になってしまっていることを思い出し、かあっと頬を桃色に染めた。
　次のセリフはふたり同時に。
「ちょうどよかった、制服貸して欲しいんだよ！　代わりにわたしの貸すから！」
「ちょ、ちょうどよかった！　お前の制服貸してくれ！　代わりに俺のを貸すから！」
　以心伝心とはまさにこのこと。ふたりは阿吽の呼吸で更衣室へとダッシュした。

◇

「いたーい！　酷いよもう……」
　七音侑もまた、打ち付けた腰を擦り……自分の体が変化していることに気づく。
　チョコレート色のショートヘアはそのままに、ぐっと背が伸びた侑はまさに、ワンコ系男子。
「これって……男になってる！　久しぶりだなー」
　あまり動じることもなく状況を受け入れ、それからきゅぴんと思いつく。
「そうだ！　工藤君も工藤ちゃんになってるかもしれない！」
　工藤君こと工藤耀は、侑のボーイフレンド＝彼氏である。
　前に性別反転したときに出来なかった色んな事をできるチャンス、と事態を前向きに捉えた侑は、陸上部らしい綺麗なフォームで前向きにダッシュ。
「突入だー！　ついでに制服交換してもらおうかな、この脚にスカートはちょっと恥ずかしいにー」