【身体測定】ドキドキ♂♀反転戦線、再び！｜リアクション

【身体測定】ドキドキ♂♀反転戦線、再び！

　さて、極夜と結月と亨がいちゃいちゃと廊下を闊歩している同じころ。
　極夜と亨が愛する女性の妹であり、矢萩三姉妹の末妹でもある矢萩槇は、とぼとぼと廊下を歩いていた。
（今日は身体測定……ちょっと憂鬱だったりするんだよ……だって身長197cmのバストが97cm……こんなに成長しなくてもいいと思うんだよ！　これじゃあ、巨女って皆に馬鹿にされちゃうよ……）
　中学時代から背の高かった槇は、高い身長がコンプレックスであった。「ビック矢萩」と呼ばれたり、「子供を連れ去る長身の女『六尺様』」と噂されたり、姉妹でいると知らない人から長女と間違われたり。見た目は大きくても心はピュアな少女そのもの。槇は密かに傷ついてきたのである。
「……私、これ以上成長するの恥かしいよ……いっその事、男の子になってみたいよ」
　そうつぶやいた瞬間、誰かがイノシシの如き勢いでぶつかってきた。
「！？　……あれって播磨先輩……？」
　目をぱちくりし、それから体の違和感に気づく。
「……って、あれ！？　何か下半身に違和感……それに胸が縮んでいる！？　もしかして私、男の子になっちゃったの！？」
　願った途端に叶うなんて、まるで魔法ではないだろうかと何度も胸や下腹部に触れ、どうも本当に男の子になったようだぞ、と納得すると、槇は心から感嘆した。
「わぁ、すごいな～……こんな事あるんだ、高校ってすごい」
　心がうきうきしてくる。
　身長はほぼ変わっていないが、男子なら、高身長でも恥ずかしくない。
　感心しながら歩きはじめると、ルビーのような髪をしたスマートなイケメン男子を発見した。
「む。もしや、槇か？」
「そちらはもしや、時音先輩？」
　哀坂時音は無表情のまま槇のまな板になった胸をもみもみする。
「そうだ。性別が変わっても、割と解るもの、だな」
「ひゃあ、くすぐったいです！」
「なくなっている……残念だ、折角揉みごたえのある胸だったのに」
「男の子になってみたいって思ったらこうなっちゃって。時音先輩カッコいいですね～。私は相変わらずデカいからあまり変わらなくて……アハハ、今じゃ巨女ならぬ巨男ですよ」
　遠い目をする槇の胸を名残惜しそうにひと撫でして、
「巨男も、悪くない」
　と時音は言った。
「槇。時音好みの美少女、探す旅、つきあえ」