【身体測定】ドキドキ♂♀反転戦線、再び！｜リアクション

【身体測定】ドキドキ♂♀反転戦線、再び！

　大江山結月。17歳。筋肉フェチな男の娘。
　漢を目指し日々努力を怠らない頑張り屋だが、今年の身体測定でも、結月はやっぱり報われなかった。
「身長149cm、体重49kg。去年から、1mmも伸びてないですぅ」
　測定してくれた添木牡丹も、どこか憐れむような口調。
「う……結月ちょっとショックっス」
　父はボディーガードで現マッスルボディビルダーだというのに、どうして自分は大きくなれないんだろう。
　がっくりと肩を落としつつ廊下を歩いていた結月は、暴走してきた愛李子に気づかず、正面衝突して女の子になってしまった！
　といっても、胸がＣカップになった程度だが、結月にとっては大きな変化だ。
「こ、これは……」
　もみもみ。
「……マジっスか！　やっほぉ！　これで堂々と女装出来るっスね！　だって女の子だもん！」
　この場合「女装」というのかどうかわからないが、結月はどこからか水色のメイド服を取り出すと、魔法少女並みの早着替えで衣装チェンジ！　ふくらんだ胸を包むのは、不思議の国のアリスめいた白いフリルレースのエプロン。１回転して水色のフレアスカートにふわりっと風を孕ませれば、白いニーソックスとの間に絶対領域ができる。かつんと踵を揃えて止まると、膨らんだスカートはゆっくりと太腿を包み。
　ううん、なんだかとてもいい感じ。
「ああ……こんな衣装着てても問題ない体……最高っス！　ありがとう、愛李子ちゃん！」
　自分の姿に恍惚として、嬉々と愛李子に手を振る。
　その声はきっと、自分の号泣のせいで聞こえなかったのだろう。愛李子はまた誰かを撥ねた。
　その誰かとは……、
「……おや？　極夜君じゃないっスか！」
　彼――哀坂極夜は、黒のロングヘアの清楚な雰囲気の少女になっていた。もともと見目麗しい黒髪の青年であったが、女性になってもその美しさは失われていない。どころかいや増しに増している。
「痛……って結月さん……！？」
「そうッス！　極夜君も女体化っスか？」
「あ、貴方も女性になってしまったのですね……でも、元からとても可愛らしかったから、違和感ありませんね……」
　女性になるのはこれで二度目くらいであったか。いったいこの島はどうなっているのだ、と頭を抱える極夜に、結月はニコニコとピンクのセーラー服を押し付ける。
「……待った。何ですかその女子制服は……！？」
「これ着るッスよ！」
「いや、着ませんから！」
「どうしてッス？」
「どうしてって、それまで着たら私は完全に……う、うわぁ……！？」

　……………………
　………………
　…………

「……恨みますよ、結月さん」
　数分ののち、極夜の体は可憐なピンク色のセーラー服に包まれていた。
　頬を染め、短めのプリーツスカートの裾を抑える。
　なんかもう、超えてはイケナイ一線を超えてしまったような気分だ。
　恨めしそうに結月を睨みつける極夜であったが、結月は自分の仕事に大満足でサムズアップ。
「うんうん、とっても似合ってるッス！」
　はぁ、と極夜はため息を吐いた。
「……どうして、こんな事に……」
　そのとき、トイレから出てきた女子が、極夜を見つけて声を掛けてきた。
「もしかして、極夜か？　よ、お前やっぱ女装アツいなー？」
　極夜は胡乱げに顔を向ける。
　何しろ声を掛けてきたのは、身長195センチもある美女。胸のあたりがきついのか、制服のシャツの前はばっさり開かれ、腰のあたりで結んでアメスク風に着こなしだ。胸の谷間はくっきり深く、腹筋はばっちり割れている。飄々とした黒い瞳がどこか引っかかるが、こんな女性に知り合いはいない……はずだ。
「どちら様ですか？」
　尋ねると、相手はからからからと笑った。
「ん、俺だ、亨。見違えるか」
「……げ、亨……」
　七峯亨。ある女性を巡る恋敵だ。はっきりいってこんなとき、こんなところで会いたくなかった。
「会いたくない時に必ず会いますね……」
「女になっても一発というか変わらねーなァ」
　からかうように肩を抱かれ、極夜はむぅと顔をそむける。
　そんな二人の絡みを見て、諸手をあげて喜んでいるのは結月だ。
「男同士なのに百合にしか見えない二人の絡み……」
「何を言ってるんです結月さん」
「うっ……」
「へんに艶っぽく呻かないでください」
「ふう……良い物を見させていただきました」
　口元も目元も緩めてまーったりした表情になる。
「賢者化しないでください」
　カリカリする極夜とは対照的に、亨はこの状況を楽しんでいるようで、結月の肩に乗せるように胸を押し付け、お互い女の姿なら、とじゃれる。
「まあま。どっちにしろ、これじゃ測定にゃ行けねえだろ。一緒にはけよーぜ？」
「はけるなんて……」
　口ごもる極夜を亨と結月が両側から挟み込む。
「いいからいいから」
「そうッス。はけましょう、はけましょう！」
「え、ちょ、まっ……こんな格好で、ですか？」
　拒否の言葉は受け入れて貰えず、極夜はずるずるとふたりに引きずられていく。

このページにイラストを設定する

【身体測定】ドキドキ♂♀反転戦線、再び！

シナリオ

シナリオデータ

シナリオスケジュール

参加キャラクター一覧