ネコジマ館殺人事件｜リアクション

ネコジマ館殺人事件

■ラストデイ
　深夜１２時をすぎたころ。
　庚の閉じ込められていた部屋の扉が開いた。
「まあ、来ると思ってたぜ」
　ベッドに腰掛ける庚に、■■は手にした斧を振り上げた。
　が、しかし。
　斧が振り下ろされることはなかった。
　窓から舞い込んだ一匹の蝶が、突如として屋敷野梢へと変身したのだ。
　修たちの部屋の扉が開き、修と美咲紀が通路側を、流や星志郎が通路側を塞ぐように身構える。
　そして■■……もとい、羽生碧南は持っていた斧を床に落とした。
「ハメられた、のね」
「そういうことです」

　第二の被害者白真白の部屋を調べた際、不自然な点があった。
　それは携帯ゲーム機のソフトを複数鞄に入れていたにもかかわらず、ゲーム機本体が見つからなかったことだ。
　次に管理人室。
　一見不自然な所は無いように見えたが、棚の下に一枚の紙が落ちていた。
　それはコンピューターゲームの企画書であった。
　更にあちこちを調べてみると、この島と館を舞台にしたゲームが制作、発売されていることがわかった。
「あなたは自分で言いましたね。『聖地巡礼』と」
　資料をテーブルに置く美咲紀。
　修は回り込むようにゆっくりと部屋を歩く。
「うちの付属大学に通う学生はみな勉強熱心だが、この椿美咲紀という学生は趣味の幅が広くてね。シミュレーションゲームもたしなむらしい」
「乙女ゲームなのですよシュー君先輩」
「そのゲームでは、主人公である殺人犯を探偵が追い詰めるというルートが存在する。殺人は、そのルート通りに行なわれていた」
　碧南の部屋から手に入れたらしいゲーム機を、修は翳して見せた。
　腕組みする梢。
「後はお芝居ですねー。如月さんはハメられたふりをして閉じ込められ……」
　流と庚が頷き、そして星志郎へと振り返る。
「ルート通りに現われた所を、捕まえる！」
　星志郎の視線の先では、椅子に縛り付けられた碧南がためいきをついていた。
「誤算だったわ……まさか、こんなに沢山『探偵』がいるなんて。同時攻略ルートは無かったはずなのにね」

　碧南の不気味な笑みが、調書に写真として差し込まれる。
　警官御剣刀はパイプ椅子へと腰を下ろした。
「彼女はゲームと現実の区別が……いや、ついたからこそ、現実にしたくなってしまった。
　そんな欲望に支配された殺人犯だった。巧みに疑いを向け、殺人を繰り返す。その手口は見事なものだったが、悟られまいとゲームやその資料を回収したのが隙になってしまったようだな」
　パタンと調書を閉じ、刀は立ち上がった。
「三人の不幸な被害者を出してしまったが、この事件はこれ以上の殺人を生むこと無く解決した。彼女は、獄中でも何かのゲームに自分を重ね合わせているのかもしれないな」

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あとがき

担当マスター：青空綿飴
ファンレターはマスターページから！

　ごきげんよう、皆様。青空綿飴です。

　今回はミステリー風のリアクションにしてみました。
　皆さんの推理は当たったでしょうか？　それともまさかの犯人にどっきりしたでしょうか。

　とっても久しぶりのシナリオになってしまいましたが、皆さんの活躍を描けてとっても楽しい時間を過ごせました。
　またねこじまのどこかで、もしくは別の世界で描けるのが楽しみです。
　それでは、また。次のシナリオで会いましょうね。

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