脱ぐな！　風紀委員会との戦い｜リアクション

脱ぐな！　風紀委員会との戦い

　２年生の七峯凜乃は、朝から何故か、服が着心地悪ーいカンジだった。
（もやもやするねえ）
　上着を脱いでももやもやは収まらない。
　こんなときは、喧嘩友達で遊ぶことにしよう。
（からかっては口喧嘩で、くらいだケドねー）
　１年生の鷹虎龍獅が根城にしている体育館裏へ向かう。
「はろーはろー。遊びに来たぜー」
「おう」
　龍獅にとって、凜乃のとの口喧嘩は定番だ。
　しかし今朝は変な思いが沸いている。
（なんか猛烈に服を脱がせたい……でも不良のすることじゃねぇし……！）
　褐色肌の凜乃は、細く筋肉質でありながら巨乳である。男子なら脱がしたくなっても不思議はない。
　チェーンつきの木刀をもてあそびながら我慢していた龍獅だが。
「るせえ、身ぐるみ剥ぐぞ」
　ついそんな脱衣系の言葉が多く出てしまう。
「おや、さっきから妙に脱衣モノを推すねぇ。発情期かい？」
　妙に台詞回しが偏る様子に、挑発するように言う。
「断じて違う！」
　ムキになる様子を眺めながら、凜乃は服の着心地悪さを思い出した。
（やー、このテンションでいきなりバッて脱ぐとそのまま開戦な感じじゃん？　ってもなーいい加減着てるだけ気持ち悪いんだよなー）
「それなら一つゲームでもしようか、脱いでもいいぜー。手合わせついでのゲームさ。両肩ついたら上から1枚。2本取ったらトップレス。盛りのついた男の子には悪い話じゃないだろ？」
　身長はほぼ同じくらいの二人、カポエイラで鍛えている凜乃は負ける気はない。
「何？　俺は別に発情期じゃねーよ。だが手合わせは面白そうだ……木刀は使うまでもねえな」
「んー？　気にしな……」　

　凜乃が言い終わる前に龍獅は立ち上がり、制服のジャケットを凜乃の顔めがけ投げつけた。
　視界を封じられた凜乃が動けずにいる一瞬に、木刀の鎖を取り外して持ちタックルする！
「……っ！」
　凜乃の腕と体を鎖で縛ることで動きを封じて、そのまま押し倒す。
「木刀は使ってないぜ。不良だから卑怯な手だろうが使うに決まってるだろ？」
　挑発しつつ鎖を外して仕切り直そうとする龍獅。
　不意打ちに1本取られて、負けず嫌いの凜乃のスイッチが入った。
「OKOK、御望み通り挽いてあげよう、豆粒クン」
「なんだと？」
　龍獅に見せるようにシャツ1枚はらりと脱いで。
（……脱がせたかったはずなのに脱いでる所を見るとつい視線をそらしちまう）
　そんな龍獅の純情さが命取りになった。
　凜乃はそのまま逆立ちに跳ね上がり、龍獅の首へ回し蹴りと共に、ろっこん『ローリングテンペスト』を発動したのだ！
　蹴り足から竜巻が巻き起こる！
「ぐわっ！」
　気づいた時には龍獅は強烈な足技の連打を食らっていた。
　こうなればもう凜乃の独壇場だ。加減だけしつつも、カポエイラフル活用で一気に押し込む。
「火ぃ入っちゃったら仕方ないねー……？」
　琥珀色の瞳の鋭い光は、狩る者の喜びに満ちていた。
「くそっ……」
　持ち前の打たれ強さでなんとか耐える龍獅だが、頭に良いのをもらってフラフラだ。
（このままやられるかよ……！）
　それでも根性に前に出る。
　が、そのまま倒れこみ……手が何か布をつかんだ気がした。
「！」
　凜乃の反応に目線をあげると、そこには黒と褐色な景色が広がっていて……
（って、これは……？）
　フラフラな上あまりに想定外な至近距離での仰角の景色に、龍獅の頭はそれを認識することができない。
「おー、一矢報いたねぇ。ハイご褒美♪」
　スカートを脱がされて驚きながらも、凜乃は余裕で龍獅の顔に胸を落とした。
　それがトドメのボディプレスだった。
　後から思い返すとすごいことだった気がするのだが、龍獅にはそこから先の記憶がなかった。