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牡丹畑でつかまえて
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数多の観光客でにぎわう牡丹畑のなか、カップルというにはあまりに寒々しい二人の姿があった。
椎井 莉鳥
と
北里 雅樹
である。
「春ってのはなんでこうも眠たいのかね」
雅樹がのんびり欠伸をしながら言った。言ったそばからまた別の欠伸が出る。もう何回目の欠伸なのか、雅樹にはわからない。勘定するのもアホらしくなったのでやめた。
そんな雅樹の様子を幼馴染で元カノで腐れ縁の莉鳥が、顔にも瞳にも何の感情も表さずに見つめている。
「そんなに眠たいんなら、さっさと猫鳴館に帰ればいいのに」
表情と同じく感情の読み取れない声音で莉鳥はそう告げる。
「春だからしょうがないだろ」
それに対して雅樹はわかるようでわからないような反論を述べた。
……二人の会話は全然成り立っていなかった。
隣でまたもや呑気に欠伸する雅樹を尻目に、莉鳥はひそかにため息をついた。
理屈で考えるのなら、二人は本来、互いに通り過ぎる存在でしかない。幼馴染だった。恋をした。身体も許した。そして別れた。それで終わりのはずだ。しかし現実はどうだろう。二人はその後も腐れ縁として、見えない、糸というには余りに頼りない何かで辛うじてつながっている。傍から見ればきっと、まだ互いに未練が残っているようにしか思えないのかもしれない。
旧市街に用事があったので訪れたら、偶然雅樹とバッタリ出くわした。全くかみ合わない会話を交わしながらいつの間にか来ていたのがこの牡丹畑であった。
一方、雅樹が莉鳥とここへ来たのも偶然だった。
旧市街の商店街へ安売りの食料品を買いに来たら、莉鳥とバッタリ出くわした。
元彼と元カノ。普通なら互いに素知らぬ顔で通り過ぎるはずだ。けれども二人の場合、気が付いたらこうして噛み合わぬ会話を適当に交わしつつ、適当な時間を過ごすことになるのである。
「ね、あの牡丹、綺麗」
莉鳥が一本の紅牡丹を指さすと、雅樹は「確かに紅いな」と答える。
「いや、そういうことじゃないんだけど」と莉鳥がツッコむが、雅樹は聞いていないようで明後日の方向を見つめている。
「白牡丹もあるな……芍薬とどう違うんだっけ?」
「確か……」
記憶の糸をたどりながら、莉鳥が答えようとする。しかしその言葉は雅樹によって遮られた。
「花畑の中で寝たら気持ちよさそうだ」
「……人の話聞いてないでしょ」
余りにかみ合わない二人の会話。傍から見れば不毛極まりないだろうな、と莉鳥は思う。
だけど、今の関係のほうがかえって自分たちには似合っているかもしれない。そんな気もしていた。
それに……なぜか心地よかった。
恋人ではない。親友とも違う。幼馴染では済まされない。
きっと二人にしか判らない、二人にも判らない、そんな関係がいつまでも続けばいいのに、と莉鳥は思った。……それが何を意味するのか、莉鳥はまだ気づいていない。
一方、明後日の方向を見ながら雅樹はぼんやりと思った。
……こんな関係も、あと一年もしないうちに終わる。それが判っているからか、それともまだ心のどこかに淡い期待があるからか……そこまで考えて、小さくかぶりを振った。いや、期待なんかしないほうがいい。
――既に答えは出ているのだから。
「写真撮らない?」
口火を切ったのは莉鳥のほうだった。
「別にいいけど。そんなもんどうするんだ?」
ぶっきらぼうに応える雅樹。莉鳥は鼻で笑った。
「いいでしょ記念に一枚くらい」
別に断る理由もなかったので雅樹はしぶしぶ応じた。
こうして牡丹畑を背に、二人は自撮りで写真を撮った。……最後に二人で写真を撮ったのはいつのことだったか。
そんなことを考えながら、莉鳥はスマホの画面を確認する。
(綺麗に撮れた)
スマホの画面を満足そうに眺める莉鳥を尻目に、雅樹は不思議な感覚を抱いていた。
気のせいだろうか、なんだか久々に味わうような感情が雅樹の内側を去来していた。これは牡丹畑のせいなのか、それとも……。
思考は莉鳥の声で霧消した。
「なに変な顔してんの」
胡乱なまなざしを向ける莉鳥に雅樹はさっきのお返しとばかりに鼻で笑ってみせた。
「いいだろ別に。俺が何を考えていようがお前には関係ないんじゃないのか」
言いながら、雅樹は胸のあたりがずきり痛むのを感じた。視線を遣ると、莉鳥は妙な顔をしていた。その表情からは莉鳥が何を考えているのか読めなかった。
(なんか今日は変なことばかり考えてしまうな……)
一方莉鳥のほうも、雅樹の唐突な一言に妙な感覚を抱いた。
確かに、雅樹が何を考えていようが莉鳥には関係ないはずだ。……だって、二人はただの腐れ縁というだけで、それ以外の何物でもないのだから。
……だけど、なんでだろう。胸にぽっかりと穴が開いたような、この感覚。
(意味がわからないんだけど……)
二人はお互い妙な感覚を拭いきれないまま土産売り場の前にやってきた。
莉鳥はふと思うところがあって、牡丹柄の一冊のノートを購入した。
「ノートなんかコンビニでも買えるだろ」
雅樹が冷笑とともにそう言い放つ。しかし莉鳥は構わなかった。
「私には私の考えがあるから。あなたには関係ないでしょ」
さっき雅樹が言ったことをそっくりそのまま返してやった。虚を突かれたような雅樹を置いて、莉鳥はすたすたと去ってゆく。去り際、ふと思い立ち足を止めて雅樹を振り返った。
「眠いんでしょ? 早く帰ったら?」
それだけ言うと、莉鳥は今度こそ二度と振り返らなかった。
一陣の風が吹く。牡丹の香りをまとった芳しい風が。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
禰琉
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
動物・自然
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年09月02日
参加申し込みの期限
2017年09月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年09月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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