久保田先生の女子力アップ大作戦！　着物編！｜リアクション

久保田先生の女子力アップ大作戦！　着物編！

　時間が来たので着付けの説明が始まった。
　まず、衝立のあちら側で佐藤さん・塩田さんによる女性陣のための補正と長襦袢の着付け。こちら側で文也による男性陣のための着付け説明が行われる。
「襟の後ろの空いている部分を衣紋と言うのよぉ。今回は指が3本入るくらい空けて長襦袢を着てみてねぇ」
（指が3本入るくらい……メモ）
　綾花がペンを動かしながら着付けの流れを頭でまとめる。
「綾花ちゃん、一緒に着付けやろ！」
「はい、よろしくお願いします。美和ちゃん先生、着付けに興味があったんですね」
「なんてったって国語の先生だからね！　きっかけがあればやりたいとは思っていたのよー」
　ふたり一組で補正と長襦袢の着付けを行うことになり、綾花は久保田先生とペアを組んでいた。姿見でバランスを確認しながら着付けを行う。
「美和ちゃん先生、脇のあたりが緩んでいるので締めた方がよさそうです」
「ありゃ、ありがとう！　……これでどうかな？　体のラインに沿ってる？」
「はい。綺麗に仕上がりました、どうぞ」
　綾花が合わせ鏡を作ってやると、出来栄えを確認した久保田先生が「ばっちりだね！」と笑顔を見せた。
「次は綾花ちゃんの番だね。綾花ちゃんは着付けは慣れているの？」
「いえ、正月にお母さんに着つけてもらったくらいですね。あとは浴衣くらいですが、ひとりではまだ着れないです」
「だよねえ。私も着物や浴衣は美容院でお願いしてた」
「帯の結び方とか、イラストを見てもこれで合っているのか自信が持てないですからね……。ところで、同窓会はどうでしたか？」
　綾花が姿見から顔を上げて尋ねると「同窓会は来月だよ」と返事がくる。
「もうすぐなんですね。お友達のかたで和服の方がいたら、盛り上がれそうで素敵ですね」
「あっ。そうそう！　その件なんだけど、呉服屋さんで働いている同級生がいてね。着付け習うことを話したらびっくりしてた！　片付けができない私がそういうものに手を出すのが意外だったみたい！」
「美和ちゃん先生の女子力にお友達が驚いてしまったんですか」
「そうそう！」
　姿見に映った久保田先生は楽しそうに笑っている。少し前にティアラで見た時のどんよりした空気は風に吹かれて飛んで行ったようだ。