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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
今夜、寝子ヶ浜海岸で。～猫の目シーグラス～
ざくざくと砂を踏み締めて歩く音をたて、優木 遥斗が寝子ヶ浜海岸に現れたのは、夜半をとうに回った深夜だった。
消えかけた足跡とか、熊手の掘った跡とか。砂にはかすかに人のいた形跡が残っているが、どこにも人のいる気配はない。
聞こえるのは打ち寄せる波の音だけだ。
遥斗はまた歩き出し、そこを通り過ぎて、だれも触れた形跡のない砂浜を探した。
岩を挟んだ向こう側、ここと見当をつけて掘り始める。
拾った物を入れるバケツとか、熊手とか。何か道具を持ってくれば良かったのかもしれないと、今になって思った。
こういうのはやり慣れてないし、そもそも自分の柄じゃない。
宝物探しには関心がないし、自分にはそういうのは似合わないと、ずっと思ってきた。
満月の夜にだけ見つかるという猫の目シーグラスの話も、ねこったーで流れているのを目にしたときは、「ふーん」としか思わなかった。
ちょうど今夜満月だと、学校で女子たちが話しているのを耳にしたとき、初めて思ったのだ。
「……そういうので作ったアクセサリー、女の人は好きだろうか」
猫の目をしたシーグラスは、青や緑、金色をしているらしい。
ふと、きれいな青と緑の光は「あの人の笑顔」に似合いそうだなと思った。
好きとか愛とか、よく分からないけれど、大切にしたいと思っている女性がいる。
向こうは年上で社会人。おもちゃのような装身具は身につけないだろう。自分はただの高校生。何か贈り物をしたいと思っても、高価な品など無理だ。
だけどこういった、お金では手に入らない、ただ１つの品なら自分だってどうにかできる。
「……ないな」
普通のシーグラスなら見つかった。たぶん、これがシーグラスというものなんだろう。すりガラスのように白っぽくて、水底で転がって角が取れたガラスのかけら。だけどどれも猫の目のようには見えない。
というか、どれもこれも白っぽいせいで、そもそも色が何色かもよく分からないというか……。
「ライトを持ってくればよかったか」
少しでも明るいところで見ようと満月に掲げて透かしてみたが、よく分からない。目を眇めて凝視しても同じだった。
海水で濡らせばいいということに気づいたのはずっとあとのことだ。このときはどうすればいいか分からず少し途方に暮れてしまった。
「……腹が減ったな……」
シーグラスを手から手へ、じゃらじゃら移してもて遊ぶ。
しかも、よくよく考えたら、これをどうすればペンダントとかイヤリングとか、アクセサリーにすることができるのだろう？ 女子たちは何と言っていた？ たしか、旧市街の『memoria』とか……。
「……ええい、くそっ」
とにかくそれもこれも、猫の目シーグラスが見つかってからの話だ。
遥斗は両手両膝をつき、四つん這いになって目を凝らして探した。
砂を払い、岩の間に落ちてないか、海から来るのだからと波打ち際で手足をついて探す。そしてようやく、小指の先の大きさで、ビー玉のような丸いシーグラスを見つけた。完全な円ではないが、削って加工して磨けば球になるだろう。
「はは……これか」
細い線のように緑の入ったシーグラスを手のひらで転がす。
気づけばズボンは尻まで濡れていた。
自分がだれかを思ってここまでやれるなんて知らなかった。
「ああでも、こういうのも悪くはないな」
全然悪くない。
砂についた手に、波がかかる。
「もう少し探してみるか……」
そして例の『memoria』に持ち込んで、これで何ができるか訊いてみよう。遥斗は思った。
『今夜、寝子ヶ浜海岸で。～猫の目シーグラス～ 了』
消えかけた足跡とか、熊手の掘った跡とか。砂にはかすかに人のいた形跡が残っているが、どこにも人のいる気配はない。
聞こえるのは打ち寄せる波の音だけだ。
遥斗はまた歩き出し、そこを通り過ぎて、だれも触れた形跡のない砂浜を探した。
岩を挟んだ向こう側、ここと見当をつけて掘り始める。
拾った物を入れるバケツとか、熊手とか。何か道具を持ってくれば良かったのかもしれないと、今になって思った。
こういうのはやり慣れてないし、そもそも自分の柄じゃない。
宝物探しには関心がないし、自分にはそういうのは似合わないと、ずっと思ってきた。
満月の夜にだけ見つかるという猫の目シーグラスの話も、ねこったーで流れているのを目にしたときは、「ふーん」としか思わなかった。
ちょうど今夜満月だと、学校で女子たちが話しているのを耳にしたとき、初めて思ったのだ。
「……そういうので作ったアクセサリー、女の人は好きだろうか」
猫の目をしたシーグラスは、青や緑、金色をしているらしい。
ふと、きれいな青と緑の光は「あの人の笑顔」に似合いそうだなと思った。
好きとか愛とか、よく分からないけれど、大切にしたいと思っている女性がいる。
向こうは年上で社会人。おもちゃのような装身具は身につけないだろう。自分はただの高校生。何か贈り物をしたいと思っても、高価な品など無理だ。
だけどこういった、お金では手に入らない、ただ１つの品なら自分だってどうにかできる。
「……ないな」
普通のシーグラスなら見つかった。たぶん、これがシーグラスというものなんだろう。すりガラスのように白っぽくて、水底で転がって角が取れたガラスのかけら。だけどどれも猫の目のようには見えない。
というか、どれもこれも白っぽいせいで、そもそも色が何色かもよく分からないというか……。
「ライトを持ってくればよかったか」
少しでも明るいところで見ようと満月に掲げて透かしてみたが、よく分からない。目を眇めて凝視しても同じだった。
海水で濡らせばいいということに気づいたのはずっとあとのことだ。このときはどうすればいいか分からず少し途方に暮れてしまった。
「……腹が減ったな……」
シーグラスを手から手へ、じゃらじゃら移してもて遊ぶ。
しかも、よくよく考えたら、これをどうすればペンダントとかイヤリングとか、アクセサリーにすることができるのだろう？ 女子たちは何と言っていた？ たしか、旧市街の『memoria』とか……。
「……ええい、くそっ」
とにかくそれもこれも、猫の目シーグラスが見つかってからの話だ。
遥斗は両手両膝をつき、四つん這いになって目を凝らして探した。
砂を払い、岩の間に落ちてないか、海から来るのだからと波打ち際で手足をついて探す。そしてようやく、小指の先の大きさで、ビー玉のような丸いシーグラスを見つけた。完全な円ではないが、削って加工して磨けば球になるだろう。
「はは……これか」
細い線のように緑の入ったシーグラスを手のひらで転がす。
気づけばズボンは尻まで濡れていた。
自分がだれかを思ってここまでやれるなんて知らなかった。
「ああでも、こういうのも悪くはないな」
全然悪くない。
砂についた手に、波がかかる。
「もう少し探してみるか……」
そして例の『memoria』に持ち込んで、これで何ができるか訊いてみよう。遥斗は思った。
『今夜、寝子ヶ浜海岸で。～猫の目シーグラス～ 了』
あとがき
担当マスター：
寺岡志乃
ファンレターはマスターページから！
こんにちは、またははじめまして、寺岡といいます。
当シナリオにご参加いただきまして、ありがとうございました。
長くお待たせすることになってしまい、申し訳ありません。
予想外に９月が多忙になってしまって、なかなか執筆時間がとれずにいました。申し訳ないです。
猫の目シーグラスにつきましては、某100面仮想ダイスを振って、1～30・緑と青色、31～60・金色、61～90・なし、それ以外クリティカルで両方、というふうに判定させていただきました。
見つけられなかった方、応えられずにすみません。
次回シナリオですが、『月魄の姫君・２』になります。
ただ、現状まだプライベートでの多忙が続いていまして、いつ出せるか自分でも判断がつきかねています。
できるだけ早く、10月中には出せると思いますので、もう少々お待ちいただけましたらと思います。
よろしくお願いいたします。
当シナリオにご参加いただきまして、ありがとうございました。
長くお待たせすることになってしまい、申し訳ありません。
予想外に９月が多忙になってしまって、なかなか執筆時間がとれずにいました。申し訳ないです。
猫の目シーグラスにつきましては、某100面仮想ダイスを振って、1～30・緑と青色、31～60・金色、61～90・なし、それ以外クリティカルで両方、というふうに判定させていただきました。
見つけられなかった方、応えられずにすみません。
次回シナリオですが、『月魄の姫君・２』になります。
ただ、現状まだプライベートでの多忙が続いていまして、いつ出せるか自分でも判断がつきかねています。
できるだけ早く、10月中には出せると思いますので、もう少々お待ちいただけましたらと思います。
よろしくお願いいたします。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2017年08月26日
- 参加申し込みの期限
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- 2017年09月02日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2017年09月02日 11時00分
