壁画通りを作ろう｜リアクション

壁画通りを作ろう

●協力して名所を作ろう

　壁のペンキが乾いたという連絡があったので、壁画作りを行う面々はキャットロードの路地へ。
　路地を挟んで右側は桜月、旅鴉月詠、三宅葉月。
　左側は恵御納夏朝、響タルト、小山内海が絵を描くことに。
　作業の前に、月詠は月は所用で遅れてくることを皆に伝えた。

「落書きはひどいものだった。描いた人は、これが芸術だと思っているのだろうかね？」
　実際に見た落書きを思い出した月詠は、芸術センスの欠片もない絵を良いものに変えようと思った。
　橋脚や路地裏等の落書きを消したことがある経験者としては、落書きは芸術を侮辱する行為に等しい。
「グラフィティならまだしも、センスのない落書きは見るに堪えかねない。私達の手で、素晴らしいものに変えよう」
　伊達に壁に絵を描く依頼を受けたりしていない、と腰に手を当て、私の芸術センスを落書き犯に見せてやると意気込む。
「旅鴉さん……壁に絵を描いたことがあるんだ……」
「公共物だから許可が必要だけどね。ちゃんともらってから描いているよ」
　私はあんなことをする連中とは違うよ、と言い、月詠は画材道具一式を用意する。
「……私達の絵で、落書きを名所になるような芸術に仕上げましょう」
　三宅葉月の言葉に「賛成！」と手を挙げる響タルト。
『わたしもがんばる』
　そのために来たんだから、と小山内海も絵の作成を張り切る。

　夏朝が描くのは、ほのぼのした可愛い絵。
　壁いっぱいに樹や草花、家や建物やお店等を描きながら、どこにどんな猫を描こうか考えている。
　樹や草花が描き終わった箇所に、タルトは１匹の猫を描いていく。
「いろんな画材があるから、大きいのやら小さいのやらいろいろ描いてみるよ♪」
　コラボは楽しい～♪　とノリノリで猫の絵を描くタルトの表情は明るい。
「まずは～コレ♪」
　最初に描いたのは、ろっこんで猫に変身した自身の絵。
　探検だ～♪　と足取り軽くお散歩している様子を、鼻歌を歌いながらペンキを付けた筆でスイスイ描く。
　
　樹や草花、家や建物を描き終えた夏朝も、いろんな種類の可愛い猫を描き始めた。
「白猫……黒猫……雉白にキジトラ……黒白……灰色……三毛にゃんこ……」
　アメリカンカールにスコティッシュフォールド等、様々な猫が活き活きと動いているように描いていく。
　猫達が壁画の至る所で自由気ままに過ごしている雰囲気が伝わるような絵にしようと時折手を止め、首をかしげて構図を考える。
　トコトコ歩いていたり、立ち止まって何か見ていたり。
　数匹でじゃれあったり、物陰からひょこっと顔を出したり。
　壁画を見ている人達の方を見ている猫もいれば、コローンとお腹を見せている猫もいる。
　１軒の家の中では、レースのカーテンの内側にスフィンクスが穏やかに眠っている姿が。
「この毛がほとんど無い猫って、スフィンクスだっけ？」
「……うん、そうだよ」
　いろんな猫知っているんだねと感心しつつ、タルトも中断していた絵を描くことに。
「……少し変わった猫さんが……混ざっても、良いよね？」
「変わった猫？」
「……空を飛んだり、海や川を泳いだりしてる猫さん……」
　面白そう！　とタルトも猫を描くのを手伝う。
　空に２～３匹だけ羽の生えた猫が飛び、海や川から、泳げる猫が顔を出していたり。
　サンタな猫や鬼な猫、天使や悪魔な猫。
　猫達が仲良く過ごしている様子は、猫好きにはたまらない絵になるだろう。