せんせいといっしょ：川添先生編｜リアクション

せんせいといっしょ：川添先生編

【かくて授業は終わりけり】

　教室に帰りつくと、生徒達はめいめいが作ったものを棚に置き、名前を添えていく。
　月詠は寝子島の日常、として猫がのんびり寝ている姿を作っていたし、花椿涼太郎は、色が無数に配され、一つ一つに簡易な彫刻の施された貝殻のブレスレットを作っていた。どうも一つ一つが彼の美の一側面を表しているらしい。

　タルトは、海岸に生える草で複雑に縒り合された一対の木によるオブジェを制作していたようであった。

　恵御納は、『普通と平穏と並存』と題して、２匹の猫と、川添先生や他の先生達、生徒達や動物達が個性豊かな所作見せつつ仲良く楽しく歩いている姿を作った彫刻を驚くべき短時間で作り上げていた。
　色々な材料を集めていたのだけれど、それがこんなに綺麗になるなんてすごいなぁ――。
　そんな風に、他者の作品を一つ一つ見て回りながら、御巫時子は今日の授業を思い出した。

　行きかえりの道すがらで、雑談ついでの中で、先生から彫刻が実は彫るだけじゃないことや、材料も素材に縛りがほとんどないことなど、色々聞くことができた。
　それに、こうしてつたないものではあるが、初めて鳥さんを彫ってみる機会にもなったし、先生とも色々話をすることができたなぁと思うと、参加できて良かったなとの思いが胸にわいてくる。

　この感覚、なんとなく、五十嵐先生といるときと似ているなぁ、と思いつつ。
　そう思ったことを五十嵐先生に伝えたくて、足早に教室を出ていく時子なのであった。

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