おいしい休日♪｜リアクション

おいしい休日♪

「やっと終わった……」
　マリエッタ・ラシュリエが用事を済ませて会場にたどり着いたのは、もう昼も過ぎたころでした。
　休日なので、にぎわいは相変わらずでしたが。
「さあ、何を食べようかしら」
　適当に辺りを見回すと……
「しらすクレープ？」
（しらすもクレープも好きだけど、その組み合わせ？）
　妙に興味をひかれたので、屋台へ行ってみました。
「いらっしゃい！　しらすクレープいかがっすか！」
　店のお兄さんが、しらすをクレープで包んでいます。
　それを各種のソース（チョコ、ストロベリー、ブルーベリー、醤油、梅酢など）で食べるらしいですが……
（醤油や梅酢って、スイーツじゃなくつまみよね……）
　それでブルーベリーをかけて食べてみることにしましたが。
「……」
　食べ始めたマリエッタの顔からいつもの笑顔が消えました。
　一応完食はしましたが。
「…………まあ、ユニークな味だったとだけ、評価しておこう」
　早々に席を立ち、口直しに何か別のものを食べなければと思うマリエッタでした。
　
　次にマリエッタが見つけたのは。
「マンボウくんゼリー？」
　一瞬魚料理を連想しましたが、見てみると色も形もマンボウくんそっくりなお菓子。
「これ、甘いんですか？」
「ああ、甘くて美味しいよ」
　屋台のおじさんの言葉を信じて買ったマリエッタは、さっそく食べ始めます。
　一口食べてみて。
「うん、味は悪くないし口直しにはなったわ……」
　いつもの笑顔が戻ったマリエッタですが。
「ぼ、ぼくが食べられてる～！」
　悲鳴に振り向けば、マリエッタが食べているゼリーそっくりの浜マンボウくんが青ざめているではありませんか！
「あ、あのこれはお菓子で……」
　なんだか悪いことをした気分になって、マリエッタがつい言い訳しているうちに、マンボウくんの大きな体が揺れて。
「……きゅう」
「わっ、なんなの？　大丈夫？！」
　何の因果か、ぶっ倒れたマンボウくんを支え介抱する羽目になってしまいました。
　幸いすぐにスタッフの人が飛んできてくれましたが。

「……ひどい目にあったわね」　
　ぼやきつつ、その後はあちこち回り、土産として寝子饅頭、しらすコロッケ、いもこねころころなどの銘品を手に入れました。
　大変だったマリエッタの美味しいものフェスティバル、第２幕は、帰ってから幕を開けるのです。
　

このページにイラストを設定する